©2021 White Owls Inc. Licensed to and published by Active Gaming Media Inc.
基本情報
タイトル | The Good Life |
対応機種 | Steam,Nintendo Switch, |
販売 | PLAYISM |
開発 | White Owls Inc. |
発売日 | 2021年10月15日 |
対応言語 | 日本語,英語,中国語 (簡体字),中国語 (繁体字) |
備考 | IARCレーティング:12+(軽い暴力) |
作品概要
「The Good Life」はWhite Owls Inc.開発によるゲーム作品。PLAYISMがグローバルパブリッシャーを担当。
多額の借金を抱えるニューヨーカーのジャーナリスト、ナオミ・ヘイワードがイギリスの田舎町レイニーウッズに隠された秘密に迫っていく、といった内容のミステリ要素を絡めたスローライフアドベンチャーゲームだ。
本作を手掛けたWhite Owls Inc.は企業名こそ英語表記だが、大阪を本社に持つゲームディベロッパーだ。
代表取締役であるSWERY氏を中心に今作以外にも「The MISSING」、「Deadly Premonition2」などのゲーム作品をリリースしている。
リンク:White Owls Inc. オフィシャルページ内 商品ページ
操作方法
(※Nintendo Switch版)
JOY-CON(左) | |
上ボタン | クエストリスト表示
(ZL長押しでカメラを構えている時)レンズを切り替える |
下ボタン | ホイッスル使用(羊を呼ぶ)(※羊を手なずけている場合のみ)
(ZL長押しでカメラを構えている時)レンズを切り替える |
左ボタン | 犬に変身(※変身条件を満たしている場合のみ) |
右ボタン | 猫に変身(※変身条件を満たしている場合のみ) |
Lスティック | 移動 |
Lボタン | (メニュー表示中)メニュータブ切り替え |
ZLボタン | (長押し中)カメラを構える |
-ボタン | マップ表示 |
JOY-CON(右) | |
Rスティック | カメラ操作 |
Aボタン | インタラクト/決定 |
Bボタン | キャンセル
(移動時に長押ししながらLスティック操作で)スキップ(※人間状態時) |
Yボタン | 特殊アクション(人間の時:あいさつをする 猫に変身時:鳴く 犬に変身時:吠える) |
Xボタン | 攻撃(人間の時:キック 猫に変身時:爪で攻撃 犬に変身時:噛み付き) |
Rボタン | (移動時に長押ししながらLスティック操作で)走る(※スタミナゲージを消費)
(メニュー表示中)メニュータブ切り替え |
ZRボタン | (ZL長押しでカメラを構えている時)シャッターを切る
(アニマルビジョン中)アクション実行 |
+ボタン | ポーズメニュー |
登場人物
「The Good Life」に登場する、代表的な人物を紹介。
(※下記の画像はゲーム内イベントのカットシーン、及びカメラ機能を活用した際にスクリーンショット撮影を行ったものを併用しています。
一部の画像に微かに”緑色の照準カーソル”が映り込んでいる場合がございますが、これはカメラの仕様によるものとなります。ご了承下さい)
ナオミ・ヘイワード |
多額の借金に頭を抱える、ニューヨーク出身のジャーナリスト。
性格はガサツで口が悪く、言葉の端々に「地獄」という単語を付けるのが口癖。 モーニングベル通信社からの依頼を受けて、イギリスの田舎町「レイニーウッズ」を訪ねる。 |
---|---|
エリザベス・ディケンズ |
レイニーウッズ役場の責任者。
人格者の気質を持ち、レイニーウッズを”世界一幸福な町”と形容するなど、基本的にポジティブな性格。 到着間もないナオミに対しては、滞在用に空き家を用意したり何かと世話焼きな側面を見せる。 |
ウィリアム・ディケンズ |
レイニーウッズの”自称”小説家。エリザベスの兄。
職業柄か、いつも小難しいことを独り言のように呟いていて、話しかけても会話が成立していない事が多い。 |
ブルーノ・エバンス |
カフェ「マッシュルーム&エバンス」の店長。
キノコをふんだんに扱う特製メニューを店の売りとしており、営業時はカウンターでキノコを頬張っていることも多い。 |
ヴァージニア・イエーツ |
雑貨屋「ファンシー&バニー」の店主。
仕立て屋としての凄腕を持っており、こちらがヴァージニアの本業である。 また、夜は動画配信者として活動するといった裏の顔も持つ。 |
ミシェル・オライリー |
カフェ&バー「1977」のバーテンダー。
パンクスタイルのファッションがひと際目を惹くが、唯一の肉親である弟のデビッドや酒好きに対しては優しい。 |
デビッド・オライリー |
町役場の保安課に勤める男性。ミシェルの弟。
木の根や虫を食べる「サバイバル術」を駆使して、大自然を相手に逞しく生きている。 |
ジョン・ベリーマン |
カメラ専門店「John’s(ジョンズ)」の店長。
写真機に限らず機械に対する愛は人一倍で、まるで恋人を扱うように接している。 |
トマス・ベリーマン |
精肉と加工食品を扱う「ブッチャー&グロサリー」の店長。ジョンの父。
日頃から常に大きな声で喋る好漢で現在、店の看板となるミートパイを試作中。 |
マーサ・ベリーマン |
トマスの妻。
元はプロの画家で、絵を描きたいという純粋な気持ちは今も変わらず持ち続けているようだ。 |
ヤン・イーハン |
「幸せのスコーン」を経営する女性。町民からはミス・ヤンとして親しまれている。
日中は自宅で焼いたスコーンを持って、町中を歩きながら販売している。 |
ジョージ・ファーフリー |
医者と獣医師の資格を持つ、「レイニーウッズ動物病院」の院長。
ナオミが罹るどんな病気も、”あらゆる理屈を無視して”完治させてしまう、神の手の持ち主。 |
リタ・バレット |
レイニーウッズの町役場職員。
何かにかこつけて詩を詠むクセを持っているが、ナオミ評は「意味不明で薄っぺらい」。 |
モリス・ダウナー |
「ザ・ダウナーホテル B&B」の経営者。
度々夢の中に現れるという「死神」に、30年間怯える日々を続けているようだが…。 |
ダグラス・マカヴォイ |
「マカヴォイ工務店」で大工を営む甲冑に身を包んだ男。大柄な体躯に似合わず、小声で話す。
素材の販売、加工が彼の主な業務。材料を持ち込むことで、珍しいアイテムを作ってもらえるかも? |
ホレイショ・ストリンガー |
かつて英軍に所属していた退役軍人。
自身が”音楽の師”と仰ぐヘンリーから、教わったヴァイオリンを弾いている。 |
ベネディクト・マコーリー |
セント・アーサー教会の司祭。
聖職者の身ながら、無類の酒好きを標榜している。かつては、「聖水を飲み干す王」と呼ばれていたこともあるとか…? |
サロメ・マコーリー |
エマ姉妹の祖母。孫娘たちにはとても優しい。
ナオミに対しては寄付の素晴らしさに気づいてもらいたい様子を窺わせる。 レイニーウッズに点在するモニュメント「犬猫の祠」について詳しい。 |
エマ・マコーリー |
ベネディクトの孫娘。強かな性格で、赤いメガネがチャームポイント。
クレイ、シャーロットというそっくりな2人の姉妹がいる。 |
ルドマン・ホワイト |
レイニーウッズの大地主、ホワイト家出身の老紳士。
広大な敷地を持つホワイト邸の現家主だが、彼の過去には大きな秘密が…? |
アラン・ホワイト イアン・ホワイト |
ホワイト家の双子の兄弟。右目が隠れている方がアランで、目つきの険しい方がイアン。
常時二人で行動し、発言時もステレオで話しかけたりと、一挙手一投足に高いシンクロ率を窺わせる。 |
ポーレン・アトウッド |
町外れの魔女の家に住む老婆。通称「森の魔女」。
呪術でしか使われなそうな多彩な材料を元に、数々の怪しい薬を調合している。 |
ロネット・バーレイ |
バーレイ牧場で働く牧場主。豪放磊落な性格。
羊の扱いにかけては、彼女の右に出る者はいない程。 |
ノーロック・ホームレス |
レイニーウッズで暮らす、自称”世界で2番目の顧問探偵”。
持ち前の推理力を用いて、難事件を解決へと導く。 ヨウムのワトソンを相棒に連れている。 |
ヘンリー・ポー |
齢100を超える長寿者。自分の背丈よりもはるかに長いあごヒゲが特徴。
ホレイショにとってのヴァイオリンの師匠でもある。 彼の唯一のコミュニケーションの手段は演奏で、言葉はただの一言も発さない。 |
ダニエル・ミラー |
自称、”世界を股にかける 行動派ジャーナリスト”。「ロブスター!」が口癖。
モーニングベル通信からの依頼により、はるばるレイニーウッズへとやって来た人物で、ナオミを一方的にライバル視している。 |
ヒュー・リー |
カネに対する美学を持つ、プロの借金取り。
借金を抱えるナオミを監視し続ける。 |
登場人物の内、レイニーウッズで暮らす各住民は朝、昼、夜と各々のライフサイクルに従った行動を取るため、常に同じ場所にいるとは限らない点には注意が必要だ。
なお、住民の顔と名前がなかなか把握できない、という時には役場の「住民台帳」から簡単に確認できるので、参考にしてみよう。
ゲームシステム
「The Good Life」のUIには一般的な3DアクションRPG風のものが採用されており、類似システムを搭載しているゲーム作品のプレイ経験があれば、比較的馴染みやすいものになっている。
基本的には左上に見える「MAIN QUEST」などの各クエストを進行、その一方で€を稼ぎ、借金の返済額到達を目指していくのが本編での目的だ。
プロローグからしばらくの間は、進行に応じて操作やシステムの説明、ゲームの進め方を含むチュートリアルが随時登場するので、順に覚えながら慣れていこう。
ステータスの見方
①:DC(Dog or Cat)ゲージ | ナオミのイヌとネコに対する支持率を示すメーター。
各種族との触れ合いやレイニーウッズに点在する”祠”への寄付を通じて、より支持が多い方へと傾いていく |
②:健康度 | %表記とメーターでナオミの健康度合いを示す。
極端に低下していると、病気にかかり易くなる |
③:空腹度 | ナオミの空腹度を示す。
0になると、生命値が徐々に低下するようになる |
④:生命値 | ナオミの生命力を示す。
メーターが全て失われるとゲームオーバー |
⑤:眠気 | ナオミの眠気を示す。
メーターが全て失われると、強制的に眠りについてしまう |
⑥:状態効果 | 食事効果や病気など、状態効果発生時に各種アイコンが点灯。
アイコン下の数値は効果残り時間を表している |
レイニーウッズの調査にあたって、ナオミが快適に活動するためのポイントは”健康状態の維持”。ごく基本的なことにして、言うまでもなく現実の生活においても通ずる点でもある。
適度に睡眠を取るなど、比較的規則正しい生活を心がけていれば、そうそう体調を崩すことはないのだが、時間の流れが速いこのゲームでは1日辺りのスケジュール管理は思いのほか難しい。
1秒でも長く継続的な活動時間を延ばしたい、と思うあまり各種食事や薬などの効果についつい頼ってしまうことも多くなるが、何処でも行えるわけではない睡眠のコントロールとなると簡単にはいかない。カフェイン飲料や眠気覚まし効果の食品で一時しのぎはできても、根本的な解決とはなり難い。
調査で遠地に来てしまったものの、どうしても睡眠不足気味なのが気になる― という際は有料ではあるが、祠を使ったファストトラベルで「自宅に帰る」コマンドを活用してみるのもいいだろう。
隠しパラメーターについて
ナオミには直接表示されるパラメーター以外にも、「魅力」、「ストレス」といった隠しパラメーターが存在する。
前者はシンプルに、身だしなみに気を付けているかどうかを問われるもので、住民との会話時に万一、指摘されるようなことがあれば、それは危険信号だ。
基本的には一日一回、シャワーや鏡を利用することで対策は可能なので、一日の終わりや出かける前には必ず利用する習慣をつけておきたい。
後者は空腹時、嫌いな相手に話しかけた際などに増加することがある。簡単な予防法は食事するだけ、と比較的シンプル。
溜まりに溜まった「ストレス」は放置しておくと、状態異常の「頭痛」を併発する原因となるので、早めに解消しておこう。
時間について
「The Good Life」におけるゲーム内時間は現実と同じく朝~夜と流れてゆき、24時間で1日が経過するシステムになっている。
19:00を迎えた辺りから少しずつ日が落ちて辺りも暗くなっていき、一斉に家路へと向かう。夜間も外で活動を行う人物はほとんどいない。
なお、本作では曜日の概念はある反面、年月の概念はない。
借金を抱えるというナオミの作中設定は本編でもしっかりと拾われており、時にはプロの借金取りが訪ねてくるような描写も登場する。
しかしゲームシステム上では、返済期限に縛られるような制約は特に設けられていない。
物語の最終目的くらいの認識で捉え、本編進行はマイペースで進めていって全く問題ないことを強調しておこう。
カメラを使ったシステム
写真を撮る
(※要カメラ)
ジャーナリストであるナオミにとって、カメラは命にも等しい価値を持つアイテムだ。
「The Good Life」ではカメラ撮影、及び写真をフィーチャーした遊び要素やミッションがふんだんに用意されている。
撮影の仕方は、まずZLボタンの長押しでカメラを構えてファインダーを覗き、Rスティックでアングルを調整、任意のタイミングでZRボタンでシャッターを切るだけ。
また、特定の被写体がピント内に入ると、タグが表示されることがある。Rボタンを押すことで確認できるホットワードと一致した対象であるならば、アップロード候補用に撮影しておくのも良いだろう。
装着中のカメラの性能やレンズによって、ノーマル、広角、望遠と撮影方式も変化する。
ゲーム開始初期は「思い出カメラ」というごくシンプルな性能のカメラを持っているナオミだが、撮影可能なのはモノクロ写真のみとなり少々味気ない。
良い画を撮りたいという気持ちが沸き上がると、撮影機材もやはり性能の良いものが欲しくなるところ。
作中では、ジョン・ベリーマンが経営する「John’s」でよりグレードの高いカメラやレンズが購入可能だが、アイテムとしてはどちらもかなり高価な部類に入り、取り分け新品の入手となれば一層値も張る。
定期的な修理が必要という短所もあるが、中古品の購入も可能となっているので、買い替え時はまずはそちらから入ってみるのがオススメだ。
FLAMINGOへ写真をアップロードする
撮った写真は、ナオミの自室に設置されたパソコンを通じて、写真共有サービス「FLAMINGO」にアップロードすることができる。
ページ内右側にある「Hotwords」の項目には上位5位のキーワードがハッシュタグとして並んでいるので、基本的にはこれに沿った写真を撮影してアップロードするのがオススメ。Hotwordsはゲーム内時間の毎週月曜と木曜に更新されるので、こまめにチェックしておこう。
Hotwordsに該当する写真がアップロードされた場合はバズり対象となり、”エモいね!”(❤)の数が飛躍的に上昇しやすくなる。結果、フォロワーの数や収益が増えやすくなるので、積極的に狙っていきたいところ。
ただし、写真は保有可能な枚数が余り多くないため、定期的に整理する必要がある。不要となった写真は早いうちに削除する癖をつけておこう。
変身能力
ゲームの進行を介して、ナオミはネコやイヌの姿に変身できるようになる。
変身によるリスクはこれといってなく人間の姿と自由に切り替えが可能で、変身中はそれぞれの動物の特徴に沿ったアクションが利用可能だ。
ネコ | 主な特徴
・高いジャンプが得意。一方で持久力は控え目。 ・離れた場所から一気に距離を詰めて、気配を悟られずに相手を仕留めることができる。 ・身体の柔らかさや跳躍力を活かして、狭い場所や特定の壁を登ることができる。 |
イヌ | 主な特徴
・スタミナに優れ、長時間連続で走ることが可能。特定のポイントでアイテムを掘り出すことができる。 ・対象1つ分の匂いを記憶可能。落とした物の持ち主の捜索など、痕跡を辿る際に役立つ ・特定の場所にマーキングを行い、なわばりを主張することができる |
アニマルビジョン
動物に変身している際、ZLボタン長押しで「アニマルビジョン」が発動。発動中は、各種族の身体能力を活かした特技を利用可能となる。
例えばネコの場合はアニマルビジョンの発動中、家の外壁に視点を合わせてみるとツメの痕を発見することがある。これは、ネコの姿の時にのみ移動可能となる隠し通路の目印だ。
イヌで使用した場合は匂いの痕跡を可視化させる効果となり、こちらは落とし物の持ち主の捜索や特定の人物の追跡といった捜査には欠かせない。
中には、クエストの進行に必要となるアクションもあるので、2種類の姿で出来る事、出来ない事をそれぞれしっかりと覚えておきたい。
2つの種族を使い分けて、各特技を調査に役立ててみよう。
プレイ後の感想
「The Good Life」は現代風3Dアクションゲームスタイルのインターフェースを持つアドベンチャーで、その内容は公式が提唱するジャンル名通り、スローライフ要素を織り交ぜたミステリーものといった装いだ。
物語はおとぎ話寄りな側面を持ちつつもしっかりとサスペンス要素を漂わせ、海外連続ドラマのような構成で展開。トゥーン調のキャラクターデザインと相俟って子供も大人も楽しめるポテンシャルを持つ。
イングランドの片田舎「レイニーウッズ」は、スタート地点の広場付近にこそ住家が集まっているが、一度中心地を離れると周囲一帯には見渡す限りの平原や湖が並ぶ広大さを見せる。
古城を始めとする石造りの建築物、平原と湖、ととにかく牧歌的な景色は解放感に満ちており、隅から隅まで散策しようとなると、途方もない時間がかかることは必至。
物語ではイヌやネコを中心に動物に纏わる要素が色濃く出ており、羊が乗り物要素として宛がわれている点も一捻り効いていて面白いところだ。
本作はメイン、サイド、緊急といったあらゆるクエストを加味すると、大作RPG1本分に該当するゲームボリュームを持っており、端から端まで味わい尽くすとなればプレイ時間は相当なものとなる。
最も、ゲームジャンルとしてはスローライフを謳っている部分もあるようなので、悠々自適にレイニーウッズ暮らしを満喫するか、クエスト達成の鬼を目指して手を出すかは、プレイヤーのスタイルに委ねられるところが大きい。
また、何処でも好きなタイミングで写真を撮影できるシステムも含め、好きな景色を写真として手元に残したり、「エモいね!」数稼ぎ目当てにネットにアップロードしたりと、現代的な楽しみ方も見られる。バーチャルな観光気分を手軽に味わえるのも、本作の長所の1つとも言えよう。
登場人物との会話の中には実在するサブカルチャーの呼称や名称がそのまま登場したり、今となっては少々懐かしい”顔文字”や「w」(現在でいうところのいわゆる「草」)などのネットスラングが飛び出すことに、筆者は衝撃を受けた。こういった現代的な言葉のチョイスはひとえに、テキスト担当者の妙味によるところであろう。
本作の対応言語自体は、現状そう多くはないが、多言語に対応した場合は上記の言葉がどんな言い回しとなっているのかは興味深いところではある。
一方で、ナオミの体調や魅力の維持といったタスク管理にまつわる面で見た場合、システム的にかなり面倒に感じる部分が目立つ。
1日辺りの時間の流れの速さや、空腹度を始めとした時間経過で減少していく各種パラメーター、金策のやり難さに加えて自身の維持費など、ゆったりと散策を楽しむプレイスタイルにおいては返ってストレスとなり易い。
また、本作の舞台となるレイニーウッズはマップがかなり広大で、各地に点在する祠を使ったファストトラベル機能は使用毎に一定額の€を取られる有料制。
作中では動物変身による走行や、騎乗可能な羊といった高速移動要素も用意されてはいるものの、その点を加味しても移動の快適さに関してはもう少しばかり配慮が欲しいところではある。
ナオミの借金返済が最大の目的となるメインストーリーは、同時にレイニーウッズという町を舞台に展開する人情劇という形でも作用している。
借金まみれの現状に加え、当人が余り乗り気ではない田舎町への取材など、「…ったく、くされ地獄だぜ。」と開幕早々、自らの身の上を呪うかのように悪態をつくナオミ。「地獄」という言葉は彼女の象徴的な口癖で、色んな場面でことある毎に見かけることになる。
「金」の匂いを感じ取ることに関しては人一倍敏感で、暴走することもしばしば(勿論、その度にしっかりとオチがつく)だが、結果その行動が住民たちが抱える数々の問題の救済へと繋がっていく。
物語が進むに連れて、一介のジャーナリストとしての心意気や、その職業から培われたとされる彼女なりの言葉から、人間味に溢れた本来の人柄をしっかりと窺うことができたりと、次第に愛着が湧いてくるはずだ。
物語の中には、幽霊や伝承、妖精に纏わるおとぎ話など、英国ならではの要素を絡めたファンタジー色が強いトンデモ展開も待ち受けている。アドベンチャーゲームファンであれば、是非ともご家族で楽しんでみて頂きたい一本だ。
西欧色溢れる架空の田舎を舞台に、観光気分のスローライフと写真撮影、動物との触れ合いやファンタジーテイストのミステリ、と楽しめる要素がてんこ盛りのアドベンチャーゲーム「The Good Life」をどうぞお試しあれ。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 8.5 |
---|
良い点
- 自然豊かな欧州風の町レイニーウッドを舞台に展開するオープンワールド
- 動物好きには嬉しい、イヌとネコに大きくフィーチャーした作中設定
- SNS投稿による写真の共有といった、現代的なアプローチをゲーム要素として落とし込んでいる
惜しい点
- エリアが無闇に広く、メインクエスト進行時は全域の端から端まで途方もない距離を移動させられることもある
- 空腹度などの細かいパラメーターや時間の流れの速さにより、マイペースでゆっくりと散策を楽しめない
- 受注済みのクエストはアクティブ化しておかないと、条件を満たしていても裏で自動進行されない場合がある
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