殺人ミステリーマシーン: 犯罪推理捜査の館 - 感想と作品解説【レビュー】

スポンサーリンク

Murder Mystery Machine ©2021 MICROIDS SA. Published by Microids SA. All rights reserved. Developed by Blazing Griffin Limited.

 

 

基本情報

 

タイトル Murder Mystery Machine
対応機種 Steam,Nintendo Switch,Xbox Games,Mac OS 他
販売 Microids
開発 Blazing Griffin
発売日 2021年8月25日(Steam版/Xbox Games版),2021年8月26日(Switch版),2019年9月18日(Apple版)
対応言語 日本語,フランス語,ドイツ語,イタリア語,スペイン語,韓国語,オランダ語,ポルトガル語,ロシア語,中国語 (簡体字),中国語 (繁体字),アラビア語,トルコ語,英語

青字:Steam版のみ)

備考 【Switch版】IARCレーティング:7+(暴力の暗示)
スポンサーリンク

 

作品概要

 

「殺人ミステリーマシーン: 犯罪推理捜査の館」(「Murder Mystery Machine」)はスコットランドのゲームスタジオBlazing Griffinが開発を手掛けるゲーム作品。パリのMicroidsがパブリッシングを担当。

本作は全8章から成るステージクリア形式のミステリーアドベンチャーゲーム。プレイヤーはDCA*の新人捜査員、カサンドラ・クラーク(ゲーム内表記は”CC”)の視点を通して、街中で発生する事件解決へと導くのがゲームの目的だ。

(*District Crime Agency:地方犯罪局)

 

関係者への聞き込みや、現場検証を経て事件の手がかりを収集。”マインドマップ”形式の『ワークスペース』ボード上で、集めた手がかりの中から関連性のあるもの同士を繋いでいき、新たな手掛かりを獲得して事件の真相へと近づいていく― といった特徴的なゲームデザインとなっている。

 

開発元であるBlazing Griffinはミステリーを題材にしたゲームを複数本リリースしており、Nintendo Switch向けタイトルでは本作以外にも『アガサ・クリスティ – エルキュール・ポワロ』シリーズとして『初事件』及び『ロンドン事件簿』の2タイトルがそれぞれ配信中だ。

なお、以前に紹介した「ABC殺人事件」もエルキュール・ポワロを題材にしたミステリーアドベンチャーではあるが、同じMicroidsがパブリッシングを担当していながら異なる開発元の作品となっているので、混同なき様ご注意頂きたい。

 

リンク:Murder Mystery machine(Blazing Griffin official page内)

リンク:Blazing Griffin(X(Twitter))

リンク:Microids(X(Twitter))

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン CC/カーソルの移動
Lスティック 同上
Lボタン カメラを左方向に90°回転
ZLボタン (長押し中)カメラのズームアウト
-ボタン

 

JOY-CON(右)
Rスティック (ワークスペース画面)画面の操作
Aボタン 決定、インタラクト
Bボタン キャンセル
Yボタン 画面の切り替え(ワークスペース/犯行現場)
Xボタン (長押しで)ヒント機能の呼び出し
Rボタン カメラを右方向に90°回転、(ワークスペース画面表示中)モードの切り替え(連携/管理)
ZRボタン (長押し中)カメラのズームイン
+ボタン ポーズメニュー

 

ゲームの流れ

新規プレイ、及びロードによる再開時は毎回DCA本部からのゲームスタートとなる。

地下倉庫の一角のような仄暗さを漂わせた本部内では、先輩にあたるナサニエル・ヒューストン(ゲーム内呼称はネイト)と会話を交わしたり、ゲーム進行中に入手したインテリアに触れたり、といったアクションが可能となっている。

 

本編を進めるためには、室内にあるコンピューター端末「MMM」の前へとCCを移動させてAボタンを押してアクセス。

挑戦したいチャプターと事件ケースを選択して捜査開始。現地調査へと赴こう。

 

捜査の進め方

各ケースでの捜査は、調査ワークスペースの2つのモードを交互に切り替えて進行していく。

本作での捜査の基本は、現場検証や事件関係者との会話を通じて、証拠品や手掛かりを集めることだ。

 

調査モードの進め方

 

インタラクト可能な対象

 

調査モードではまず、”会話アイコン”や”白い丸”(画像の黄色い丸で示したマーク)がついた対象がないか、エリア内をくまなく探してみよう。

発見後は各対象に近づき、Aボタンでインタラクトを実行。会話や検証によって、事件の手がかりを少しずつ集めて行く。

 

視点の切り替え

  →

フィールド上に残された手がかりの中には、そのままの視点では画面上に映っていない場合がある。

L、またはRボタンでカメラを回転してみることで、設置物などの死角に隠れていたものを発見できるかも…。

 

新たな証拠/会話

現段階で調査可能な対象が捜査エリア内に無くなった時は、一度Yボタンを押して「ワークスペース」モード(下記で紹介)に切り替えて事件を整理していこう。

新しい手がかりを発見することで、捜査に進展が起こる場合が—?

 

また、調査モードでは現時点で調査可能な情報を全て集め終えると、状況に伴って画面上に表示されるヒントの内容が変化する。

これを手掛かりに次に進めるべき調査を進めていこう。

 

ワークスペースの使い方

 

手がかりアイコンの意味

調査モード中にYボタンを押すことで、マインドマップ風画面の『ワークスペース』モードへと切り替わる。

ここでは、集めた手がかりを関連付けることで事件を整理したり、その過程でCCの推理によって新たな手掛かりを得ることが可能だ。

 

手がかりとなる各アイコンが示す意味は以下の表の通り。

 

被害者、容疑者
凶器
動機
住所、場所
時間、時間帯
犯行手段
メモ

 

手がかり同士を関連付ける

各事件ケースの捜査中、プレイヤーはこれらの中から関連性がありそうなもの同士を線でつないでいくことで、新たな手掛かりを導き出す、といった流れを繰り返していくことになる。

アイコンをカーソルで指定してAボタンを押しながら方向キーLスティックを操作すると、アイコンに添うように赤い線が伸びていく。

この線を別のアイコンへと繋げることで、二つの手がかりを関連付けることができる。

 

正しく関連付けができた場合はアイコンがグレーの点線同士で繋げられ、更にロックアイコン*によってガッチリと固定される。

(※オプションの「ワークスペースの拡張」がオンの時のみ作用)

 

一方で赤い点線であった場合は“プレイヤーの判断による関連付け”という意味となり、これは実際の結論に合致したものであるかどうかは、捜査報告を終えてみるまで分からない。

もしも途中で関連付けをキャンセルしたくなった場合は、線上にカーソルを持っていくことで形状がハサミへと変化するので、この状態でAボタンを押して線を切断しよう。

 

アイコンを指定している間は、結論関連付けの総数、及び既に関連付けが済んでいる分の数値が画面右上に表示されるので、もしもまだ推理するべきポイントが残っているのであれば、色々と組み合わせを試してみよう。

 

ワークスペース操作の実際の流れは1-1のプレイ中、捜査の進行毎にチュートリアルが画面上部に常時表示されるので、ここでしっかりと覚えることができるようになっている。

上記画像のヘルプにも注釈があるが、各手がかりを根拠として提示する際に”動機となるもの”を選ぶ場合には❓マークの付いていないものを選ばなければならない。あらかじめ関連性のありそうな手がかりと組み合わせて、マークを消しておこう。

 

手がかりアイコンを整理する

 

手がかりが新たに判明するに連れ、ワークスペース画面は次第に大量のアイコンが乱立して、見辛くなってしまう。

そんな時には、アイコンを自分が見やすいように動かして整理することで、快適度の向上へと繋げることができる。

 

手がかりの整理(単体)

やり方はまず、ワークスペース画面上でRボタンを押して「連携」から「管理」モードへと切り替え、

続いて、移動したいアイコンをカーソルで指定してAボタンを押すとアイコンが軽く摘まみ上がるので、そのままLスティック各方向ボタンで任意の場所へと移動する、といった具合だ。

他のアイコンと関連付けている場合は、接続を示しているラインも移動先に合わせて延伸されるため、上手く置き場所を指定しないと混線によって逆に見辛くなってしまうような事態も度々起こりがちなので注意。

 

手がかりの整理(複数指定)

また、管理モード中に各アイコン上でRボタンを押すとアイコンの文字表示が黄色に変化。アイコンを複数指定して、まとめて移動することができるようになる。

慣れてきたらこちらのやり方を積極的に使うようにすれば、よりスムーズに整理できるようになるだろう。

 

捜査の仕上げ

 

設問への解答

各事件ケースには必ず、「誰が」「なぜ」「いつ」「どこで」「どうやって」といった設問が用意されており、捜査を通じてこれに対する回答を提出する必要がある。

 

画面右側にある大型アイコンが各回答項目で、必要な回答数はケース毎に1~3種類と異なっている。

捜査時と同じ要領で、ワークスペース画面上の手がかりアイコンの中から該当するものを見つけ出し、ラインで繋いで関連付けよう。

関連付けが完了すると、大型アイコンに赤い印が点灯し、回答の準備が整った状態となる。残った設問に対しても同じ要領で関連付けを繰り返していけばOKだ。

 

捜査報告とリザルト

全ての設問への入力を終えると、ワークスペース画面右下のアイコン(上画像)が点灯する。

これを選んでAボタンを押すと、プレイヤーの検証に関する正誤の判定を行うか否かの確認画面が行われる。準備が出来ていれば「はい」で判定を仰ぐ。

回答内容に誤りがあって先の画面に進めない場合は、根拠とする手がかりの提示が間違っていることを意味するので、この場合は設問に関連付ける手がかりを選び直してみよう。

 

回答内容が正しければ、リザルト画面で今回の捜査に関する最終的な評価が下される。(※ネタバレへの配慮につき、上画像では正解となるアイコンの内容については伏せてあります)

 

リザルトでは、捜査中で見つけたアイテム、証拠など複数の項目の総数によって捜査ランクが決定。

この内、最も評価にダイレクトに響くのが使用したヒント誤った報告、及びその回数で、1度でも間違うとスコアが大きく下がってしまうことになるので要注意だ。

 

高評価獲得のポイントとして、“正しい立証”については全て発見できなくても、捜査ランク評価への影響は極めて薄いことが挙げられる。

全ての事件ケースで最高評価の「A+」を獲得できるよう、回答前に納得いくまで徹底的な捜査を行っておこう。

 

衣装の変更

プレイ中、特定の条件を満たすことでCC、ネイトの追加衣装がアンロックされることがある。

集めた衣装はオフィスの「ロッカー」を介して変更が可能だ。

 

各衣装はCCとネイトの2人分が用意されており、同じコンセプトデザインからまるでペアルックのような取り合わせとなっているが、いずれも2人同時ではなく片方ずつがアンロック可能な仕様となっている。

開放条件も簡単であるものの方が少なく、中には本編終盤までの攻略が必要となるものまである。全ての衣装が揃うのは、完全クリアを達成している頃となるだろう。

着せ替えによる特殊な効果がゲーム中であるというわけでもないので、あくまでおまけ要素と割り切って楽しもう。

 

プレイ後の感想

以下では「殺人ミステリーマシーン」の実プレイを終えた感想を綴っていこう。本編への言及は避けつつ、触り心地や完成度といった視点を中心とした内容となる点をあらかじめご了承頂きたい。

 

まずはゲームシステムについてだが、調査で見つけた事件の手掛かりを組み合わせて新たな推論を導き出すという本作のシステムは、ジグソーパズルのピースを探るような感覚を味わえる作りとなっている。

 

解決すべき各事件はケース毎に難易度の幅が感じられ、ものの数分で最高評価を叩き出して攻略を終えることができる場合もあれば、1時間悩んでも関連付けを見出せないこともあったりと一筋縄ではいかない。最悪、総当たりによるプレイも一応は可能となっているが、プレイスタイルが虱潰し的な作業へと一変してしまう。

 

なお、本作には捜査に行き詰まった時のために「ヒント」機能も用意されているが、効果としては”正解をそのままあぶり出す”ものとなっているため、あくまで自力で解決へと向かいたいというプレイヤーにとっては使用自体をおススメし兼ねるところである。

 

ローカライズにおいては各人物のセリフに破綻こそほとんど見られないものの、それ以外で不安定な部分が見られる。

主には、一部の漢字が文字化けで正常に表示されなかったり、終盤では事件関係者の人物名表示が英語のままになっている、といった具合だ。

 

また、インターフェースにまつわる部分では日本語設定でのプレイ時に、肝心要の設問にあたる、「Who」(誰が)、「Why」(なぜ)、「How」(どうやって)などのいわゆる「5W1H」に該当する各単語の和訳が固定されたままなのは気になったポイント。

例えば、とある回答提示場面でWhoの日本語訳が「誰の」となるべき場面であっても、ゲーム内での翻訳文が「誰が」で統一されているといった事が起こっている。致命的とまではいかないまでも設問の解釈に若干の戸惑いを与え、一定数のプレイヤーを混乱させる要因となり兼ねない。

 

(上画像はチュートリアルでのカットシーンのため、提示部分が英文のままになっている)

 

ワークスペースの操作性については、元がスマートフォンやタブレット向けのゲームとして開発されていながら、Switch版では携帯モードプレイ時のタッチ操作に何故か対応していないのも勿体ないところ。ゲームプレイ中はテキストをバックログ形式で観返せないのも、本作のようなタイプのゲームにおいては不便な点として映る。

 

上記のような部分が要因となり、ミステリーゲームとしては総じて惜しい部分が目立っている。

プレイ時間の大半はワークスペースの完成に費やされると共に思考の連続に脳の方も疲弊しがちで、解決後に事件の余韻があまり印象に残りにくくなっているのもストーリーのインパクトに欠ける。

とはいえ、『ワークスペース』システム自体は推理要素を含むゲームとしても画期的で、筆者個人としては本作を皮切りに今後も他のミステリー系作品でお目にかかりたいと願うばかりだ。

 

全編に渡って粛々と事件の調査を進めていく作風につき熱いドラマ展開こそないが、合計40弱にも渡る事件ケース(ステージ)が用意されており、全編のボリュームはかなりのものとなっている。劇中ではCCの先輩兼サポート役として立ち回る、ネイトとのバディ感漂う擦れたやり取りも見所の1つ。

マインドマップ風の推理システムが特徴的な「殺人ミステリーマシーン」は、海外ミステリードラマの雰囲気が好きなアドベンチャーファンにこそ一度お試し頂きたい一本だ。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 6.5

 

良い点

  • “点と線を繋ぐ”というミステリーを象徴するかのような、マインドマップ風デザインの事件整理システム
  • ごくごく一部分を除けば、ローカライズは概ね安定している
  • 40弱にも渡る事件ケースが用意された全編ボリューム

 

惜しい点

  • 推理よりはパズル色の強いゲーム性になっており、遊び手次第で求めているものとは毛色が異なると感じる場合も
  • テキストのバックログ機能が搭載されていない
  • 着せ替えが可能な各種衣装は、ある程度やり込んだ後でないと手に入れることができない

 

関連記事

©2020 Microids SA. All rights reserved. Published by Microids. Developed by Artefacts Studio and Tower Five. All rig[…]

 

スポンサーリンク