TOKYO DARK -Remembrance- - プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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TOKYO DARK©2019 GODOGAISHA CHERRYMOCHI.ALL RIGHTS RESERVED
Published by Sony Music Entertainment (Japan) Inc. DEVELOPED BY MEBIUS

 

基本情報

 

タイトル TOKYO DARK -Remembrance-
対応機種 Nintendo Switch, PlayStation4, iOS
販売 UNTIES
開発 Cherrymochi
発売日 2019年11月7日(Swich版),2019年11月10日(PS4版),2023年4月11日(iOS版)
対応言語 日本語,英語(※iOS版は更にドイツ語に対応)
備考 CEROレーティング:C(15歳以上対象)(暴力、犯罪)
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作品概要

 

「TOKYO DARK -Remembrance-」(東京ダーク -Remembrance-)は神奈川に拠点を置く独立系ゲームスタジオCherrymochiが開発を手掛けるゲーム作品。販売はソニー・ミュージックエンターテインメントのゲームパブリッシングレーベルであるUNTIESが担当。

本作はADVゲーム「TOKYO DARK」のコンシューマー移植版で、CGやエンディングなどの新たな追加要素が加わった「完全版」と言える内容になっている。

 

ビジュアルノベルとミステリーアドベンチャーを組み合わせた本作は、警視庁の女性エリート刑事 “伊藤 絢美”(いとう あやみ)*の視点で物語が展開。姿を消した相棒 “田中 一樹”(たなか かずき)の足跡を追う内、彼女は次第に恐るべき狂気の入り口へと足を踏み入れていく―

(*ゲーム内のキャラクター名表示では基本的に「伊藤刑事」表記)

 

本作の開発を手掛けるCherrymochiは、神奈川に拠点を置く独立系ゲームスタジオとのことで、創設者のJon Williamsを筆頭に出身地が5ヶ国にも渡るチームメンバーで構成されている。

2013年のスタジオ設立後、Kick Starterの資金調達を経て、2017年にスクウェア・エニックスのパブリッシングでSteam版「TOKYO DARK」が配信開始。この作品はCherrymochiにとっての初作品となった。

 

関連リンク:TOKYO DARK(official site)

関連リンク:Cherrymochi(開発者Twitter)

関連リンク:UNTIES(パブリッシャーTwitter)

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン 移動
Lスティック 同上
Lボタン 選択ボックスの切り替え
ZLボタン
-ボタン

 

JOY-CON(右)
Rスティック
Aボタン 決定
Bボタン SPINを閉じる/(押しながら移動で)走る
Yボタン SPINを開く
Xボタン ???
Rボタン 選択ボックスの切り替え
ZRボタン
+ボタン 設定メニュー

(操作説明はプレイ中、Yボタンメニューの「Playing Manual」からも確認可能。)

 

ゲームの進め方

 

テキストパート

本作のゲームシステムはビジュアルノベルスタイルのテキストパートと、移動と調査を行う探索パートの2つがメインとなっており、探索パートでは”ロックオン式カーソル”が表示される場面でAボタンを押すことで、対象を調べることができる。

 

探索パート

探索パートは絢美の左右移動と、カーソルが表示される一定のオブジェクトや人物などの対象をAボタンで指定し、随時表示されるコマンドを選ぶというスタイルになっている。

カーソルが複数表示されるような場合はLもしくはRボタンで切り替え、「話す」「見る」などそれぞれ表示されるコマンドの内から1つ選択、といったスタイルで調査を進めていく。

 

コマンドを実行していくと新たなコマンドが発生する場合があるので、怪しい場所はとにかく調べてみると良い。ただし、複数のコマンドの中から1つ、たった1度しか選べないような場面も登場するので、じっくり考えてから選択しよう。

 

SPINについて

 

各パラメーターの意味

進行中、Yボタンを押すと絢美のコンディションを中心としたメニュー画面が表示される。

各項目の頭文字から成る通称「SPIN」と呼ばれるこのシステムでは、絢美のコンディションにまつわる4種類のパラメーターの確認が可能。各パラメーターの意味や概要については以下の通り。

 

SANITY 【正気度】を示す数値。

薬の服用やメンタルケアとなる出来事によって増加。一方、精神にダメージを負うものを目の当たりにするなどの場面で減少する。

PROFESSIONALISM 【職業倫理】を示す数値。

刑事として相応しい行動を取ることで増加。その真逆の行動を取った場合は減少する。

INVESTIGATION 【調査能力】を示す数値。

事件に纏わる情報や証言、手がかりを集めることで増加。薬を飲むと副作用によって一定量減少する。

NEUROSIS 【ノイローゼ】を示す数値。

絢美と反りの合わない相手や苦手な人物との会話によって減少。他のパラメーターに比べて、基本的に回復が難しい。

各項目はストーリー上で登場するコマンドや、選択分岐で取った行動によって変動する。

ただし、これらのパラメーターは悪化したからと言って、本作においてはそれは必ずしも不正解であるとは限らない。

 

正気を保つためのケア

作中での絢美は、刑事としての遵法精神や対人によるストレスといった職業上の苦悩に常に曝される一方、更には事件に纏わる不穏な気配との板挟みによって、正気と狂気の狭間を彷徨い続ける。

単身による辛い調査が続く中、何度も心が揺れ動く場面が登場することになる絢美だが、逆境においても”自分自身を見失わない”ことこそが、本作の物語進行において何よりも大きい軸となる。

 

それでも過酷な状況の中では、時に”別の形”による救いが必要といった場合もあるだろう。

絢美が正気を取り戻す効果を持つ精神安定薬は、彼女が住むアパートにいる時に限って服用することができる。

ただし、これは同時に副作用によって調査能力が低下するといったリスクも伴う。そればかりか、一度に大量に使用してしまうと…。

 

クリア後の特典

初回プレイを通していずれかのエンドに辿り着くと、タイトル画面に「New Game+」という新たな項目が追加される。

このモードで新たにゲームを開始することで初回プレイでは知ることができなかった新たな手がかりや、それらにまつわる追加テキスト&カットシーンが登場するなど一部の場面に変化が表れる。

 

また、「New Game+」モードでゲームを始めると進行中、特定の場面到達毎にセーブポイントが登場。作成したセーブデータはタイトル画面の追加項目「Broken Memories」を介して、自由にロード可能となる。

この機能の追加によって前回プレイ時とは違う分岐を選んでみたり、まだ見ていないエンドを順に回収していきたい、という場面で大きな助けとなるだろう。

 

同時に、テキストの一部パートは+ボタンでシーン単位での丸ごとスキップが使用可能となるため、これら機能の活用によって2周目プレイへのストレスはある程度緩和されている。

一度観たシーンを再び見る事になるという手間はあるが、追加シーンの中には主要人物達の新たな側面を覗くことができるものもあるので、今作を深掘りするためには欠かせないモードとなっている。本編クリア後にはこちらのモードも是非遊んでみよう。

 

プレイ後の感想

「TOKYO DARK -Remembrance-」は伊藤刑事こと絢美の視点で、物語を紐解いていくアドベンチャーゲームだ。

絢美の独白や会話パートから成るノベルパートと、ターゲット指定(コンソール版以外はポイントクリック方式)のコマンド方式による左右移動の伴う調査パートが交互に展開するシンプルな構成。テキスト重視でアクション要素も一切ないため、物語に集中し易いゲームデザインとなっている。

肝心のテキスト周りについてはローカライズという形ではあるが、ごく自然な文面で読む上での違和感は限りなく少ない。

 

手探りによる初回プレイ時のゲームボリュームは、テキストを丁寧に読み進めつつ、必要なエリアの調査を経ておよそ7~8時間ほどといったところ。

2周目以降のゲームプレイでは上記項目でも触れた「New Game+」モードの解禁によって、一部の場面での既読スキップや途中状況のセーブ&ロードシステムを含めた快適なリプレイが可能となり、これらの機能を活用することで所要時間も大きく短縮されることになる。

(※追加シーンが含まれるため、厳密にはリプレイとは少し異なるのだが)

 

「日本のポップカルチャーにインスパイアを受けている」というCherrymochiの製作スタイルは作中にもよく表れている。

ゲーム内エリアの1つである秋葉原では、アキバ文化の代表格とも言えるメイド喫茶や、猫カフェといった店舗が登場。

従業員達は絢美の調査において、有用となる情報を握っているのか否か― どんな話を聞くことができるのかは、実際にプレイしてのお楽しみだ。

 

本作に関する最近の動きとして、2023年4月11日よりmebius.がパブリッシャーとなるiOS版「TOKYO DARK -Remembrance-」が配信開始となった。

こちらは日本語、英語、ドイツ語に対応しており、iPhone、iPadなどの各Appleプラットフォーム製品でプレイ可能だ。

元々スマートフォンでのプレイに無理のないゲームインターフェースを持つ作品であるため、手の中でアドベンチャーゲームをプレイしたいというポータブルゲーム派には朗報と言えるのではないだろうか。

 

「TOKYO DARK」という表題通り、本作のキーワードはまさに「闇」そのもの。

『一人の刑事の失踪』という一見シンプルに思われた事件は、東京都一帯の広域を舞台にやがて思いもよらぬ方向へと展開していく。

絢美の前から姿を消した一樹。彼の消失の背景には一体何があったのか? 黒いベールに覆われたその真相は、本作を実際にプレイして体験してみよう。

 

過去に捉われて動けなくなるか、それとも自分の選択を信じるか…

プレイヤーの選択が、絢美の進む道を決めるミステリーノベルADV「TOKYO DARK -Remembrance-」をお試しあれ。

 

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) .0

 

良い点

  • ローカライズのクオリティが高く、流暢な日本語テキストのまま最後まで楽しめる
  • ショートアニメーションによる動きのある演出シーン
  • 11種類の結末が用意されたマルチエンディング方式

 

惜しい点

  • 各人物キャラクターのバストアップCGは一貫して静止画で、表情差分もバリエーションに乏しい
  • バックログ機能がなく、テキストを読み返すことができない
  • 2周目以降のプレイでないと、手動セーブ&ロード機能が使用できない(※厳密には「New Game+」モードプレイ時に利用可能な機能となる)

 

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