©2016-2020 gudouan.
Licensed to and published by Rainy Frog LLC.
Nintendo Switch version by DICO Co. Ltd.
基本情報
タイトル | 吾妻邸くわいだん |
対応機種 | Steam,Nintendo Switch,PlayStation4 |
販売 | メディアスケープ(Steam版,PS4版),レイニーフロッグ(Switch版) |
開発 | 求道庵(gudouan),(Switch版移植協力: DICO) |
発売日 | 2020年1月31日(Steam版),2020年8月20日(Switch版),2018年6月15日(PS4版) |
対応言語 | 日本語, 英語, 中国語 (簡体字), 中国語 (繁体字) |
備考 | CEROレーティング:C(15歳以上対象)(暴力) |
作品概要
「吾妻邸くわいだん」(「Kwaidan」)は個人ゲームディベロッパー求道庵が製作を手掛けるゲーム作品、Steam版及びPlayStation4版ではメディアスケープが、Nintendo Switch版ではレイニーフロッグがそれぞれパブリッシングを担当。
本作のゲーム内容は、サードパーソンスタイルの探索型ホラーアドベンチャーゲーム。貸別荘に宿泊する人物の1人エミリーの視点を通し、閉じ込められた別荘内で様々な仕掛けを解き脱出を図る事が目的だ。
2000年代前期風のレトロポリゴンを扱った、今となっては懐かしいゲームビジュアルが特徴的。
「バイオハザード」旧作シリーズのNintendo Switch版では移植に即してDICOが参加協力している。
あらすじ
(※ゲーム内プロローグより一部引用、及び本編より要約)
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【方相氏(ほうそうし)】
古より続く、鬼祓い(おにはらい)の務めを担いし者の役儀が呼称。 その大いなる力が為に世人より疎まれ、何時しか妖鬼の類と混同されり。
これは―、一人の見習い方相氏とその師である男が体験した、とある一夜の「怪談」(くわいだん)。
昭和五年七月、奈良県吉野郡某所。 人里離れた奥地で、方相氏・橘志楼(たちばなしろう)は、直弟子の四方堂遥(よもどうはるか)に稽古を着けている最中だった。 丁度そこに、一人の男が助けを求めこちらに走ってくる姿が。
男は自らを平助と名乗り、大屋敷・吾妻邸(あづまてい)の奉公人である事を告げる。 先刻、邸(やしき)の周囲に妖鬼の姿を多数確認し、平助は恐ろしくなり逃げ出してきたとのことだ。
数日前より志楼は、この一帯に妖しい気配の出現を感じ取っていた。 妖鬼発生の根源を特定するべく、一度邸を検めて見るべきなのだろうか? そう考えていた矢先、三人の元に大妖鬼・燭陰(しょくいん)が姿を現し強襲を仕掛けてきた。 応戦を試みた志楼は燭陰を追い払う事に成功するも、敵の妖力によって蛙の姿へと変えられてしまう。
不測の事態で調査が困難となった師に代わり、自らが邸の調査に臨むことを名乗り出る遥。 こうして彼女は方相氏の証である”四つ目の面”を身につけ、妖鬼達が蔓延る吾妻邸を目指すのだった―
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操作方法
(※Nintendo Switch版)
JOY-CON(左) | |
上下左右ボタン | 【※「元祖」モード時】上:前進、下:後退、左:左回転、右:右回転 |
Lスティック | 【※「改」モード時】移動 |
Lボタン | (長押し中)主観視点操作切り替え(※ゲーム本編の途中から使用可能) |
ZLボタン | 【※「改」モード時】後退/ガード
【※「元祖」モード時】防御 |
-ボタン |
JOY-CON(右) | |
Rスティック | カーソル操作 |
Aボタン | (押しながら移動で)走る |
Bボタン | (選択中の神器で)攻撃 |
Yボタン | 陣器の切り替え |
Xボタン | カメラリセット(※追従カメラ時) |
Rボタン | (長押し中)カーソル低速化 |
ZRボタン | (カーソルを置かれた場所を)インタラクト |
+ボタン | ポーズ |
※「元祖」、「改」共に各モード選択後は途中で操作スタイルを変更することはできない。
ゲームの遊び方
ゲーム本編は全5章で構成。プレイヤーは見習いの方相氏・遥となり、妖鬼があふれ出す根源を突き止めるため、吾妻邸の捜索へと乗り出していく。
2つのゲームモードとその違い
「元祖」モード
・レトロ調なグラフィック ・移動方式は方向ボタン上で前進、下で後退仕様のラジコン操作スタイル ・上述操作スタイルの経験者向き |
「改」モード
・キャラクターの描画がトゥーンシェーディングに&グラフィックが鮮明化 ・移動方式はLスティックによる直感的な操作 ・初心者~熟練者まで幅広いプレイヤーに対応 |
上記表の通り、「元祖」モードと「改」モードではグラフィックの表現や移動に関する操作方法が大きく異なっている。「元祖」モードはいわゆるラジコン操作スタイルで、Lスティックをまたは方向キーを各方向に入力で歩行移動。スティック操作中、Aボタンを押したままの場合は走って移動することができる。今作ではスタミナ系の要素は一切ないため、走る上でのリスクは皆無。
エリア毎に応じてカメラ方式が切り替わる、画面外や特定のポイントまで歩いていく毎にシーンが切り替わる仕組みになっている。この影響で、画面が切り替わった直後はそれに伴って移動操作の入力方向も変化し易い。各所を歩き回る際は、遥の立ち位置や向いている方向が移動先毎にどういった状態になるのかをよく確認しておこう。
ポイントクリック仕様のインタラクトシステム
画面上にはマウスポインターと同形状のカーソルが常時表示されている。Rスティックでこのカーソルを操作して、気になる箇所に置いた後にZRボタンを押すと対象をインタラクトすることができる。重要な対象に近づけた場合は上画像のようにカーソルが手の形に変化する。
所持アイテムを使用したい場合は、画面右側のアイテムスロット内の各種アイテムにカーソルを持って行って同様の操作を行うことで使用。ただし、近くで調べないと詳細が判明しないケースも偶にあり、対象に向かってアイテムを使用する場合も同様となる。アイテム入手の際も最低限の距離まで近づかないと受け付けないので注意が必要だ。
陣器を使った攻撃
![]() 【中段】薙刀 「鬼遣い」(おにやらい) |
![]() 【下段】勾玉 「追儺の勾玉」(ついなのまがたま) |
![]() 【上段】神鏡 「照魔鏡」(しょうまきょう) |
方相氏は陣器という武具を扱った攻撃により妖鬼を祓う。作中の陣器には「薙刀」、「勾玉」、「神鏡」の3つがあり、それぞれ中段、下段、上段に対応した攻撃アクションを発動する(「神鏡」使用時のみボタン長押しによる攻撃に対応)。眼前に対峙する敵との間合いや位置関係を確認した上で、状況毎にYボタンで切り替えながら戦っていくと良い。
ただし、薙刀以外の2つの陣器は使用時に「陣気ゲージ」(上画像緑色のゲージ)を一定量消費してしまう。失った陣気ゲージは妖鬼を一体倒す事で一定量、また攻撃を防御する毎に微量回復するようになっているので活用していこう。
後退とガード(防御)
ZRボタン長押し中は後退移動を実行、敵の攻撃が寸前まで迫ってきた際はその場で自動的にガード(防御)アクションが発動する。攻撃発動中の時点で準備しておくことで、アクション終了時に即座にガードに切り替わり隙が少なくなる。
ただし、相手の攻撃によっては二段階のダメージ判定を伴うものがあり、一段階目は防げても直後の二段目はそのまま喰らってしまう、といった場合もある。この場合は無理に防御しようとせずにあらかじめ射程圏外に離れるのが望ましい。
体力ゲージの回復手段
失った体力ゲージは「生薬「百草丸」*」(ひゃくそうがん)というアイテムを使用することで、ゲージ全体のおよそ2/3を回復することができる。
また、インタラクトする事で体力ゲージを全快する事ができる秘密のポイントが吾妻邸の何箇所かに存在する。いずれのポイントも回復可能となるのは1回限定なので、場所を覚えておいてここぞという時に活用したい。
(*別名「陀羅尼助丸」(だらにすけがん)。奈良県吉野郡大峰山(おおみねさん)の麓で製造されている生薬で、古来より和漢胃腸薬として知られる。大峯山の開祖「役行者」(えんのおづぬ)がその製法を教え伝えたと言われる。)
セーブについて
吾妻邸の内部や敷地内に点在する円形の結界「式場(しきば)」の近くで、「木簡(もっかん)」を1つ使って進捗状況の保存を行うことができる。(※セーブは上書き仕様)
この他にも木簡は、陣技の昇華(後述)を行う際にも1つ消費する。本編内での入手機会は比較的多いが個数の限られているものなので、使用するタイミングをしっかりと見極めて活用していこう。
ゲームオーバーについて
今作にはリトライ機能はなくゲームオーバー後はタイトル画面へと戻され、リトライはセーブポイントからのやり直しとなる。
この仕様により、例え新しい章へ進んだ場合でも直後にセーブを行わずにうっかりゲームオーバーを迎えてしまった場合は容赦なく前回のセーブポイントからとなってしまう。こういう事態を防ぐためにも、セーブはこまめに行っておこう。
プレイ後の感想
「吾妻邸くわいだん」では90年代後期~2000年代初頭辺りの作品を彷彿とさせるレトロポリゴン調のゲームビジュアルが目を惹く。部分的には「バイオハザード」旧シリーズのような固定カメラによる3Dアクションと、ポイントクリックによる探索要素を絡めたゲームシステムが特徴だ。
表題に「怪談」という言葉こそ付くもののそういった要素は妖怪(作中では「妖鬼」)が登場するという点に集約されている印象で、怖さという面でのインパクトは余り感じ難いかもしれない。プレイ前にホラーゲーム要素を期待していた場合は、物足りなさを覚える危惧もあるだろう。
昭和五年、西暦にして1930年という昨今のゲーム作品でも余り見かけない時代設定は新鮮さもあり、鬼祓いを生業とする主要人物の職業”方相氏”に絡んだ作中の設定も細かく作られている。
何よりも筆者にとって興味深かったのが作中の回復アイテム「生薬「百草丸」」の別称が「陀羅尼助丸」となっていた事で、その名は記事内の注釈でも触れた通り作中舞台のモデルとなった奈良県内を中心に古くから和漢胃腸薬として実際に知られている丸薬と同名のものでもある。同製品は我が家においても現役で活躍している事もあり、間接的にだが作品への親和感を抱く要因となった。
アクションアドベンチャーとしてのゲーム部分を見ていくと、移動操作の快適度は「元祖」と「改」どちらのモードをゲーム開始時に選択したかに依るところは大きい。また、それぞれで攻撃時の高度判定が異なる3タイプの陣器(武器)の扱いや切り替えで最初は戸惑う事になるかもしれない。ただし、この辺りは序章で丁寧なチュートリアルが入るので心配は不要だ。
本編の進行においては、各エリアを探索していくことで回復やセーブに関する各種アイテムが比較的多く手に入るため、詰まることは早々ないはず。突き詰めていけば2~3時間程度の所要時間でクリアを狙うことも可能で、慣れてくると1周軽く遊ぶのに丁度いいゲームボリュームとなっている。
ただしポイントクリックを組み合わせた操作スタイルについては、コントローラー1つでプレイする上では少々煩わしさもあり好みが分かれそうなところ。この操作要素が無くても探索アドベンチャーとして十分に成立しているため、必要性を余り感じられなかった(反面、途中から使用可能となるLボタンの主観視点操作は上手く噛み合っていた印象だ)。
クレジットの表記からはほぼ全ての部分を求道庵氏個人が手掛けた作品であるとのことで、ボリュームは控えめながら全体のまとまりの良い気合の入った一作となっている。物語的には本作内で完結している感はあるが、筆者としてはこれ一作で終わるのは惜しまれる位に題材が魅力的で、いつの日か続編作品の登場を願うばかりだ。
世界観やスクリーンショットの雰囲気でピンと来た方は勿論のこと、妖怪物が好きという方にも触れてみて頂きたい一作。90年代スタイルの和製探索アドベンチャー「吾妻邸くわいだん」を是非お試しあれ。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 8.0 |
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良い点
- 固定カメラ方式の3Dアクションとポイントクリック式アドベンチャー要素を融合した独自性の高いゲームシステム
- グラフィックの精細度や操作スタイルが異なる「レトロ」と「モダン」2種類のゲームスタイルモードを搭載
- ゲーム界隈においては比較的稀少な、”昭和初期”(1930年代)が舞台となる時代設定
惜しい点
- 「怪談」と名の付く表題に反して、恐怖的な要素は限りなく薄い(※ただし、感じ方には個人差有り)
- フィールドが固定カメラ仕様になっている関係で、移動中場面が切り替わった際に方向入力で一瞬混乱に陥り易い
- ボス戦を含めて行動可能なフィールドエリアが全体的に狭く、戦いにおいても圧迫感がある
©Eastasiasoft Limited, SUZAKU Games. All Rights Reserved. 基本情報 タイトル SENSEs: Midnight […]
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