©2021 by 1564 Studio
Licensed to and published by Rainy Frog Co. Ltd.
基本情報
タイトル | マリンエクスプレス殺人事件 -東川乱子ミステリーシリーズ- |
対応機種 | Steam,NintendoSwitch,他 |
販売 | 1564 Studio(Steam版)、レイニーフロッグ(Switch版) |
開発 | 1564 Studio |
発売日 | 2021年7月30日(Steam版)、2022年9月1日(Switch版) |
対応言語 | 日本語,英語,フランス語,スペイン語 |
備考 | IARCレーティング:12+(恐怖、ののしり言葉(軽度)) |
作品概要
「マリンエクスプレス殺人事件 – 東川乱子ミステリーシリーズ -」(「Murder on the Marine Express: The Mysteries of Ranko Togawa」)はスペインのディベロッパー1564 Studio製作によるゲーム作品。Nintendo Switch版のパブリッシングはレイニーフロッグが担当。
本作はテキストを重視したノベル形式のミステリーアドベンチャーゲームだ。
聖ヨアキム学園の修学旅行で乗車したマリンエクスプレス1号車内で、1人の教師が命を落とす殺人事件が発生。
学園の生徒である東川 乱子(とがわ らんこ)は友人アストリッドと共に、持ち前の分析力(と名探偵への憧れの心)を武器に、事件の解明へと乗り出していく。
登場人物
聖ヨアキム学園1年生 | ||
---|---|---|
アイリーン・ベイカー |
レナ・ヘイスティングス |
エリカ・ベイランド |
キャサリン・グラス |
カトヤ・スヴェトロヴァ |
茅マオ(マオ・マオ) |
聖ヨアキム学園2年生 | ||
東川乱子(とがわらんこ) |
アストリッド・ラーソン |
ハイファ・アルシャリフ |
聖ヨアキム学園3年生 |
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マデリーン・ラサール |
クラリス・ロッセリーニ |
クリスティーン・レノア |
聖ヨアキム学園教員 |
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フランク・ブラウン |
ローレンス・シェパード |
ジェシカ・マーブル |
マリンエクスプレス関係者 |
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スパイク・ジョンソン |
ジョイス・アダムス |
ウィリアム・メルク |
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グレース・クイーン |
|
操作方法
(※Nintendo Switch版)
(※今回は主に携帯モードでプレイ時の操作スタイルを中心に紹介しています。ご了承下さい)
JOY-CON(左) | |
上下左右ボタン | カーソルを消去 |
Lスティック | カーソルの移動(速め) |
Lボタン | |
ZLボタン | (MariNET画面で)スクロールバーを上へホイール |
-ボタン | セーブメニュー呼び出し |
JOY-CON(右) | |
Rスティック | カーソルの移動(遅め) |
Aボタン | 決定、テキストを進める |
Bボタン | 戻る |
Yボタン | 自動読みモードのオン/オフ |
Xボタン | |
Rボタン | 既読スキップ(オート) |
ZRボタン | 既読スキップ(長押しの間のみ機能)
(Log及びMariNET画面で)スクロールバーを下へホイール |
+ボタン | セーブメニュー呼び出し |
携帯モードでプレイ時は上の操作に加えて、タッチスクリーンによる直感的な操作が可能。
画面上の好きな場所(アイコン以外)をタッチすることで、1ページ先に読み進めることができる。
ゲームの進め方
「マリンエクスプレス殺人事件」は全5章から成る、オーソドックスなノベル形式のアドベンチャーゲームとなっている。
ミステリーベースのゲームではあるがプレイヤーが頭を使うような場面は登場せず、基本的にはただ読み進めていくだけで物語の結末へと至れるが、MariNET(後述)などの機能を随時確認しながらテキストを追えば、本作をより一層楽しむことができるだろう。
ゲームシステム
セーブ/チャプターについて
途中経過の記録はセーブメニューから可能。+またはーボタンで直接呼び出すか、本編進行中のSettingsメニュー上からSAVEアイコンにカーソルを合わせてAボタン、またはアイコンを直接タッチして移動しよう。
本作のセーブスロットは1ページにつき4つ、3ページ合計12箇所分が用意されており、好きな箇所を選んで複数の記録データを作成可能だ。
また、本作ではゲーム進行に応じて各章へと到達することでタイトル画面からチャプター選択が可能となる。
二度目以降のゲームプレイ時のショートカットに便利な機能となっているので、是非活用していこう。
MariNET
修学旅行中の聖ヨアキム学園生専用SNSとも言える「MariNET」では、任意による匿名性を利用した通話アプリ風のUI上で、学生同士の和気藹々としたやり取りが展開。スマートフォンメニューから「MariNET」アイコンを選ぶと、内容をチェックすることができる。
携帯モードとTVモードの両モード毎にスクロールバー操作が大きく異なり、前者の場合は画面のバーを直接ドラッグ、後者の場合はスクロールバー付近にカーソルを持っていき、ZLボタンで上方向に、ZRボタンで下方向に移動することができる。
(Nintendo Switch版ではとりわけ、TVモードでのプレイ中に動作が少しもたつくことがあるが、恐らくは仕様によるものと思われる)
基本的に、事件の推理に纏わる有力な情報はMariNETの中では登場しないが、毎回ユニークなテキストが散りばめられており、調査の合間の息抜きにはもってこいだ。
MariNETの内容は上画像のように、ゲーム進行に応じてアイコンの点灯によって内容の更新が通知されるので、定期的にチェックしておこう。
プレイ後の感想
ここまで紹介してきた通り、「マリンエクスプレス殺人事件」は、古くは80年代から存在するオーソドックスなアドベンチャーゲームの形式を取ったミステリーノベルゲームだ。
このクラシカルなUIに加えてデフォルメが利いた16bit風タッチのキャラクターデザインから、「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」や「さんまの名探偵」といった懐かしいタイトルを想起する方もいるのではないだろうか。
また、タイトルには”東川乱子ミステリーシリーズ”と銘打たれていることから、開発者陣の間では今後シリーズ展開を視野に入れている可能性は十分に考えられる。
会話の中には、ゲームやアニメ他作品をイメージしたと思しきネタ(登場する名称のほとんどは架空のものではあるが、実名のまま表記されているものも混ざっている)が散りばめられており、所々でインディー作品らしいユニークさも覗かせている。
(例えば上画像のスパイク・ジョンソンの台詞「一日を変え~」は今や代表的なインディーゲーム作品の1つである、Sukeban Gamesのサイバーパンク・バーテンダーアクション「Va11-Hall-A」に登場する名言)
その一方で物語の方は真っ当なミステリー作品として仕上がっており、事件解明の下りにおいてはアガサ・クリスティ作品に近いテイストの展開を見せる。
修学旅行生達を中心に繰り広げられる各キャラクターのやり取りでは一定の賑やかさを覗かせつつも、事件発生以降のサスペンス然としたシリアスな空気は一貫している。
少年漫画寄りな個性的な絵柄については好みが分かれそうなポイントではあるが、低価格ながらも読後の充実感が高い一作となっている。
解決後、事件のほろ苦さを残しながらも一筋の希望を窺わせる、エピローグのラストシーンは必見。
聖ヨアキム学園生達にとっては楽しい旅となるはずだった修学旅行が一転、凄惨な殺人事件の現場へと変わり果てた特急列車マリンエクスプレス。
密室に等しいこの場所で起こった事件の真相は、果たして如何なるものであるのだろうか?
クラシカルなゲームデザインの海外サスペンス系テキストアドベンチャーをお好きな方は、本作「マリンエクスプレス殺人事件」をお試しあれ。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 7.0 |
---|
良い点
- 海外の古典ミステリー作品に倣った本格的な作風
- 3~4時間で読み終えられる程良いボリューム
- ワンコインで気軽に購入可能な良心的価格設定
惜しい点
- (Nintendo Switch版)TVモードデプレイ時のスクロールバー操作が独特で使い難く、バックログをスクロールする毎に強烈なラグが生じる
- ミステリーが題材のゲームではあるが、読むことに特化しているため、自分の操作で謎を解くようなゲームデザインにはなっていない
- 作中に盛り込まれたサブカルチャー系のパロディネタは、プレイヤーによっては賛否が分かれるポイントとなる
© ARC SYSTEM WORKS/TOYBOX Inc. (※2023年4月9日加筆修正) ※本作はミステリー要素を含む内容となっています。 作品の紹介にあたり、[…]