Toziuha Night:Dracula’s Revenge -プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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©Danny Garay – TuanisApps

 

基本情報

 

タイトル Toziuha Night -Dracula’s Revenge-
対応機種 Nintendo Switch,Steam,GooglePlay,iOS,itch.io
販売 Tuanis Apps(Switch版)
開発 Danny Garay(※Steam版は販売も兼任)
発売日 2022年3月21日(Steam版)、2023年5月11日(Switch版)
対応言語 フランス語,スペイン語,ポルトガル語,英語
備考 IARCレーティング:12+(軽い暴力)

※日本語非対応(アクションゲーム面では影響低)

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作品概要

 

「Toziuha Night -Dracula’s Revenge-」(※日本版ニンテンドーイーショップ内の表記は「とじうはナイト ドラキュラのリベンジ」)はニカラグアのインディーゲーム開発者Danny Garay氏の個人製作によるゲーム作品。Nintendo Switch版においてはコスタリカのゲーム会社であるTuanis Appsがパブリッシングを担当。

本作はコナミの人気IPである「悪魔城ドラキュラ」の旧作シリーズをリスペクトした作風で、ステージクリア型の2Dアクションゲームだ。鉄の錬金術師としての道を歩む少女サンドリアを操作して、串刺し公として知られるヴラド・ツェペシュの城へと向かう。

鉄の鞭とセカンダリ―ウェポンを駆使して戦うスタイルなど、ドラキュラシリーズファンにはお馴染み”ベルモンド一族”の戦闘スタイルをしっかりと踏襲しており、シリーズ経験者であればそのまますっと入り込んでいけるゲームシステムが魅力の点の1つだ。

 

リンク:Danny Garay(開発者Twitter)

リンク:Tuanis Apps(Nintendo Switch版パブリッシャーTwitter)

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン 移動
Lスティック 同上
Lボタン
ZLボタン
-ボタン

 

JOY-CON(右)
Rスティック
Aボタン セカンダリーウェポン使用
Bボタン ジャンプ/キャンセル
Yボタン 鞭攻撃
Xボタン
Rボタン
ZRボタン
+ボタン ポーズメニュー/(会話パートで)シーンスキップ

 

難易度について

 

「OPTION」から、難易度の設定が可能。設定方式はON/OFFの切り替え型になっており、どちらか1つをONにすることでもう一方は自動的にOFFになる。

 

Casual(カジュアル) 残機無制限

・非ノックバック

・2段ジャンプ使用可能

・最大8方向への鞭による攻撃が可能

・空中制御が可能

Classic(クラシック) ・残機制限あり(初期数は3。コンティニュー後はステージ最初からの再開)

ジャンプ中、ダメージを負うとノックバック

2段ジャンプ使用不可

・鞭攻撃は正面前方のみ

・空中制御不可

 

2つの難易度の間でゲームクリア後の影響などの違いはなく、一方の難易度を選んで開始した後も、好きなタイミングで難易度は自由に切り替えることができる。

残機数やアクションの制限など、仕様に変更が入ることで全体の難易度と共にゲーム性もかなり印象が異なるので、自身の腕に応じて好きな方を選んでみよう。

 

登場人物

 

※作中での描写が少ないため、下記の備考欄には一部、筆者側が一度ストーリーの翻訳を行った上で独自に補完を行っている記述があります。公式のものではないことをご了承下さい。

 

Xandria

(サンドリア)

本編主人公。地上界に存在する「鉄」を変異する力、”鉄の錬金術”の使い手。

しかし、「オーダー」*の認可を受けておらず、錬金術師としては現在”非公認”と言う立場にある。

自らの能力を「オーダー」に証明すると共に、錬金術師としてのランクアップのため、アレサを介して”特攻任務”に挑む。

彼女はトランシルヴァニア外の出身であり、その経歴は誰も知らない。

Damian Deconier

(ダミアン・デコニア)

“銀の錬金術師”にして、元ドラキュラ軍に仕えていた将軍。

ヴラドの城でサンドリアと剣を交えて以来、彼女の秘めたる能力に注目している。

Abraham Van Hellsing

(ヴァン・ヘルシング)

「オーダー」きっての実力者にして、稀代の錬金術師。

圧倒的な力でもって、ヴラドの家系を破滅へと追いやった筆頭でもある。

Vlad Tepes

(ヴラド)

「串刺し公」の異名で知られる、ワラキアの支配者。

「オーダー」の侵攻による犠牲者で、復讐のためノスフェラトゥとの契約によって、人間性を代償に絶対的な力を得る。

Anastasia Tepes

(アナスタシア)

ヴラド公の妻。一人娘であるソフィアを溺愛している。

「オーダー」の侵攻により、家族が破滅に追いやられたことで復讐の機会を伺っていた。

ノスフェラトゥ、及び悪魔トズィウハとの契約によって強力な力を得た。

Rachel

(レイチェル)

元「オーダー」のメンバーで、伝説の”銅の錬金術師”として知られる人物。サンドリアにとっては錬金術の師でもある。

ゲーム内では操作チュートリアルパートでのみ登場。

Alessa

(アレサ)

「オーダー」のトランシルヴァニア支部管理者。サンドリアに特攻任務を託す。

レイチェルが所属していた当時、2人はパートナーという間柄だった。

※「The Order」=「教団」といったニュアンスも含まれる言葉だが、今作においては「錬金術師協会」を指すものと思われる。ただし、その意味合いも解釈次第で多岐に渡るため、今回ここではそのままの表現「オーダー」とさせて頂いた。

 

 

プレイヤーのアクション

 

移動/ジャンプ

難易度カジュアルでは空中時の軌道修正を比較的行い易く、任意のタイミングでもう一度ボタンを押すことで2段ジャンプも可能。

半面、クラシカルではジャンプ中の軌道修正や2段ジャンプが使用不可となる。この少しの差がステージ全体の攻略上、大きく響いてくることになる。

 

鎖の鞭攻撃

サンドリアのメイン武器、鎖の鞭はYボタンで発動。難易度カジュアルではジャンプ中の攻撃も含め、最大8方向に打ち分けが可能。一方クラシカルでは正面前方にのみ打つことができる。

今作では、悪魔城シリーズのような”鞭のパワーアップ”要素は取り入れられておらず、威力や性能については終始一定となる。

 

セカンダリーウェポン

Aボタンで発動。武器毎に1回使用につき、一定量のマナが必要となる。

各セカンダリーウェポンは特定の燭台を破壊した際に入手可能。武器の種類については別項にて紹介。

 

エレメンタルサーキット(元素回路)

方向キー、またはLスティックを上方向に操作することで、エレメンタルサーキットが発動。サンドリアの上部に表示されるゲージがフルチャージ状態になると、所有しているセカンダリーウェポンに応じた強化版錬金術を使うことができる。

広範囲をカバーする攻撃アクションから、一定時間無敵状態になるといった補助的なものまで効果は所有武器によって様々だが、使用時の注意点として、チャージ中は無防備且つ隙だらけになる点、チャージ中に被弾した場合はキャンセルされてしまう、といった点にはくれぐれも注意。

 

アイテム

 

燭台を攻撃することでいずれかのアイテムが出現する。いずれのアイテムも基本的に出現するポイントは一定。

各ステージで入手可能なアイテムには、以下のようなものがある。セカンダリーウェポンに関しては別項目で紹介。

 

Cordovas

コルドバス=本作における通貨*。獲得時に所持金が増加する。

銅貨(1)、銀貨(5)、金貨(100)、宝石(500)、宝石(1,000)の計5種類。

Mana Points

マナポイント。セカンダリーウェポンやエレメンタルサーキット使用時に一定量を消費する。

1ポイント回復と5ポイント回復の計2種類。

Health Point

体力ゲージ回復アイテム。

パン(10%)、骨付き肉(25%)、チキン(50%)、エール(100%)の計4種類。

特定の扉を開くのに必要となる。

銅、銀、金の3種類があり、それぞれの鍵は扉の色に対応。

所持金額を表す通貨”Cordovas”(コルドバス)は本作の得点に該当する要素となっており、クラシックモードでプレイ中は一定額を集めることで残機が1つ増える場合がある。

ただし、Cordovasはミスを1回行う毎にペナルティとして一定額(基本的には500)が失われてしまう。何度もミスを繰り返すと最終的には0まで落ちることも。

更にクラシックモードでは上記のルールに加えて、ミスの際に一定量のマナや所有していたセカンダリーウェポンを紛失する場合もあるので要注意だ。

 

(※なお、現ルーマニアの通貨名は「レイ」(LEI)で、1レイは約40円に該当する(2023年5月現在)とのこと。作中の”中世”という時代設定的背景はあるが、Cordovas(コルドバス)は作中オリジナルの通貨である可能性は高い)

 

セカンダリーウェポン

 

セカンダリーウェポンの種類、及び効果をエレメンタルサーキット(下記の表内では”EC”と略させて頂く)時のものも含めて以下で紹介していこう。

(※各アイテムの名称については不明なため、割愛とさせて頂きます)

 

通常時:消費マナ1。正面前方へ一直線に高速で飛んでいく。

EC時:消費マナ10。複数の武器を召喚後、サンドリア本体を中心に一定時間周囲を回転し続ける。

通常時:消費マナ2。サンドリアの正面に放物線を描いて飛んでいく。

EC時:消費マナ10。サンドリアの正面足下に3つ配置され、1つずつ順に画面上部方向へと飛んでいく。

  通常時:消費マナ3。発射後、ブーメランのような挙動で正面前方に飛んだ後、サンドリアの方へと戻ってくる。

EC時:消費マナ10。サンドリアの正面に4つ配置後、それぞれが回転しながら放射状に少しずつ広がっていく。

通常時:消費マナ3。発射後、地面に沿って滑っていく。発射時のサンドリアの恰好や地形の勾配によって影響を受け、慣性が働くことで挙動が変化する。

EC時:消費マナ10。サンドリアの正面に縦に3つ巨大な刃を配置。一定時間その場に留まったあと消滅する。

通常時:消費マナ4。サンドリアの最大ゲージ値のおよそ1/4のライフをその場で回復。

EC時:消費マナ10。サンドリアが10秒間無敵になる。

ボス戦では手裏剣タイプのセカンダリーウェポンによるエレメンタルサーキットが強力。発動中ボスに接触しない程度の距離を保ちながら追従するだけで、急激にボスのライフを削ることが可能だ。

他に比べて立ち位置は異なるが、攻略上役立つのが聖水。普段使いではライフゲージをその場で約1/4回復できるという効果に対し、消費マナ数4と低コストで使用できるのも大きなポイント。

更には、エレメンタルサーキット時には10秒間無敵状態になるという強力な効果もあり、道中攻略からボス戦まであらゆる局面で強力な性能で隙がない。

 

反面、聖水はクラシックモードでの入手機会が極めて少なく、まともに手に入れることができるのはステージ3前半の1箇所のみ。しかも出現する燭台は足場の関係上、回収が非常に難しくなっている。

回収後に万一失うようなことがあれば、同周回中にその後の入手の機会は無くなってしまうので、慎重に進んでいこう。

 

【Stage3の聖水入手法の一例(動画)】

【解説】事前準備として、直前のエリアで入手可能な手裏剣型のセカンダリーウェポンの入手が必要。ギミック床の上でエレメンタルサーキットの詠唱を行う余裕はなく、渡り始める前に使っておかなければならない。

 

ボスラッシュモード

各セーブデータで本編をクリアすると、同じセーブデータに「Boss Rush」モードが新たに追加される。

本モードは各ステージのボス戦を順に倒し、最奥部の宝珠を取るまでのタイムを計測するボス戦特化のタイムアタックモードだ。

モード開始直後、4種類のセカンダリーウェポンから持っていくものを1つ選ぶことが可能。難易度カジュアルでの挑戦であれば、サーキットバーストが強力な手裏剣がおススメ。

 

プレイ後の感想

「Toziuha Night:Dracula’s Revenge」は、スクリーンショットからも一目で分かる「悪魔城」シリーズのフォロワータイトルと言える内容で、クラシカルな2Dアクションファンには待望とも言える作品。

ゲームエンジン「Godot」で開発された16bit風のドットグラフィックはノスタルジックを感じさせる程良さで、使用ボタンの少なさも直感的な操作スタイルを踏襲しており、2Dアクションゲーム経験者であればすぐに馴染むことができる。

 

特筆すべきは難易度システムで、オプション内の操作スタイルをカジュアルとクラシカルの2つから切り替えることが可能。ヒットバックの有無や2段ジャンプ使用の可否、などゲーム性に大きく関わる部分に変化が現れる。

この要素は過去にWii Wareでリリ―スされた「ドラキュラ伝説 Rebirth」(2009年。※販売はコナミデジタルエンタテインメント、開発はエムツー)を彷彿とさせるものだ。設定の変更によって、プレイ感覚と難易度の印象がガラッと変わるといった形で、1本で異なるアクションゲームを遊んでいるようなお得感も味わえる。

 

一方で、本作は日本語に一切対応しておらず、ストーリーをしっかりと読みたいという場合には少々厄介なハードルとなる。

作中テキストはおよそ20,000文字と結構な文章量となっているが、物語が気になるという方は翻訳サイトを駆使してみるのも良いだろう。

 

今作では非公認の錬金術師である主人公サンドリアを始めとした、数名の登場人物を中心にした物語が描かれる。

背景にあるのは、錬金術師たちを束ねる「オーダー」(The Order)という組織の存在。それに対立するトランシルヴァニアの支配者・ヴラド公とその家族達だ。

支配者であり続けるための力を求め、悪魔トズィウハと契約を結んだヴラドは、人の理を絶ったとして一族ごと迫害を受けてきた。

更には人間達に仇成す者と見做され、ヴラドの一族は度々オーダーと衝突する関係となる。

その後、ヴラドはオスマン帝国軍との戦いにおいて2万人もの兵を葬るという血の惨劇を引き起こしたとされるのだが…―

 

 

気合いの入ったドットグラフィックから、個人製作らしさが垣間見える味わいのあるタッチのバストアップグラフィックに至るまで、実に手作り感に溢れる快作と言える。

特定の箇所で見られるハマリポイントや敵の挙動などの面において一部気になる部分もあるが、2Dアクションの基本を抑えたゲームデザインとシークレットのボスラッシュモードなど、トータルでのプレイ満足度は高い。

 

そして物語は続編である「Toziuha Night:Order of the Archemist」へと受け継がれてゆく。ゲームシステムはステージクリア型である本作から探索型の2Dメトロイドヴァニアへと進化を見せる。

こちらは2024年発売に向けて鋭意開発中で、2023年7月よりデモ版がSteamで公開開始。また、itch.ioとGooglePlayではβ版が引き続き配信中となっている。完成版はNintendo SwitchやiOSなどの各プラットフォームでもリリース予定とのことだ。

 

総ステージ数は第一作「悪魔城ドラキュラ」と同じ全6面(内部的には全7面構成)と程良いボリュームで、スムーズに攻略が進めばおよそ40分~1時間程度でクリア可能。価格もお手頃でコストパフォーマンスにも優れる一作だ。

本家シリーズとの関連性は一切なく、設定も登場人物も開発者によるオリジナルのものであるようだが、「旧式スタイルの『悪魔城』シリーズが好き」というプレイヤーには注目のタイトルとなる「Toziuha Night:Dracula’s Revenge」。2DACTファンは是非お試しあれ。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) .5

 

良い点

  • 2Dアクションとしての完成形の1つと言える「悪魔城ドラキュラ」シリーズのスタイルを踏襲したゲームデザイン
  • アクション初心者からベテランまで、切り替えることで歯応えがガラリと変わるカジュアルとクラシカルの2つの難易度設定
  • 16bit風&中世ゴシックスタイルの妖しくも美しいドットグラフィック

 

惜しい点

  • ストーリーに関するテキスト量が比較的多い一方、日本語には非対応
  • ボスラッシュモードを中心に、オブジェクトの挙動に不安定な部分が見られる
  • 開発者が想定外な操作を行った場合、ハマって動けなくなるようなポイントが何箇所かある

 

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