Lotus Reverie: First Nexus - 感想と作品解説【レビュー】

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基本情報

 

タイトル Lotus Reverie: First Nexus
対応機種 Steam,Nintendo Switch,PlayStation4|5,X-box Series S|X,itch.io
販売 Keinart Lobre
開発 同上
発売日 2021年1月14日(Steam版)、2021年7月15日(Switch版)、2021年12月16日(PS4|5版)、2021年10月14日(XBS|X版)、2021年1月22日(itch.io版)
対応言語  日本語,スペイン語,英語,ポルトガル語
備考 (※プラットフォーム毎に以下の2つのどちらかに分類)

CEROレーティング:B(12歳以上対象)(恋愛、暴力)

IARCレーティング:7+(暴力の暗示)

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作品概要

 

「Lotus Reverie: First Nexus」(「ロータスレバリー:ファーストネクサス」)はスペインのディベロッパーKeinart lobreの開発、及び販売によるゲーム作品。

本作は時間管理に焦点を当てたビジュアルノベル。プレイヤーは記憶を失った少女シンコの視点で、マヤの城を拠点とした共同生活をシェアメイト達と共に繰り広げていく。

 

しかし、この和気藹々とした生活の裏には、”たった1組のペアだけが生き残れる”というサバイバルゲームの存在があった。

心地良い時間が流れる暮らしの先で彼らを待ち受けているのは、厳格に定められたルールの下に、各々の生存を賭けた死闘の時間なのだ―

 

ディベロッパーの紹介文によると、本作のシナリオは「デビルサバイバー」や「ペルソナ」シリーズにインスパイアを受けたとされており、濃密なテキストと魅力的に描かれる各登場人物達の生き様が作中の注目ポイントだ。

 

リンク:Lotus Reverie(official page)

リンク:Lotus Reverie(X(Twitter))

 

あらすじ

 

(※オフィシャルページ、及び商品ページより要約)

 

王国の首都、マヤ。

この街である日、市民の大半が忽然と姿を消す、という不可思議な事件が起こった。

 

事件以降を機に、街の人間はその大半が”トゥルパ“に入れ替わってしまったとされている。

トゥルパ“とは、人の深層心理下から生み出された存在だ。

外見上は人間との区別がつかず、また不死性を有するため、普通の方法で絶命させることは叶わないという。

 

 

このトゥルパの出現に併せて事件直後、マヤの街ではもう1つの大きな変化が表れていた。

中心地に突如として現れた巨大な漆黒のモノリス。

異様さを見せるその物体に、変貌した世界に課せられたある”ルール”が刻まれていたのだ。

 

 

「生き残ることができるのは、ただ1人の人間、そしてその人物の”トゥルパ”のみである。」

 

 

トゥルパの寿命自体は短く、トゥルパは本体と一対の組になっている存在。

その性質上、本体とトゥルパ、そのどちらかが死ねばもう一方も命を落とす運命にある。

そしてトゥルパには唯一、“決闘の合間だけは自らの不死性を失う”といった特徴があるのだという。

 

この世界で、生存者達が延命するための手段はただ1つ。

それは本体とトゥルパの両者が力を合わせて”決闘“に勝利し、相手のトゥルパの命を奪うことだ。

 

 

マヤの街の中心に聳える古城には、若干名の事件の生存者達が身を隠していた。

病室で目覚めて間もない、記憶喪失の少女・シンコもその一人であった。

彼女もまた、事件の生存者として城へと導かれ、他者との共同生活に臨むことになるのだが―

 

 

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン カーソル移動&項目の選択
Lスティック カーソル移動&項目の選択
Lボタン 日記
ZLボタン メニュー呼び出し
-ボタン 設定

 

JOY-CON(右)
Rスティック ログの表示、(ログメニュー内の)スクロールバー操作
Aボタン 読み進める、決定
Bボタン キャンセル、戻る/UIを消す、表示する
Yボタン 自動モードのオン/オフ
Xボタン セーブ/ロード画面へ移動
Rボタン 既読スキップのオン/オフ
ZRボタン (長押しの間)既読スキップ
+ボタン 設定

 

ゲームモードについて

 

本作は、3種類のゲームモードの内から1つを選んで進行する方式となっている。

チュートリアルを含む序盤の展開を経た後、特定の場面で選択を迫られる場面が登場。ここで、自分のプレイスタイルに適したモードを選択しよう。

 

ノベルモード ノベルパートに特化したゲームモード。

戦闘パートは一切登場せず、該当シーンの描写は追加テキストで補われる。

この仕様に伴い、居住パートで実行可能なトレーニング、勉強といったパラメーター育成要素も実質無意味となる。

緊張状態ゲージの上昇速度が速くなる。

バトルモード 基本的にはノベルモードとの違いはないが、特定の場面毎にミニゲーム形式の「決闘」(バトルパート)が挿入される。

バトルパートではトレーニング、勉強で強化した各スキルの反映される。システムについての詳細は後述。

ミックスモード 上記2つのモードの両要素を取り入れた総合的なゲームモード。

全3種類のモードの中では難易度は高め。

ここでの選択は重要で、一度決定すると別のモードに切り替えることはできなくなる。(モードにまつわる二度目の質問が出た場面が最終選択の機会となる)

バトルモードのプレイ時に限り、条件を満たすことで関連した実績の解除を行うことが可能(※ただし、Nintendo Switch版では実績機能は見られない)。

もしも、別のモードでプレイしたいという場合は、タイトル画面を通じて最初からゲームを始める必要があるので注意。

 

登場人物

 

シンコ

本作におけるプレイヤーの分身。

作中ではローブをまとった状態で登場し、基本的に立ち絵は登場しないこともあり、素顔は一切分からない。

作中では、記憶を失った状態でマヤの城の新たな居住メンバーとなる。

フェンネル

「史上最強の魔法使い」と呼ばれている少女。

幼少期より「ヒロイン」になるべくして育てられたという彼女は、この世界では余りにも有名な存在である。記憶のないシンコ、彼女一人を除いては—

シッスルとは因縁が深いようだが…?

コロンバイン

内気で陰キャ気味な雰囲気を醸し出す少女。

悲観的な性格で、時に自殺願望さえ垣間見せることもある彼女だが、城の新たなメンバーとなったシンコに対しては、何故か異常な興味を示す。

ヘリオ

城の仲間達に対しての情は人一倍厚い、世話好きな青年。

得意とするのは剣技だが、魔法の扱いにも長ける。その一方でオタク的な精神の持ち主でもある。

シンコに対しては出会った直後から献身的で、彼が憧れるという一人の”英雄”の姿を彼女に重ねている節がある。

ローズマリー

世界的に有名な天才科学者。

持ち前の知性からその美貌に至るまで、自分に対して絶対の自信を持つ。

未知への好奇心が旺盛な彼女にとっての目下の関心事は、コロンバインの”生態”を観察すること。

ルー

城に来る前は探偵を生業としていたという男性。

何事にも無関心で、正直者。その性格から、相手に対して時に辛辣な物言いをすることもある。

表情一つ崩さないポーカーフェースの持ち主だが、甘いものが大好きというギャップも彼の魅力だ。

バイオレット

優しく思慮深い、慈愛に満ちた女性。

城で共に暮らす仲間たちのため、自慢である料理の腕前を披露し、傷ついた者が現れた際には医者としての活躍を見せる。

その一方でジョークで人をからかうのが大好き、といった悪戯っぽい一面も。

シッスル

歴史に詳しい元教師の男性。趣味は小説の執筆。

城のメンバーの中では最年長にあたり、実質的なリーダーとして仲間からの信頼も厚い人物。

普段から歳相応の落ち着きは見せているが、時に子供っぽい一面を覗かせることも。

白の少女

シンコとよく似た外套を纏った少女。

装束の色から、”白の少女”と呼ばれる。

事ある毎にシンコの前に姿を現すが、その目的も正体も一切が謎に包まれた存在。

 

 

ゲームシステム

 

ゲームの基本的な流れ

ゲーム開始以降、しばらくは流れるように物語の導入に向けてノベルが展開していくが、それが終わると上画像のようなシーンが登場する。

これ以降、プレイヤーは1日毎の行動を逐一指定しながら、城の仲間との交流や事件の調査、訓練などに時間を費やすことになる。

 

1日辺りに可能な行動は午前、日中、午後の計3回のローテーションとなっており、いずれかのアクションを1つ行うごとに、時間が経過する仕組みになっている。

具体的な経過日数については作中では表示されない。

 

メインイベント 選択肢によって、キャラクターの好感度が上昇する場合がある。
サブイベント 好感度の変動はなし。
調査 城外で事件の調査を行う。多用すると「緊張状態」の上昇が早まることも。
トレーニング場 習得したスキルの修練を行う
図書館 習得した魔法の修練を行う

 

画面右上の「緊張状態」は、城内で共に過ごすメンバー達全体の空気を現したもの。このゲージが一杯になった時点で強制的にゲームオーバーへ直行となってしまう。

「緊張状態」はどのアクションを取っても一定量上昇するが、「調査」など城外での活動を頻繁に行うことで特に上がり易い傾向にあるので、連続での外出には注意が必要。1日辺りの行動の組み合わせには気を遣いたいところだ。

 

 

トレーニング場/図書館について

トレーニング場では武器の訓練、図書館では魔法の訓練をそれぞれ行うことができる。カテゴリは異なるが、UIの仕組みは双方で全く同じ。

所持スロットを修練したい項目に必要なだけ振り分けたら、最後に「トレーニング」を押して実行するだけ。訓練効果は、直後にテキスト上で表示される。

訓練を積み重ねていく内に技術の向上に伴い、利用可能なスロット数が増えることもあるので、仲間との交流の合間には積極的に立ち寄るようにしたい。

なお、「トレーニング場」と「図書館」の2つのアクションは、バトルパートが登場しない「ノベルモード」では一切選ぶことができない。

 

決闘(バトルパート)

 

(※本項では「バトルモード」及び「ミックスモード」に登場する戦闘パートについて記しています。「ノベルモード」でプレイする場合は読み飛ばして頂いても構いません

 

バトルモード、及びミックスモードを選択してゲームを進行する場合、特定のシーン毎にターン制ストラテジー形式によるバトルパートが展開する。

このパートではプレイヤー側が先行、決闘相手側が後攻のコンピューター制御によって進行していく。

 

バトルパートでは、敵も味方も必ず2人一組のペアで行動することになり、自分、もしくはパートナーのどちらかがやられた時点で敗北となってしまう。(パートナーが召喚能力を持つ場合は、これを利用して臨時で3人編成にすることが可能)

また、ライフゲージは1本を2人で共有する仕様となっているため、残量には常に気を配りたいところ。

 

 

攻撃/防御/魔法について

バトルパートでの基本的な流れは、プレイヤーとパートナー2人分の行動アクションを攻撃、防御、魔法の3種類の項目から1つ選択、移動ポイントを指定して各ターンの行動を決定するといったものだ。

シンコ(プレイヤー)の各行動アクションは、ノベルパートを通して習得した技を全て活用することができる。この局面に至るまでに地道な修練を積んでいれば、必ず役立つはずだ。

 

 

ターゲットへの行動指定

行動選択時に、Lスティックを右方向に操作すると、敵対象の情報ウィンドウにカーソルが移動。ここで、ターゲット毎に攻撃対象として認識するか、一切無視するかを指定することができる。

特定の敵からの攻撃を避けたいと、いう場合もこの項目を使って切り替えておくと良い。

 

ブースト

ブーストの使用中は、直後に使用する各アクションの効果を大幅に強化することができるが、行動終了と同時により多くのスタミナを消費してしまう。

特に各種必殺技と併用するという場合は、なるべく次の一撃で相手を仕留められるような状況で活用するのが好ましいだろう。

 

メディテーション

失われたスタミナはメディテーションを使用することで大幅に回復することができる。

ただし、使用ターンはその場に留まることになるため、移動は一切できないという点も覚えておこう。

 

プレイ後の感想

「Lotus Reverie: First Nexus」は基本的なゲームスタイルや「決闘」が作中の重要な要素としてフィーチャーされている点など、随所にTYPE-MOONが手掛けた代表作品の1つである「Fate / stay night」のようなノリを感じさせる作風のビジュアルノベルとなっている。

海外産ノベルゲームということで気になるのがローカライズの精度だが、少々説明的な科白が含まれるものの大きくは問題のない仕上がり度合いで概ね好感触。

場面毎にキャラクターCG(あるいはフルスクリーンCG)&テキストボックスと全画面テキストの2通りの形式が使われていたりと、画面構成が単調にならないような工夫も見られる。

 

本作の特徴の1つとして、1ページ分辺りの文量が比較的多いことが挙げられる。

初回はテキストにしっかり目を通しつつ後述のバトルパートも含めたゲームプレイの結果、エンディングまでのプレイ時間はおよそ10時間程度を要することになった。

 

また、本作は舞台となるマヤの都市を含めて独特な設定が多く登場するため、その世界観に対して筆者の理解が追い付くまでに少々時間がかかることとなった。

作中に登場する文化には中世的な要素が多く当初は「”異世界もの”なのだろうか?」と思わされたが、実際には電気や自動車が登場していたり、「SNS」や「タブレット」というワードが出てきたりと技術水準は比較的近代寄りである様子が見られる。

 

記事内でも紹介してきたように平時はビジュアルノベルとして展開していく本作だが、ターン制の戦闘パートとなる場面が何度か登場する。

純粋にノベル部分だけを楽しみたい層からすれば確実に好みの別れるゲーム要素だが、「ゲームモードの選択」によって該当パートを丸々回避することも可能になっているのは良心的な点だ。

 

本作を最大限に楽しみたいというのであれば、初回はなるべく上記パートを含む「バトルモード」か「ミックスモード」でエンディングを迎え、未読部分の回収も含めて2周目以降に「ノベルモード」を活用、といったプレイスタイルが理想的と言えるだろうか。

なお、Nintendo Switch以外のプラットフォーム版では戦闘パートをこなしてのみ獲得可能な実績があるとのことで、これらも収集したいというプレイヤーは戦闘パートもしっかりとプレイする必要がありそうだ。

 

一方で操作性については、特定のUIが表示されるシーンに限り、かなりの難ありという評価となってしまった。

これに関してはカーソルの仕様面に問題が見られるのだが、”各種メニュー系UI”の表示中Lスティックや方向キーで選択箇所を指定しようとする毎に、カーソルが一時的に行方不明になる(一見では”何もない箇所を選んでいる”かのような不可視の状態に陥る)といった現象が頻繁に見られる。

 

全プラットフォーム版を1つ1つ試したわけではないが、この現象の様子から言ってコンソールへの移植版全般でこの現象は発生する可能性は高い。実際に触ってみた際に、気になって仕方ないと感じる方は少なくないだろう。

本作は既にリリースからかなりの時間が経過しているが、この問題に対応したアップデートによる最適化に少なからず期待したいところではある。

 

永遠に続くかとも感じられた平穏な城での共同生活を繰り返す内、物語は次第に転機を迎えて行き、やがて「決闘」という絶対のルールが登場人物達全員にとっての直面するべき現実となってのしかかってくる。

作中、生存者全員にとって自らが生き残る手段として最後に残される方法。それこそが「決闘」であり、前に進むことが許されるのは勝者のみ。敗者はその時点で人生を終えるというそのルールは非情にして厳格。

 

これまで交わしてきたやり取りを通して、お互いの背負う想いを知りながらも、譲れないもののために命を賭して全力でぶつかり合う。

そして、戦い敗れ行く者達が見せる末期のシーンは、いずれも儚くも美しい輝きをプレイヤーに見せてくれる。

今作における最大の見せ場であることは疑いのないところで、それぞれの戦いの顛末は是非、実際に読み進めて体験してみて欲しい。

 

盛り上がりを見せる中、急激に幕を閉じるという終盤の展開については少々腑に落ちない部分もあるが、魅力的なキャラクターと先の読めないストーリー展開に上手く入り込めれば、最後まで楽しむことができるだろう。

ビジュアルノベルにストラテジー式のバトル要素(※任意で回避可能)を融合した、Keinartの意欲的なノベルゲーム「Lotus Reverie: First Nexus」をお試しあれ。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) .0

 

良い点

  • ジャパニメーションスタイルの魅力的なキャラクターデザイン
  • じっくり読むと十数時間近くにも上る大ボリュームのテキスト総数。
  • 登場人物達それぞれが抱える人生哲学や、信条、生き様を緻密に描写したストーリー展開

 

惜しい点

  • (Nintendo Switch版)選択中のカーソルが頻繁に行方不明になり、何処を選んでいるのか分からなくなる
  • オートスキップを連続で使用していると、ゲームが唐突に強制終了する場合がある
  • (Nintendo Switch版)主に操作性の拙さを中心に、ノベルゲームとしてコンソールへの移植における最適化が不十分なところが見られる

 

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おまけ

 

(※以下の項目には、本編におけるネタバレが含まれています。ご理解頂いた上でお進み下さい。)

 

 

 

 

 

 

 

 

メインイベント「最終調査」について

本編終盤のメインイベント「最終調査」において、唐突に文字入力を求められる場面が1箇所だけ登場する。

入力のチャンスは3度まで許されるが、間違えた場合は真相に辿り着くことができないという仕様になっており、ノーヒントでは正解に辿り着くことが少々難しい。

 

該当シーンでの設問は計6つあり、最後の設問以外は普通の選択肢方式となっている。

以下の解答リストでは内容に直接触れないよう、設問文の表記を最低限の箇所の記載に留めている。

どうしても分からない場合の「最後の手段」として見るようにして頂きたい。

(※表左側の設問に対し、右側が回答部分となっています。” “の内側をマウス左ボタンでドラッグすることで、反転表示されます。)

 

「人の手が~」 停電が起こる直前
「となると、~」
「停電を引き起こした犯人は…」 シッサル
「あなたが犯行に使ったのは…」 射撃
「犯行現場に銃弾が残されていなかった説明」 あなたは証拠を消さなかった
「そう、それはたった一言…」 (半角英数で、”moon” もしくは “moonlight” と入力)

 

 

 

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