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基本情報
タイトル | Papertris |
対応機種 | Steam,Nintendo Switch |
販売 | Flynn’s Arcade(Switch版)/Paper Games(Steam版) |
開発 | Paper Games |
発売日 | 2023年3月30日 |
対応言語 | フランス語,ドイツ語,イタリア語,スペイン語,英語 |
備考 | IARCレーティング:3+ ※日本語非対応(ゲームプレイ自体には直接の影響はなし) |
作品概要
「Papertris」はドイツのゲームスタジオPaper Gamesによって製作されたゲーム作品。Nintendo Switch版のパブリッシャーはFlynn’s Arcadeが担当。
本作は落下型パズルゲームで、同ジャンルとしては余りにも有名な作品である『TETRIS』の生誕30周年を祝して作られたタイトルであるとのことだ。
(※今作は、そのフォロワー的なタイトルという位置づけの作品で、『TETRIS』の開発に携わったスタッフとは特に関りはないものと思われる)
ディベロッパーのPaper Gamesは中心人物であるThomas Jansen氏、そして彼の3歳と5歳(2023年現在)の実子の計3人から成るプロジェクトチームで、これまでに「Allakin」というゲームが本作以前に製作されている。
開発の大部分を担当しているThomas氏はともかく、年齢的にもまだ幼いスタッフ2名の気になる役割については、ストアページの紹介によれば今作「Papertris」ではタイトルロゴを含むフォントデザインを手掛けているとのこと。
このような親子同士の二人三脚による、アットホームで手作り感が滲み出る製作体制も、本作の魅力的なポイントの1つだ。
リンク:Paper Games(ディベロッパーTwitter)
リンク:Flynn’s Arcade(パブリッシャーTwitter)
ゲームモード
以下では対戦プレイを除いた、1人用のゲームモードを簡単に紹介。
チャレンジ(Challenge)
レベル毎に出題される課題ステージを達成していく一人用モード。
課題毎に出現するブロックのタイプや色には、制限が設けられている。
エンドレス(Endless)
ストイックにスコアを競う一人用モード。クリア条件はなく、ブロックが最上段へと積み上がるまで継続する。
ブロックを20個消滅する毎にレベルアップすると共に落下速度が上昇、100個消滅毎にブロックの色パターンが1つ増加と、次第に難度が上昇していく仕様となっている。
既に到達したLEVELの内、1~100の範囲内であれば開始LEVELを選んでスタートすることができる。
環境設定(OPTION)
ゲーム開始前にまずは「OPTION」から環境設定を確認しておこう。
取り分け「GRAPHICS」は少々分かり辛いため、各項目の機能を以下にまとめてみた。
LEVEL DESIGN
「GRAPHICS」メニュー内最上段項目の「LEVEL DESIGN」だが、これはステージBGを変更する機能となっている。
全部で3タイプあり、具体的な違いは以下の通り。
NO SIDE DESIGN | 画面両サイド上部のブロック排出孔以外はまっ平な背景になる |
STANDARD SIDE DESIGN | 画面両サイド手前が階段状に積み上がった背景になる |
MOVING SIDE DESIGN | 画面両サイド手前の階段状に積み上がった凸凹が、前後に往復運動を繰り返す背景になる |
取り分け「MOVING SIDE DESIGN」は、より動きのある賑やかなステージ背景となる。プレイ時の気分に合わせて変更してみるのも面白い。
DARK / COLORBLIND MODE
「DARK / COLORBLIND MODE」は背景色を暗くしたり、色を正常に感じ取りにくいプレイヤーに向けた視覚的な調節を行うことができる機能だ。
計4パターンから変更可能で、具体的な違いは以下の通り。
DARK & ICON : OFF | 背景色:白地 ブロック:無地 (デフォルト設定) |
DARK : ON | 背景色:黒字 ブロック:無地 |
ICON : ON | 背景色:白地 ブロック:模様付 |
DARK & ICON : ON | 背景色:黒字 ブロック:模様付 |
本作を携帯モードや、小型モニタに繋いでTVモードでプレイするような場合は、解像度の関係で全体的に表示が小さくなってしまい易い。
本格的にプレイを始める前に各自でこの項目を調節して、最も観易い最適なパターンに変更しておこう。
なお、各項目の変更後は、最後に必ず「CONFIRM」(確定)を選んでAボタンを押しておくこと。「CONFIRM」の表示が緑色になっていれば反映完了。
もしもこの工程をスキップして「BACK」で戻った場合は、変更した設定が反映されないので要注意だ。
操作方法
(※Nintendo Switch版)
JOY-CON(左) | |
上下左右ボタン | (左右)ブロックの移動/(下)素早く落下 |
Lスティック | 同上 |
Lボタン | |
ZLボタン | |
-ボタン |
JOY-CON(右) | |
Rスティック | |
Aボタン | 決定/上回転 |
Bボタン | キャンセル/下回転 |
Yボタン | 下回転 |
Xボタン | 上回転 |
Rボタン | |
ZRボタン | |
+ボタン | ポーズメニュー |
ゲームシステム
基本的なゲームルール
「Papertris」は典型的な落下型パズルゲームのルールを踏襲しており、消し方は同じ色同士のブロックを繋げて消していく色合わせスタイルを採用している。
プレイヤーは、画面上部から1組ずつ出現しては落下していくブロックを積み上げ、時には消しながら順次処理していく。一番上までブロックが積み上がるとゲームオーバーとなる。
プレイ上の目的はCHALLENGE、ENDLESSなどゲームモード毎に異なるが、全モードにおいて上記が基本的なルールとなっている。
ブロックの特徴
「Papertris」におけるブロックは、3つ分が縦に並んだ状態で一つずつ順に落下していく。
プレイヤー側の操作によって、左右への移動や模様の順を入れ替えることは可能な反面、横向きに回転させることはできないルールとなっている。
ブロックの消し方
本作のブロックの消し方は、「ぷよぷよ」や「コラムス」でも見られる典型的な色消しスタイルで、本作では縦、横といった平面に加え、”奥”のラインをも利用した3次元的な空間要素もフィールドとして含まれているのが特徴。
このシステムにより、同色のブロックが縦、横、奥の3方向に3つ分以上繋がっていれば消滅の判定としてみなされる。
フィールドの手前と奥について
「Papertris」ではプレイフィールド上に、従来の落下型パズルの縦と横に加えて更に”奥側”という概念が加わり、ブロックが積み上がる空間が手前と奥のラインへと分けられる。
ここでは、説明用に上のような画像を用意してみた。青色の①のラインが手前、赤色の②のラインが奥側に辺り、プレイ中にブロックが落下するフィールドは常に①のラインとなる。
①のライン上で、積み上がったブロックの高さが”茶色のライン”(上画像)を超えると、積まれたブロック毎②のラインへとそのまま押しやられ、①のラインは真っ新な状態となってゲームが続いていく。
しかし、プレイフィールドとしてアクティブなのは①のラインだけというわけではなく、②のラインもそのまま生きており、こちらも積み上がったブロックを消すための戦略へと活かすことができる。
上画像のように奥側のラインに積まれたブロックは、一目で判別できるように暗く表示されるようになるが、ここで注意点がある。
それは、正面手前にブロックが積まれている場合、同じ座標軸上にある奥ラインのブロックは陰に隠れて見えなくなってしまうことだ。
このような特徴から、奥のラインに消さなければならないブロックがあるような状況では、あらかじめどういった積み上がり方をしていたのか、前もって記憶しておくことも攻略上の重要なポイントとなってくる。
また、プレイフィールドの最大ライン数は、ゲームモードや各ステージによって変動する場合があるので、この点にも注意が必要だ。
ブロックの種類
「Papertris」のブロックには様々な種類が登場し、通常種以外のブロックは接地させたり消したりすることで、様々な効果が発生する。以下でその一覧を紹介。
通常のブロック。縦、横、奥を含めて3つ以上繋げることで消すことができる。
ゲームモードやステージによって、最大で12種類の色が登場。 上は「ICON」をOFFにした場合、下はONにした場合の図柄となる。 |
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特殊効果を持つブロック。必ず3つ1組で出現。
ブロックの上に接地後、同じY軸上のブロックがランダムに入れ替わる |
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特殊効果を持つブロック。必ず3つ1組で出現。
接地後、それぞれが通常のブロックに変化する(ブロックの色は1つ毎にランダム) |
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特殊効果を持つブロック。本体及び隣接する上下4箇所のブロックを全て消滅させる。
接地後にカウントが始まり、ブロックを合計4回落下させると効果が発生。 |
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特殊効果を持つブロック。同じX軸上全部のブロックを一斉に消滅させる。
接地後にカウントが始まり、ブロックを合計4回落下させると効果が発生。 |
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特殊効果を持つブロック。同じY軸上全部のブロックを一斉に消滅させる。
接地後にカウントが始まり、ブロックを合計4回落下させると効果が発生。 |
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特殊効果を持つブロック。同じX軸、及びY軸上全部のブロックを一斉に消滅させる。
接地後にカウントが始まり、ブロックを合計4回落下させると効果が発生。 |
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特殊効果を持つブロック。本体及び8方向に隣接するブロックを全て消滅させる。
接地後にカウントが始まり、ブロックを合計4回落下させると効果が発生。 |
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妨害タイプのブロック。落下ブロックとしては他のものと混じって登場。
エンドレスモードでは接地後、各ブロックを合計4回落下後に消滅。 チャレンジモードでは完全な障害物といった扱いで破壊は不可能。 フィールド上に、最初から設置されているパターンも多い。 |
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同色のブロックを繋げたり、特殊効果で消滅させると、マイナスの効果が発生するブロック。
チャレンジモードでは、1つでも消した時点で即刻ゲームオーバーとなる。 エンドレスモードでは消した直後に、妨害用のマスクがフィールド上に展開し、該当箇所が一定時間隠れて見えなくなってしまう。 |
また、直接ゲームプレイには影響しないが、「どのブロックが累計で何回登場したか」、といった統計をゲーム内の「STATISTICS」項目で確認することができる。
本作のプレイ状態を顧みるデータの1つとして、時には確認してみるのも1つの楽しみ方となるだろう。
プレイ後の感想
『Papertris』は、高さと幅の概念を持った”平面”で展開する従来の落下型パズルゲームのスタイルに、”奥行き”という新たなアイデアを込めたタイトルだ。
“方眼紙”を想起させる升目デザインを元に、実子の手塗り着色から起こされた立方体ブロック。これらの要素で彩られたゲームビジュアルは、知的さとアナログ感を帯びたクールな味わいを覗かせる。
ブロックの消し方については、「ぷよぷよ」を中心とした”色合わせ消去型”の作品がベースとなっているが、本作ならではの特徴となるのはやはり「奥行き」というシステムを置いて他にない。
当記事では「ゲームシステム」の項目を中心に、再三取り上げてきたこの”手前”と”奥”のラインシステムは、シンプルにブロックを積み上げらることが可能な空間が2倍、もしくはそれ以上に拡張する形となり、パズルゲームとしての戦略要素に深みを生み出している。
ただし、ゲームプレイ中で確認可能な視点は一貫して真正面からのみとなっており、異なる視点に切り替えることは出来ない。その結果、手前にブロックがあるとその陰となる奥のラインは隠れて見えなくなってしまう。
奥のラインに積み上がったブロック自体は工夫次第で地道に消していくことも可能だが、一度奥に追いやられてしまったラインを真っ新な状態に戻すことは、かなり困難な道のりとなる。
また、ゲーム性とは別に、ビジュアルデザインにおいていくつかの問題点が見られ、結果として、上手く活かし切れていないように思えてならない。
例えば「作品概要」の項目でも触れた、”手塗り着色”がベースとなったカラフルなタイトルロゴは本作の印象的なポイントの1つだが、ゲーム内ではこのタイトルロゴだけでなく、各メニュー項目にも同様のデザインが施されている。これが実際にゲーム画面上に映し出されてみると、シンプルに「文字として見え難い」というマイナスな結果へと働いてしまっている。
同様に、スコア表示やその他の場面で使用されているフォントデザインについても少々難があり、プレイ中はとりわけ数字の「1」と「7」の形状が似通っており、見間違えてしまうことが少なくない。
勿論、見え方についてはそれぞれで個人差があるため上記の限りではないが、もしも白地背景で見辛いという時は「OPTION」で「DARK」をONにすることで観易くなる場合があるので、試してみて頂きたい。
(ただしDARKを選んだ場合、今度は黒地背景とフォント色の相性の悪さが目立ち、文字が見辛くなってしまうという新たな懸念も生まれるのだが…)
本作は開発のスタンスやアプローチの手法自体は斬新で、一本のパズルゲームとして見ても随所に光る部分が見られる。
筆者においては、現代では既に一ジャンルとして、一度落ち着いてしまった感のある”落下型パズルゲーム”に、新たなゲーム性となるアイデアを盛り込んだという点を何よりも評価したい。
しかしながら、現段階では「調整、もしくは修正を行って欲しい」と感じる部分が少なからず見受けられるため、今のままの本作を完成形と呼ぶのは少々躊躇われるところ。
上述の問題点を中心に、プレイアビリティ向上に関するアップデートが行われることを期待して、少しでも良い方向へと改善されていくことを願って止まない。
既存の落下型パズルに奥行きという3次元的なプレイフィールド要素を新たに取り入れた「Papertris」。
ルール面で始めは少々戸惑いを覚える部分もあるが、「TETRIS」や「ぷよぷよ」の系譜を持つパズルゲームの亜種や派生作品に関心がある、という方は是非一度お試しあれ。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 7.0 |
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良い点
- 落下型パズルの既存のシステムに、奥行きという概念を新たに加えた、高度な戦略性
- ペーパークラフトベースの手作り感溢れるビジュアル
- 1人用、2人用共に多様なゲームモードが備わっている
惜しい点
- 解像度の関係か、携帯モードや小型のモニタでプレイする場合は、オブジェクトが小さく表示されてしまう
- 手描きデザインのロゴやゲーム内フォントが背景と相性が悪く、全体的に文字が読み辛い
- リスタート毎に都度、”「YES」を選び直す”、といった一手間余計な操作が必要になる