スーパーマン(ファミリーコンピュータ版) ~スーパーマン生誕50周年に登場した記念碑的ゲーム作品

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©1988 KEMCO TM & ©DC COMICS INC.1987

UNDER LICENSE FIRST STAR SOFTWARE INC.

 

 

基本情報

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タイトル スーパーマン(Superman)
対応機種 ファミリーコンピュータ
販売/開発 ケムコ/Firststar software
発売日 1987年12月22日
備考 「スーパーマン」生誕50周年目前となる1987年に発売。年明けには50周年記念作品として「スーパーマン4 最強の敵」が日本劇場公開

 

作品概要

「スーパーマン」はケムコから販売されたファミリーコンピュータ用のアクションゲーム。大都市ニューヨークを悪の根城と変えるべく暗躍するスーパーヴィラン(=”怪人”を意味する作中用語)達を相手に、地球の正義と真実を守るためスーパーマンが立ち上がる― といった物語になっており、彼以外にもレックス・ルーサーなどファンにはお馴染みの宿敵たちがストーリーを追うごとに登場する。

 

原作について

 

「スーパーマン」の原作となるのはアメリカンコミック「D.Cコミックス」内の作品「Superman」で、その歴史を紐解いてみると本編内のキャラクター・スーパーマン(Superman)は1938年、ジェリー・シーゲルの原案によって生み出され、ジョー・シャスターが作画を担当したのが初出とされており、その起源は実に1世紀近くにも遡る。

(参考:スーパーマンja.wikipedia.org

 

スーパーマンが登場する映像作品として幾度か映画化がされており、日本において70~80年代ファンにとってはクリストファー・リーブ主演の映画シリーズ「スーパーマン」計4作、近年においてはヘンリー・カーヴィル主演の「マン・オブ・スティール」や、DCコミックヒーロー共演の映画作品「ジャスティス・リーグ」が特に有名。

ファミリーコンピュータ版である本作の発売日はちょうどスーパーマン生誕50周年記念映画作品「スーパーマン4 最強の敵」の日本公開時期となっていたこともあってか、ゲーム内ではNPCが50周年を祝うセリフも登場していたりする。

 

ゲームの特徴

ファミリーコンピュータ用ゲーム「スーパーマン」のゲーム方式は探索型のサイドスクロール2Dアクションで、スーパーマンと新聞記者クラーク・ケント2つの姿を使い分けながらニューヨークで発生する様々な事件解決を目指していくという内容だ。

事件の中心で暗躍する”スーパーヴィラン”の居所を突き止めるべく、ニューヨーク中を駆け巡って情報を集めながら少しずつ首謀者の元へと迫っていく— といったアドベンチャー要素の強い作風となっている。

 

操作方法

 

十字キー 移動/(メニュー画面)カーソル移動/(上方向入力)ジャンプ/(扉の前で下方向入力)扉の中に入る
Aボタン パンチ攻撃/(人物の近くで)会話/(看板の前で)看板を読む
Bボタン 選択中の能力を使用
STARTボタン ステータス、能力確認画面表示
SELECTボタン マップ画面表示

操作のコツ

本作におけるジャンプは任意で高度を微調整できず毎回同じ高度になるため、クラークに比べてジャンプの高度が高いスーパーマン状態の時は細やかな動きをしたい際にこの特徴が返ってネックとなってくる。

飛翔中Aボタンを押すことでパンチを繰り出すと同時にその高さで上昇を停止、これを上手く使えば結果的に空中制御が可能となる。そのまま軽くAボタンを連打すればパンチの連続モーションで疑似的な空中静止が可能なので、低高度のジャンプで銃撃をかわす→即座に着地してパンチで反撃、といった立ち回りをしたい時などに利用すると良い。

 

スーパーマンの2つの姿

 

ファミリーコンピュータ版「スーパーマン」は探索型のアクションアドベンチャーゲームとなっており、クラーク・ケント、スーパーマンの2通りの姿で行動することができる。

クラーク・ケント

クラークは新聞社デイリー・プラネッツで働く記者という身分であるがこれは地球で活動する上での仮の姿で、原作と同じように街中の電話ボックスや建造物内で時々確認できる公共トイレに入る事で、真の姿である超人スーパーマンへと変身することができる。

カル・エル(スーパーマン)

クラークの故郷であるクリプトン星での本来の姿がカル・エルことスーパーマンだ。クラークの姿の時と比較して移動速度、及びジャンプ性能の向上や各種能力の利用が可能、とメリットが多いためプレイ中はほぼこの姿で行動するのが基本となる。スーパーマンの姿でいる際にライフを著しく消耗すると強制的にクラークの姿へと戻されてしまう。

 

スーパーマン時の能力が優れている上に変身の条件も難しいものではないため、クラークの姿でいるメリットはほとんどないが、変身中に比べて敵を撃退した際に回復アイテムが出やすいという特徴があるので、万全を期してライフを全快にしておきたいという時はクラークの姿を利用するのも1つの手だ。

 

スーパーマンの能力

 

原作にてスーパーマンが有する能力は怪力、超耐久力、時速800万kmでの飛行などそのバリエーションは豊富。ゲーム内でも原作のイメージから逸脱しない能力を使用することができる。

ステータス/能力確認画面

プレイ中、スタートボタンを押すことでステータスと能力の確認画面に切り替わる。表記はそれぞれATPは攻撃力をDFPは防御力を表しており、これら2つの数値はゲーム進行を経て少しずつ増加していく。能力はそれぞれにゲージが設けられており、使用する毎に一定量を消費。消費分は敵を撃退する事でドロップするアイテムを回収すれば一定量回復することができる。

本作で登場するスーパーマンの能力は以下の6種類。

 

X-RAY VISION

化け猫などのそのままでは姿が見えないターゲットを可視状態にすることができる。効果は使用後からエリアを切り替えるまで継続なので、一度だけの使用でOK。

SUPER FLIGHT

使用後、マップ画面に切り替わり、移動先を指定する事でそこまで瞬時に移動することができる。いわゆるファストトラベル能力だが消費量が比較的大きいので、使用後はアイテムを回収して回復しておこう。

SUPER SPIN

超速で身体を回転させることでドリルのように掘削し、特定の地面を掘って地下道エリアへと移動できる。地面を掘って移動できる場所以外にも、地上からはしごで直接降りられる場所もある。探してみよう。

HEAT VISION

眼から発せられる熱線(ヒートビジョン)を前方に照射する攻撃技。威力が比較的高く、ボス戦で使うと効果的だ。

SUPER BREATH1

突風の息を吹き付ける攻撃技。一部の敵に有効な攻撃技だが、下段で紹介している同2に比べるとやや出番は少な目。

SUPER BREATH2

肺の中で液体窒素へと転化した息(スーパーブレス)を吹き付け、命中した相手を一定時間氷漬けにして動けなくする。そのままではパンチによるダメージが通らないゾンビなどの一部の敵に有効な技なので、上手く使って行こう。

 

これら6種類のアクションはいずれも能力ゲージ分のみ利用できる。1回使う度に一定量ゲージを消費するが、能力アイコンと同じ図柄のアイテムを取る事で少量回復できるので、小まめに敵を倒して常時満タン状態にしておきたい。

また、これらの能力は特定の屋内エリアの敵を全滅させることで、最大値をアップするアイテムが出現することがある。事件に関係なさそうな建物でもくまなく散策して、積極的に回収していくことでスーパーマンの能力も高まり、その後の進行が楽になるだろう。

 

事件の調査

本作の基本的な流れは、ニューヨーク中を駆け回りながら現在発生中の、あるいはこれから起きようとしている事件にまつわる手掛かりを集めて、未然に首謀者の悪事を防いでいくといったものになっている。各章は、クラークが働くデイリープラネット新聞社からスタート。巷で話題となっている事件の確認を行った後、街へと調査を進めていく。

 

 

序盤はミッドタウンを中心に情報収集を行っていくことになるが、最初の事件解決後にフリーパスを入手できる。これ以降は地下鉄の利用が可能となり、調査可能な範囲が更に広がっていく。

 

 

能力の1つスーパーフライトを駆使することで長距離間の移動も可能となるので、必要に応じて使って行こう。

 

チャイナタウン

 

リバティ島

 

舞台がニューヨークということでグリニッジ、チャイナタウン、ウォール街、リバティ島などの実在の地名も複数登場。一見何もなさそうなエリアでも決して見落とさず、くまなく調査していこう。

 

時々マップ画面や建物の前で「Help」と表示される場合があり、屋内では助けを求める人物が隠れている。見かけたら迷わず調査してみよう。

 

地下道に身を潜めていたこの人物はある事件の関係者。果たして彼の口からはどんな真実が語られるのか―?

 

事件解決 ~デイリープラネットの一面記事

ゲーム内での明確な区切りこそないが本作では発生する事件1つ1つが実質的にチャプターの形式をとっており、一連の事件の黒幕を倒したあとに上記のフレーズと共にスーパーマンがニューヨークを飛行する姿を市民が一斉に見つめる、という演出がお馴染みのキャッチフレーズと共に挿入される。

 

鳥だ!!

 

飛行機だ!!

 

いや…

 

スーパーマンだ

 

本作で発生する事件はクリストファー・リーブ主演版となる旧4作品映画のものがベースとなっているが、その一部には本作オリジナル(こちらについては原作に沿ったキャラが登場するわけではなく、どちらかといえばコミカル路線)のものも含まれている。

解決した傍から次々と発生していくトラブルや事件。日々、困難に曝されながらもニューヨークの平和、そして正義と真実のためにスーパーマンは今日も戦い続ける―

 

プレイ後の感想

スーパーマンは今でこそD.Cコミックスに多数登場するアメリカンコミックのヒーローの1人、といった認識だが、強靭な肉体とたなびくマント、青赤黄というトリコロールカラーを基調にしたファッションが相俟って、当時洋画作品を放映するテレビ番組を通じての筆者にとってはスーパーマンのビジュアルはとても強烈な個性として映り、スーパーヒーローという存在を最も強く意識することになった初めてのキャラクターだった。

さて、ここからはファミコン用アクションゲームとしての本作の感想だが、操作感のクセがやや強い一方、難易度は控え目でそれに倣うように敵のアクションも比較的緩い傾向にある。アクションゲームはあまり得意ではないプレイヤーでも、ゲームの雰囲気と能力の使い方を覚え、進め方のコツさえ掴めてくれば特に詰まる事もなく最後まで進めることができるだろう。

キャラクターの頭身は勿論のこと、この時代に作られた作品ならではの“どこかノリの緩い”ゲーム内テキストなど、様々な部分が大きくデフォルメされすぎていて原作の名残はほとんど見られないが、その一方で主人公の能力の1つであるスーパーフライトを使った”ファストトラベル”機能や、ニューヨーク一都市を丸々作中の舞台にしているスケールの大きさ、といった部分については「オープンワールドの原点とも言える作風なのではないか?」という趣も少なからず感じさせるゲームデザインだ。

 

版権作品であるだけに、今後本作の復刻は原作の生誕〇周年といったような機会でもない限りはまずないと思われるが、ソフト自体は現代であっても比較的手に入れやすい方に分類される。アクションゲーム的には佳作といった内容だが、”緩いノリでスーパーマンが活躍するアクションアドベンチャーゲーム”というキーワードから本作が気になった方は是非挑戦してみて欲しい。

 

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 4.5

 

良い点

  • 1987年発のアクションアドベンチャーゲームの中では比較的ボリュームがある
  • 旧作映画でお馴染みのメインテーマがBGMとして使われている
  • 海外産ゲームながらも難易度は控え目でとっつきやすい

惜しい点

  • ゲーム進行に直接影響はないが主にBGMに処理落ちが多発し、この面が悪印象に写る可能性も
  • ビルと説明があるのに1フロアしかない場所が多いといった部分も含めて、建築物内部エリアは使いまわしが多く変化に乏しい
  • いかにも意味ありげに設けられている地下道エリアだが、本編内では存在意義が薄い(重要なエリアとして登場するのは作中1,2度程度)

 

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