©HZ3 Software All rights reserved. Licensed to and published by Active Gaming Media, Inc.
※各スクリーンショットはゲーム内オプションの「CRTフィルター」をオンの状態で撮影しています。予めご了承ください。
基本情報
タイトル | Strange Telephone |
対応機種 | Steam/Nintendo Switch |
販売 | PLAYISM(全プラットフォーム) |
開発 | HZ3 Software |
発売日 | 2019年1月21日(Steam版)/2019年11月7日(Switch版) |
対応言語 | 日本語,中国語 (簡体字),中国語 (繁体字),英語 |
備考 | Unity制作 |
作品概要
「Strange Telephone」(「ストレンジ・テレフォン」)はゲームデベロッパーHZ3 Softwareによって開発されたゲーム作品。全プラットフォーム版においてPLAYISMが販売を担当。
ゲーム内容は不思議な世界に迷い込んだ少女ジルを操作して、色んな空間を散策しながら元の世界に戻る手段を探して行くサイド方式のウォーキングアドベンチャーゲーム。タイトルにもあるTelephone(電話)が作中の世界を歩く上での鍵となっているのが特徴だ。
操作方法
(※Nintendo Switch版)
JOY-CON(左) | |
上下左右ボタン | 移動、カーソル選択 |
Lスティック | 移動、カーソル選択 |
Lボタン | (電話メニュー中)電話をかける、アイテムウィンドウ呼び出し |
ZLボタン | (電話メニュー中)電話をかける、アイテムウィンドウ呼び出し |
-ボタン |
JOY-CON(右) | |
Rスティック | |
Aボタン | 決定 |
Bボタン | キャンセル |
Yボタン | |
Xボタン | メニュー呼び出し、(電話メニュー中)電話帳の検索 |
Rボタン | 通話切断 |
ZRボタン | 通話切断 |
+ボタン | メニュー呼び出し |
「Strange Telephone」ではジルの移動と、アイテムを使ったインタラクト、そして電話の操作がメインのゲーム操作となる。
全体的に徒歩による散策要素が強調されたゲームデザインで、激しさを伴うアクションを要求されるようなシーンは実質皆無。画面上には毎回、各操作のアイコン毎に使用ボタン名が表示されるので、戸惑うことはないだろう。
ゲームシステム
📞スタート地点
ゲームスタート直後、操作キャラクターである少女ジルは大きな扉のある空間で目を覚ます。ゲーム中はここを拠点として利用しながら、電話の形状をした生命体・グラハムと共に各世界を渡り歩いて、元の世界に戻る手がかりを探すのが最大の目的となる。
📞電話をかける
スタート地点にいる際、任意のタイミングでRボタンを押すとグラハムを使って電話をかけることができる。使い方は、プッシュフォン同様の0~9、及び*と#の計12のボタンを組み合わせて6桁の番号を1つずつ入力。最後に通話ボタン(Lボタン)を押せば、入力した番号に対応した世界へと繋がって移動することができる。
世界の何処かで手に入る「サーチデバイス」というアイテムを持ち歩いている際には、番号の入力画面上に移動先の世界にあるオブジェクトがアイコンの形となって一覧で表示される。目的となる対象がいる際には参考となるだろう。
📞電話帳
6桁分の数字、もしくは記号を入力した際にXボタンを押せばその番号を電話帳に登録することが可能。登録した番号は、巨大扉右側の台座に置かれた電話帳から確認できる(電話帳の近くでAボタンを押すと専用のメニューが表示される)。
登録済みの番号は入力の手間いらずで簡単に呼び出すことができるので、ピンポイントで移動したい世界がある時は番号登録を活用してみよう。
📞各世界の散策
入力した番号で繋がった世界では、まずはひたすら歩いてみよう。「Strange Telephone」の世界には果てという概念はなく、特別なパターンとなるごく一部の番号を除き、全て地続きで繋がっている。電話番号1種類辺りの世界の広さはおよそ1~3画面分相当で、両端にたどり着くと1桁目が1つ分繰り上(下)がって次の電話番号の世界へと切り替わるという仕組みだ。
大半の各世界には1種類以上のオブジェクトが点在しているので、気になるものがあれば近くに寄ってAボタンで調べてみよう。画面下部に表示されるテキストはヒントになっている場合も?
📞アイテムを使う
「Strange Telephone」ではスタート地点である大扉の空間に置かれた「太陽のランタン」など、各世界の散策を通じて様々なアイテムの入手が可能。一度手に入れたアイテムはいずれも使用回数に限らず失われることはなく、各エンディング到達後でも所持したままとなる。
アイテムはLボタンでリングコマンド風の専用メニューを呼び出し、使いたいものを選んでAボタンで使用。アイテムメニューは最大14枠の2ページに分かれていて、Xボタンでページを切り替えることができる。一部のオブジェクトには特定のアイテムを使うことでイベントが起こるものが存在するので、新たにアイテムを入手したらどんな作用を起こすのか、色んな対象に試してみよう。
📞活動可能な時間について
画面左上に最大5段階の数字と共に表示される円形のメーターは、世界への接続1回辺りのジルの活動可能時間を示している。
メーターは36秒毎に1段階上昇し、それに伴って画面に発生する歪みの大きさも増加。5に到達すると同時に強制的に世界との接続が切れて、”エンディングNo.5″へと到達(事実上のゲームオーバー)することになる。(ただし、アイテムメニュー展開中に限り、例外的に時間が停止した状態となる)
本作では探索目的で接続した世界で無意味に長居するという行為には一切メリットがない。メーター自体は一旦、大扉の空間に戻ることで初期化されて0に戻るので、タイムリミットが迫り始めたら早々に探索を打ち切って、Lボタンで任意の回線切断を行い、戻って仕切り直そう。散策の再開時には、あらかじめ世界の番号を記録しておいて続きから再開するもよし、装い新たに別の電話番号を試してみるのも良し、選択はプレイヤーの自由だ。
プレイ後の感想
「Strange Telephone」はゲームデザイン的にはごくシンプルな構成で、いずれかのエンディングに辿り着くだけなら最短で5~10分もあればすぐ辿り着くことができる。
全11種類あるエンディングについては最初に向かうべき世界に辿り着き、そこでキーアイテムを順当に入手できれば、以降、オブジェクト1つ1つに総当たりでアイテム使用を試みていくだけでも最終的に半分程度は自力での回収が可能。しかし、そんな中にも使い方に悩むアイテムやインタラクトの発生条件が分かり辛いオブジェクトが紛れているため、ネットなどを駆使して各自で情報を調べない以上はノーヒントで全エンディングを拝む事は容易ではない。
「電話番号毎に様々なバリエーションが存在する」という本作の世界については、メタ的な視点で見た場合、単純計算で実に1,200,000通りものパターンが存在することになる。とはいえ、1つ1つが果て無く地続きで繋がっているのは確かながら、開始1時間もプレイする内に、多少の変化は持たせつつも実際は決まったエフェクトやオブジェクトパーツの使いまわしの連続である事に気づくこととなる。中には、その時点で冷めてしまうプレイヤーも一定数出てきてもおかしくはないところだろう。
しかし、膨大なパターンが存在する本作の世界は、当然ながら実際に遊んでみたプレイヤーの分だけ目にする組み合わせが存在するということでもあり、そこで活躍するのが各種SNSやTwitter、動画配信といったインターネットサービスだ。これらの媒体がすっかり身近なものとなった現代において、認知度が一定数あるゲームにまつわる話題となれば「スクリーンショットやプレイ中の動画、ゲーム実況配信を通じて、世界規模での話題を共有」という流れが出来上がるのは、今やサービス利用者の間では共通認識。
「Strange Telephone」でこうしたゲームプレイを行う場合、例えば「〇〇といった番号を入力してみたら、こんな世界にたどり着いた!」といった形でプレイ中に撮影したスクリーンショットやハッシュタグを添えて各種サービス上へと投稿、シェアすることで、まだその世界に訪れていないプレイヤーが目にすれば、それが新たな世界の発見へと繋がっていく。本作のゲームデザインはこうした「ゲーム体験のシェア」との相性の良さから、もしかしたら制作側の狙いは最初から”ソーシャル的なシステムを駆使したゲームプレイ”にこそあったのではないか、と筆者は考える。
作中では「迷い込んだ世界」の真相に迫るようなことは終始なく、ゲーム内容の中心はあくまでも、”ジルの脱出”に絞られていると言っても良い。また、人語を介する対象が登場しないこともあって、基本的に誰一人として言葉を交わす場面が登場しない。そのため作中でのテキストは、アイテムの説明や各インタラクト後の説明といったごくシステム的なもののみに限定されている。
(各世界に存在するオブジェクトやエンディングの意味するところについては、ゲーム起動時のスタートメニューにある「書庫」(どのオブジェクトもたった数十文字のテキストでさらっと解説されるのみ)や、プレイヤー各自の想像を通して補う必要がある)
ゲーム内ではっきりとしたストーリー性を明示して欲しい、というプレイヤーにとっては謎だらけのどこかぼんやりした本作の世界観と、歩行による散策がひたすら続くスリリングな要素のない控えめなゲーム内容は、退屈と映ってしまいがちな向きもある。この点に関しては、実際にプレイしてみることでプレイヤー毎に評価がハッキリと分かれるポイントとなるだろう。
サイケデリックな演出とファンシーなドットグラフィックによって彩られる、夢の中にいるかのような何処か不安定で、掴みどころのない独特の世界観。それこそがまさしく、本作「Strange Telephone」の最大の見どころである。グラフィックのタッチが近い「ゆめにっき」や「アンリアルライフ」のような、”不思議な世界のおさんぽ色”の強いアドベンチャー作品に関心が強い方は、一度お試しあれ。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 6.5 |
---|
良い点
- 電話番号で繋がる世界というオリジナリティの強い作中設定
- ドットグラフィックとサイケデリックなエフェクト演出で彩られる、可愛らしさと不穏さが入り混じったちょっぴりダークな独特の世界観
- “SNSやゲーム実況を通じて行うゲーム体験のシェア”というソーシャル的ゲームプレイとの高い親和性を持った作風
惜しい点
- ゲーム進行中はテキストによる説明はほぼ皆無。世界への理解に関してはアーカイブの補足で補うしかない
- アクション的な要素は登場せず、全体として地味目で展開の緩急に乏しい
- ゲーム内ではヒントの類は一切用意されておらず、外部の情報に頼らない場合は総当たりによるゲーム進行に陥り易い
Strange Telephoneの世界
以下で紹介するのは「Strange Telephone」に登場する世界のほんの一例。
それぞれの世界に対応する番号はあえて伏せてあるので、果たしてどの番号の世界なのか、是非自らの手で辿り着いて見て欲しい。
作業台と思しきテーブルの上には工具箱と作りかけの電球。反対側に置かれた、錠前付きの箱の中身も気になるところ…。
一面目玉で象られた大地の上に佇む、一つ目の異形の存在。妖しく光るその赤い眼光は、何を見つめているのだろうか?
一体どうやって辿り着いたのか。地獄の門と表記されたこの世界では、妖艶な夢魔が来訪者を待っている。一説によれば、彼女の特技は裁縫らしい…?