シドニー・ハンターとマヤの呪い - プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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©2021 Developed by Collectorvision Games LLC, Published by First Press Games GmbH

 

基本情報

 

タイトル シドニー・ハンターとマヤの呪い
対応機種 Steam/Nintendo Switch/PlayStation4/Xbox One/Mac
販売 First Press Games(各種コンソール版)
開発 Collectorvision Games(Steam版およびMac版は販売も兼任)
発売日 2019年9月12日(Steam版)/2021年6月4日(Switch版)/2024年2月6日(XB1版)
対応言語 日本語, 英語, フランス語, スペイン語
備考 IARCレーティング:7+(暴力(軽度))

日本では2024年現在、PlayStation4版の販売は行われていない

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作品概要

 

「シドニーハンターとマヤの呪い」*(Sydney Hunter and the Curse of the Mayan)はアメリカ・アリゾナ州のフェニックス、及びカナダのモントリオールを拠点に活動を行うゲーム制作チームCollectorvision Gamesが開発、販売を手掛けるゲーム作品。国内コンソール版においてはドイツのFirst Press Gamesがパブリッシャーを担当。

本作はステージクリア&探索型の2Dアクションゲーム。プレイヤーの目的は、地質学者兼冒険家であるシドニー・ハンターを操作して、遺跡の調査とその先に待ち受ける創造神ククルカンの壮大な野望を阻止することだ。

 

開発元であるCollectorvision Gamesは、2008年より独立系ゲームメーカーやパブリッシングを行うメーカーとして活動しており、これまでにいくつかのクラシックゲーム作品群を”非公認”という形で往年の海外製ゲームコンソールマシンColecoVision™、Intellivision、Atari2600などの各プラットフォームへと移植を行っている。

また、オフィシャルサイトではColecoVision™のあらゆるソフトと互換性を持つオープンソースFPGA、”CollectorVision Phoenix™”を公開中。公式サイトでは上記機種も含めた各ソフトウェアの移植経歴がリストアップされているので、興味がある方は彼らの歴史を辿ってみるのも一興となるはず。

 

Sydney HunterシリーズはCollectorvison Gamesにとっての数少ないオリジナルIPで、本作「マヤの呪い(The Curse of the Mayan)」はシリーズ4作目にあたるタイトル。過去の3作品については、Evercade専用カートリッジ「Sydney Hunter Collection」に全て収録されており、この一本と本作があれば既発シリーズ全作品を堪能することが可能となっている。

2022年にはパブリッシングを担うFirst Press Gamesより、世界共通限定本数によるNintendo Switch、およびPlayStation4用豪華特典付き限定パッケージ版の販売も行われた。なお、日本国内においての正式な販売はPC環境を除くと2024年現在、Nintendo SwitchとXbox One、及びその後継シリーズ機のDL版のみで、PlayStation版のリリースは今のところ行われていない。

 

(*表記ブレ:「シドニーハンター マヤの呪い」)

 

リンク:Collectorvision Games(Official Site)

リンク:First Press Games(Official Site(日本語切り替えに対応))

 

ストーリー

 

(※ゲーム内オープニングデモより要約)

 

マヤ歴「ハアブ」が大いなる周期の終わりへと近づき、極めて不吉であると考えられている名の無き5日間、ワイェブの始まりを告げる。

ワィエブの間、マヤの人々は世界は脆弱で無防備な状態であるものと信じていた。

恐怖があらゆる文明の精神を包み込んでいく。

衰弱状態となったこの期に及び、恐れられていた創造神ククルカンは、大いなる周期の再来を阻止するため、古代神殿に降臨した。

終末が近づいている。救世主が現れぬ限り、ククルカンの時を止める願望を止めることはできない。

 

中央アメリカ。マヤ族の故郷、そして彼らの神秘的な過去…

ここで、地質学者であり冒険家でもあるシドニー・ハンターが、この地域の地形を定期的に調査している。

 

突然、何かが彼の目を引く。

遥か彼方で謎のマヤのピラミッドの輪郭を見つけ、”こいつは調査せざるを得んな”と感じた…

 

シドニーはピラミッドの麓まで急いだが、ほんの一瞬立ち止まった。

そして、迷うことなくピラミッドの頂上まで突き進み…

中に足を踏み入れ…

罠にかかった!

 

 

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン 移動、しゃがみ
Lスティック 移動、しゃがみ
Lボタン 武器切り替え
ZLボタン
-ボタン メインメニュー表示

 

JOY-CON(右)
Rスティック
Aボタン 武器で攻撃
Bボタン ジャンプ
Yボタン 武器で攻撃
Xボタン アイテムの使用
Rボタン 武器切り替え
ZRボタン
+ボタン ポーズメニュー

 

操作設定メニュー

ゲーム中、-ボタンのメインメニューから「操作の設定」を選ぶことで操作設定メニューが展開。

メニュー上ではB、A、Y、Xの4つのボタンに各操作を割り当てられる点に加えて、”上+「攻撃」に設定したボタン”の同時押し操作に「アイテムを使う」機能の割り当てが可能となっている。

初期設定時は「未使用」でフリー枠となっているが、必要に応じて設定しておこう。

 

ゲームの進め方

シドニー・ハンターが迷い込んだ遺跡ハアブ神殿を拠点としながら、そこから枝分かれのように繋がっている各迷宮の攻略に挑戦していく。

プレイヤーの基本的な目的は、創造神ククルカンの暗躍によって7つに分かたれたハアブ(暦)の石板と4つの偶像の回収。各迷宮の入り口は冒険を進めていくことで順次開放されていくが、入り口毎に規定数のドクロの水晶を所持していないと入ることができない。

そのため、鍵の役割を果たすこれらを遍く集めることも重要項目の1つとなっている。

 

基本アクション

 
武器攻撃(A/Yボタン) ジャンプ(Bボタン) しゃがみ(↓入力中)

上記に加えて、ジャンプと武器攻撃を組み合わせた空中攻撃も可能。一方で、しゃがみアクション中は移動、武器の使用が共にできない点には注意が必要だ。

2種類以上の武器を所有している場合、LまたはRボタンを押すことでクイック切り替えを行うことが可能となっている。

 

メニュー関連

 

ステータスメニュー

+ボタンでステータスメニューが展開。同画面上で確認可能なのは、現在体力、入手した宝石やクリスタルスカル、武器/アイテムの所持品や装着状態、レリック、各種鍵アイテムの所有状況など。

体力の状態では、ライフ残量によって波形グラフの色が緑、黄、赤の三段階で表示。状態に伴って、シドニー・ハンターの表情も変化する。

 

武器/アイテムの切り替え

プレイ画面同様、LまたはRボタンで装備武器を切り替えることができる。現在装着中の武器は画面下部の武器スロットに要注目。

アイテムは方向ボタンまたはLスティックで使用したい対象にカーソルを合わせることで、画面下部のアイテムスロットの内容が切り替わる。今すぐに使いたい場合はAボタンで即時使用が可能だ。

 

レリックメニュー

ステータスメニュー表示中に-ボタンで展開。レリックメニューでは、入手済みのレリックに関する概要や効果を記した説明テキストを一挙に確認することができる。

アイテムとは異なり、レリックは持っているだけで必要な場面で効果が自動的に発動するので、直接選んで使用するといった機会は登場しない。いずれもシドニー・ハンターの冒険を手助けしてくれるものばかりだ。

 

迷宮情報メニュー

ハアブ神殿内では各迷宮入り口の門の前に立つことで、画面上部に内部のアイテム情報が自動的に表示される。各色ドクロの鍵やドクロの水晶、イエローダイヤモンド、レリックの回収状況を一目で確認可能だ。

迷宮内では道を拓くアイテムを手に入れた後に改めてたどり着ける場所もあるので、1周しただけでは取りこぼしが出ることも珍しくはない。特にレリックやドクロの水晶は重要度が高いので、入場前には必ず入手状況をチェックしておくクセをつけておきたい。

 

アイテム

 

ステージ内の随所に配置されているツボや破壊可能なブロックなどのオブジェクトを攻撃することで、下記表のアイテムの中からいずれか1つが出現する。

 

アイテム一覧

画像 効果
ジェム(通貨)を獲得。色や種類ごとに獲得額は異なる
パイナップル。体力ゲージストックを1つ分即座に回復
エリクシル。アイテムスロットにストック可能な体力回復アイテム。色によって効果量が異なる
爆弾。アイテムスロットにストック可能。特定の壁を破壊することができる。

回収後、7秒経過後に新しい爆弾が同ポイント上に補充される。

ドクロの鍵。各色に対応した”骨の扉”を開錠する。一度使うとなくなる

 

武器の種類

正面前方に鞭を振るう。再使用までの間隔がもっとも短く、連続攻撃に向いている反面リーチは短い。

特定のレリックの入手を経て、より強力な性能となる。

投擲により、シドニー・ハンターの正面前方へ一直線に飛んでいく槍。3種の武器の内、唯一水中でも使用可能。

貫通効果と威力を重視した性能で、一定距離を飛ぶと消滅。

ブーメラン

シドニー・ハンターの正面前方に投げた後、一定距離を飛んで手元に戻ってくる。

一般的なアイテムであれば軌道上に引っかけて、手元へ手繰り寄せることが可能。

初期装備の鞭を除く残り2つは、冒険を進めていくことで入手可能。

3種類の武器はいずれも単体相手には存分に効果を発揮する反面、槍やブーメランに関しては2発以上同時発射ができないなど、複数の敵相手に対処する場合は扱い方に気を配る必要がある。

どの武器を使用する際にも、基本的には一体ずつ丁寧に処理していく慎重な立ち回りを心掛けながら進むことで、交戦時であっても不慮の事故を最小限に抑えられるはずだ。

 

イエローダイヤモンド

各迷宮内には貴重なイエローダイヤモンドが隠されている。

下記で紹介している水晶のドクロ同様、1つの迷宮内に複数個隠されているが、これ自体に特別な効果はない。一種のやりこみ的な意味合いの強いコレクターズアイテムとなっている。

 

水晶のドクロ

本作では1つ目を除く各迷宮への扉を開くためには、一定個数の水晶のドクロを所持していることが条件となっている。

水晶のドクロは各迷宮に複数個隠されている。入場前に入口の前に立つことでアイテムの収集状況が表示されるので、取り残しているようであれば再び潜って探索を行ってみよう。

 

チェックポイントとセーブ

各迷宮の特定ポイントに設置された石像(上画像)に接触、あるいは重なった状態で上方向ボタン(Lスティックでも可)を押すと、リスタートポイントが更新されると共にライフが全快、更に進捗状況が保存される。

本作ではリトライ時に、獲得ジェムの総額やアイテムの入手/使用状況が最後にセーブした時の状態まで戻される仕様となっている。ステージエリア間を跨ぐ際にはこまめに触って進捗状況を更新しておこう。

 

現在進行中のステージから脱出したい時

迷宮の探索中に-ボタンでポーズメニューを展開し、「偶像ルームに戻る」を選択することでホームエリアのハアブ神殿へと瞬時に戻ることができる。

ただし、同じ迷宮に再び挑む際はスタート地点からの開始となってしまうので要注意。

 

プレイ後の感想

「シドニーハンターとマヤの呪い」は2Dサイドアクションに探索要素をプラスしたようなゲームデザインとなっているのが特徴だ。

一定量の水晶のドクロを集めることが各迷宮への扉を開く条件となっており、レリックの入手によって道が拓ける仕様も相俟って、ステージの攻略は比較的筋道立った進行順となる。

 

ハアブ神殿内部や各迷宮ではNPCとしてマヤ族の原住民が随所に登場するが、会話文を見ていると妙に現代的で俗っぽく、ウィットに富んだ会話が飛び出してきたりと本作のノリの良さを覗かせる。所々で内輪ネタのようなものが散見されるがそういったところもご愛敬。

また、各迷宮の最後に待ち受けるステージボス戦では強大なマヤの神々との戦いが待ち受ける。イメージ的には「ロックマン」シリーズのボスバトルに比較的近い。

 

ミスをした場合、最後に触れたチェックポイントまでチェック状況時の段階も含めて戻される仕様となっているが、直接的なデスペナルティ要素は一切ない親切設計。アイテムは種類を問わず最大10個まで持ち込むことが可能なので、各ボス戦ではショップ購入などを通じて回復アイテムを多めに持ち込んでおくことで撃破の確率も高まる。

武器の種類はそれなりに用意されている反面、シドニー・ハンター自身の身体能力の強化に繋がるアクション面での進化は望めず、後半へと進むに連れて厳しい局面も多くなってくる。落下するだけで即死判定となるトラップが多く見られるのはつらいところ。

 

全体のプレイ感は概ね快適である一方、気になったのが各ボス戦で一度見た会話デモをカット、もしくはスキップできないといったところ。

取り分け最終ボス戦のやり取りに至っては会話デモが比較的長尺で、このボスが相応に手強いというのも手伝って再戦の度に同じ会話をスキップなしで何度も見せられるのはかなりの苦痛となる。

 

また、作中のとある場面ではシリーズ一作目にあたる「Sydney Hunter and The Shrines of Peril」の一編をプレイできるというイベントが登場する。これ自体はサプライズとして粋な計らいとして映るのだが、コツを掴むまでの間は障害物を1つ飛び越えるのさえ儘ならず、無駄な動きも一切許されないという非情な難易度をプレイヤーの眼前に突き付けてくる。

更にこの一編は単なるおまけ的な要素というわけではなく、本編に組み込まれたれっきとしたメインストーリー上のイベント扱いとして登場する。そのため、先へと進むためには提示される条件のクリアが必須という厄介な仕様となっている。

実際、クラシックゲームならではのクセのある操作感や、それに伴う遊びにくさもオリジナル版をそのまま踏襲しているのが厄介なポイントだが、あくまでサプライズ的な扱いということからか全編は短く、クリアのハードルもある程度抑えめに設定されているのがせめてもの幸いといったところか。

 

上記の「The Shrines of Peril」を始めとする同シリーズの前3作品は、いずれもColecoVisionやSega MasterSystemと言った現在と比較しても制約の高いハードウェア向けに作られたタイトルだった。筆者はこれらのタイトルをEvercadeにてリリースされたCollection版で1作ずつ触ってみたが、それぞれが異なる毛色を持った内容でありながらいずれもに特有の遊び辛さを感じる結果となった。

一方で本作「マヤの呪い」はNintendo SwitchやPlayStation4といった比較的現代のプラットフォーム向けに作られた最新作で、上記3作と比べてアクションゲームとしての面白さや遊び易さは格段に上昇。多数の移植活動で培った経験を余すところなく注ぎ込んだCollectorvision Gamesの集大成とも言える出来に仕上がっており、全編を通せば10時間程度のゲームボリュームと遊び応えも満点。

 

全体的にゆったり気味の操作感ではあるがアクションゲームとしてのまとまりが良く、安定感のあるローカライズとしっかりと楽しめるゲームボリュームも含めトータル的な満足度の高い一作に仕上がっている。

遊び応えのある2D探索アクションゲームをお求めの方は、本作「シドニーハンターとマヤの呪い」を是非お試しあれ。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 8.5

 

良い点

  • シンプルな操作体系と遊び易いゲームデザイン
  • 高水準なローカライズ
  • しっかりと楽しめる全編10時間程度のボリューム

 

惜しい点

  • 全武器を通して発動が心持ち遅く、空中での攻撃タイミングが計りにくい
  • 水晶のドクロの仕様により、迷宮を攻略する順序にあたっての自由度は低め
  • プレイ感覚が本編とは全く異なるシリーズ1作目を強制的にプレイさせられるように組み込まれている

 

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