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基本情報
タイトル | The Wake |
対応機種 | Steam,Nintendo Switch 他 |
販売 | indienova(※Steam版はSEEPが担当) |
開発 | Somi |
発売日 | 2024年9月3日(Steam版),2024年12月13日(Switch版) |
対応言語 | 日本語, 英語, 韓国語, 中国語 (簡体字), 中国語 (繁体字) |
備考 | IARCレーティング:3+ |
作品概要
「The Wake」(正式タイトル「The Wake: Mourning Father, Mourning Mother」)は韓国のゲーム開発者SOMI氏製作によるゲーム作品。パブリッシングは中国、北京及び上海を拠点とするindienovaが担当。
本作の内容はストーリー要素を備えた暗号解読形式のパズルゲーム。祖父の葬儀に最中に発見された1冊の日記、暗号によって内容が隠されたページを詳らかにすることがゲームの目的となっている。
直近では「未解決事件は終わらせないといけないから」で知られるSOMI氏が手掛けたタイトルの1つで、「Replica」、「Legal Dungeon」に続く”罪悪感三部作”の1本として数えられる。
操作方法
(※Nintendo Switch版)
JOY-CON(左) | |
上下左右ボタン | カーソルの移動 |
Lスティック | カーソルの移動 |
Lボタン | |
ZLボタン | |
-ボタン |
JOY-CON(右) | |
Rスティック | (押し込み)接続中のプラグを全部抜く |
Aボタン | ページをめくる、(カーソルの場所に)各種インタラクト |
Bボタン | |
Yボタン | |
Xボタン | |
Rボタン | |
ZRボタン | |
+ボタン |
ゲームの進め方
ゲームは全10章構成
導入部のプロローグを経て、本格的にゲームが開始となる。本作は全10章構成で、日記のボリュームは1章辺りおよそ20~40のページ。画面左側にある2つのジョグダイヤルを操作して、それぞれチャプター(章)とページを調節することができる。(調節範囲は到達した章やページ迄の間)
各章での目的はページをめくりながら、画面ボード上の反転フラップ表示器(*空港の発着案内板などで見られる、通称「パタパタ」)に綴られた文面を最後のページまで読み進めることだ。ただし一部のページには暗号がかけられており、解読するまで全容が明らかとならない仕組みとなっている。
暗号の解き方
日記の特定のページに施された暗号には全部で3つのタイプがあり、それぞれのルールを把握した上で解読に臨む必要がある。いずれのタイプも基本的には一定の法則に従って各文字が置き換えられたものとなっている。
解読の準備
まずは黄色い文字で綴られたページまで日記を読み進めてみよう。すると画面右下に丸められたメモ(上画像)が出現するので、カーソルを合わせてAボタンで開封して中身を確認。
青いテキストが対応した暗号の形式、赤いテキストが暗号の解き方に関するヒントをそれぞれ示している。手がかりが与えられるだけで直接的な解放は示されないため、プレイヤーはこの僅かな内容を手掛かりに暗号解読に臨む事になる。
メモを確認したら解読の準備を行っていく。方向ボタンの↑を押すことでボードの上部が開き、暗号解読に必要な各種アイテムを選んで使用することができる(アイテムはチャプターが進む毎に随時追加される)。暗号の解読には「スライド式暗号機」を選択しよう。
すると画面上に以下のようなガジェットUIが表示される。両端の「◂▸」にカーソルを合わせてAボタンを押すと、内側のアルファベットと数字が描かれたプレートを1つずつ左右にずらすことができる。これにより外枠の表記と照らし合わせることで、何文字分ズレたのかを一目で確認することができるといった仕組みだ。
なお、使用中の各種アイテムはドラッグ&ドロップで好きな場所に配置することができるので、その時その時で作業を行い易いように必要に応じて動かしておくといいだろう。
シーザー暗号
シーザー暗号では、決まった文字数分のアルファベットをシフトさせて暗号化を行う。例えば各文字を2つ分左にシフトさせた場合、「C」は「A」、「D」は「B」へ…といった具合に置き換えられた形で暗号化を行う。
キーワード暗号
メモの中にヒントとなるキーワードが記されており、その単語通りにアルファベットを置き換える方式の暗号化。ただし注意点があり、単語内に重複する文字があった場合は1回分しか数えないというルールが設けられる。
ここでは仮にキーワードが”APPLE”である場合を例として、上述のキーワード式暗号のルールに則った置き換え方の解説を行っていく。
まず1つ目の「A」については、1文字目と同じである事から動かさずにそのままとし、2つ目の「B」は「P」に置き換え。3文字目も「P」が該当するが、2文字目と重複しているため今回の場合は数えない。その影響で3つ目の「C」は4文字目にあたる「L」に、4つ目の「D」は5文字目である「E」へと置き換える。
先頭の「A」を除く2~4文字目までが全て入れ替わったことでそれ以降の文字の並びも自然と入れ替わった形となる。5つ目以降は「B」、「C」、「D」と続き、その次には4文字目と入れ替わった「E」に代わって「F」が来る。以後は「Z」まで従来のアルファベット通りとなる。
解読器の文字がどうにも小さく、特に「B」と「E」などは形状がかなり似ていて一見では見分けがつきにくい。うっかり見間違えないように。
日付キー
アイテムの1つである”日付キー”を活用して、あらかじめ用意された日付と数列から成るリストを手掛かりに解読していく。
上画像がその日付キーの一部分だが、以下ではこのキーの特定の箇所を使って解き方の解説を行っていく。
例えば、鍵となる日付が”11日”であった場合はまず「DATE」の「11」の部分に注目。するとすぐ隣に「KEYS」の1行目(灰色の部分)が「0420」となっているのを確認できる。この場合、暗号器の「04」にあたるアルファベットの「D」と「20」にあたる「T」を相互に置き換えることで回答へと近づける。
ある程度先の章から登場する暗号方式だが、手がかりである日付キーにしても一見ではただの数列であるため、どう扱えばいいのかも分かり辛い。
以上の3種類が暗号の方式だが、実際のゲーム内では基本ルールを踏まえた上で、正解へと至るための更なる条件がヒントとして記され、プレイヤーの柔軟な発想や洞察力が問われる。初回プレイ時は、各章毎に是非じっくりと解読に臨んでみよう。
暗号の解読作業
解き方が分かったら、いよいよ解読作業へと移っていく。方向ボタンの↓を押すことでボード上の下部パネルが開き、キーボードのキー配列と同様のケーブル端子(ソケット)を持った機械が登場。
計26種のアルファベット毎に1組ずつの接続用プラグ(凸側)とソケット(凹側)が備わっており、正しい組み合わせでOUT(右側)からIN(左側)へと合計5本分のケーブル接続を行う必要がある。
組み合わせが正解だった場合は1組分につき左側のランプが上から順に1つ点灯。1箇所でも違う場合はランプは全て消える仕組みとなっている。
ただしこのランプは、章が進むに連れて特定の箇所が故障によって点灯しなくなるといったトラブルが発生する。一度機能が停止したランプは以降の章に進んでもそのままの状態が継続され、更に故障箇所はチャプターが進むに連れて次第に増えていくため非常に厄介な妨害要素となってプレイヤーの前に立ち塞がる。
5箇所のランプを上から下まで全て点灯状態にすることで暗号解読完了(SOLVED)となり、一番最初の暗号化ページへとジャンプ(ただし故障箇所についてはランプが点灯しない事から、正誤の確認はより下の方に位置するランプが点灯しているかどうかが手がかりとなる)。
全てのページを読み終えると画面中央上部に思い出の写真(上画像)が1枚出現。これをチェックして現在の章は完了となる。
全10章を通じ、計10枚の写真を集めることでエンディングを迎えることとなる。果たして、この日記には作者のどのような真意が秘められているのだろうか?
プレイ後の感想
表題である「The Wake」は複数の意味を持つが、中でも「通夜」という表現が今作の題材として相応しいものとなるだろうか。その言葉通り、祖父の葬儀の合間に起こった”秘密の日記の発見”という出来事が切っ掛けとなりゲームは展開していく。
大まかなゲーム内容は”暗号を解いて日記の全容を明らかにする”事であり、全10章のチャプターを通じてプレイヤーの前に示されるのは、日記作者が生前、その生涯を通じて抱いていたとされる家庭環境や家族に対する蟠り、葛藤といった想いの吐露だ。
1章辺りのテキスト量は数百文字以内で収まる内容で、ゲーム全体としてのボリュームは思いの外短め。ゲームシステムの肝である3タイプの暗号解読は、この手のパズルに馴染みのない者にとってはルールからしても少々変則的で、プレイヤー次第で難易度も大幅に前後するものになると思われる。
筆者の場合はプロローグで挿入されるチュートリアルや解き方が記されたヘルプを見ても、第3章辺りから外部の力(検索)無しでは中々正解へと至る事ができないという悔しさを味わうことになった。そのようなもどかしい思いを抱いてもなお、”秘められた内容を暴く”といった本作ならではの抗いがたい魅力を本作からは確かに感じられる。
SOMI氏の手掛けるゲーム作品と言えば、TVドラマや一本の映画の物語を追うかのようなストーリー性も特色の1つで、これは「Legal Dungeon」や「未解決事件は終わらせないといけないから」の”清崎蒼シリーズ”に特に強く見られるところだ。一方で本作については、ゲームデザイン的な面で見ると同作者が手掛ける「Replica」のようなパズル色が強い傾向にある。
そのため、日記の内容に没頭したいというプレイヤーにとっては暗号解読パートが返って煩わしいものとして映ったとしても致し方ないところかもしれない。筆者は思い切り活用したクチだが、各暗号の解き方に関してはネット検索で攻略情報がいくらか見つかるので、「物語だけでもどうにか知りたい」という方にとっては大いに頼りとなるであろう事もここで記させて頂く事とする。
暗号解読というゲーム的なアプローチを伴い、誰しもが一度は向き合う事になる「家族」というテーマをリアリティたっぷりに描いたストーリーが展開する「The Wake」。全体的にはパズル好きな方向きな内容になっているが、開発者SOMI氏の手掛ける物語やテキスト、或いはゲームデザインが肌に合うという方にとっては忘れずに体験しておきたい一本でもある。是非お試しあれ。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 7.0 |
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良い点
- ストーリー性を伴う文字置き換え式暗号解読パズルという新鮮味のあるゲームジャンル
- 開発者の家族に纏わる実体験に基づいたリアリティ溢れるテキスト
- 制限時間がなく、自分のペースでじっくりと取り組める
惜しい点
- 小さい画面でプレイする場合、スライド式暗号機に刻印されているアルファベットや数字が非常に見辛い
- ヒントが必要最小限なものしか与えられず、プレイヤーによっては自力で解くのが難しい場合も
- クリア後の追加コンテンツのような特典要素は一切なし
©2019, 2020 SOMI Inc., Licensed to and published by Active Gaming Media, Inc. ※このゲーム内の物語はフィクションであり、登場する[…]