INMOST ©Hidden Layer Games 2020. All rights reserved.
基本情報
タイトル | INMOST |
対応機種 | Steam/Nintendo Switch |
販売 | Chucklefish |
開発 | Hidden Layer Games |
発売日 | 2020年8月21日(両機種共) |
対応言語 | 日本語,英語,フランス語,ドイツ語,イタリア語,スペイン語,韓国語,オランダ語,ロシア語,中国語 (簡体字),ポルトガル語,中国語 (繁体字)(左記に加えてSteam版ではアラビア語,トルコ語に対応) |
備考 | CEROレーティング:B(12歳以上)(暴力、犯罪) |
作品概要
「INMOST」(「インモスト」)はリトアニア共和国のインディーゲームデベロッパーHidden Layer Gamesによって開発されたゲーム作品。ロンドンのChucklefishが販売を担当。
ゲーム内容はストーリー中心のパズル要素を含んだ2Dプラットフォーマーで、ダークなテイストの物語と芸術性溢れる高品質なピクセルアートが大きな注目点。驚異的な書き込みとアニメーションで迫る、本作のグラフィックは、ドットグラフィック好きな諸氏にとっては一見の価値ありだ。
リンク:Hidden Layer Games(Twitter)
操作方法
(※Nintendo Switch版)
JOY-CON(左) | |
Lスティック | 【共通】移動全般 |
上ボタン | 【共通】はしご、段差を登る |
下ボタン | 【共通】はしご、段差を降りる、【男性/少女】伏せる |
左ボタン | 【共通】左に移動 |
右ボタン | 【共通】右に移動 |
Lボタン | 【騎士】左に回避移動 |
ZLボタン | 【騎士】左に回避移動 |
-ボタン | メニュー呼び出し |
JOY-CON(右) | |
Rスティック | 【共通】移動全般 |
Aボタン | 決定、【男性】前転移動 |
Bボタン | キャンセル、【男性】ジャンプ |
Yボタン | 【男性/少女】インタラクト、【騎士】攻撃、ワイヤー(引っかけられる場所で) |
Xボタン | |
Rボタン | 【騎士】右に回避移動 |
ZRボタン | 【騎士】右に回避移動 |
+ボタン | メニュー呼び出し |
本作ではキャラクター毎に使用するボタンの種類、及び利用可能なアクションが変化する。
3人の操作キャラクター
「INMOST」ではゲームの進行毎に、3人のキャラクターを交互に操作していく方式を取っており、人物毎に利用可能なアクションがそれぞれ異なる。
以下では、3人毎の身体的特徴や操作可能なアクションを簡潔にまとめてみた。
なお、各キャラクターは作中に明確な名称が登場しないため、以下で紹介するキャラ名は、外見的特徴やモノローグの内容に基づいた筆者側による”仮表記”である点をご了承頂きたい。
男性
顎まで伸びた髭が印象的な男性。謎めいた城を舞台に探索を行うこの人物は、本作において最もパズル要素と向き合うことになる操作キャラクター。
操作アクションは移動とインタラクトに加え、低高度のジャンプが可能となっている。
少女
少女を操作するパートでは基本的に家の敷地内のみが行動エリアとなっており、操作可能なアクションはインタラクトと歩くことのみ。
歩幅が小さく、歩く速度が遅めなのも特徴的。
幼さによる低身長のため、高い場所に登るためには椅子を運ぶなどの方法を駆使して、”段差を作る”必要がある。
騎士
剣を使って影のような存在を片っ端から荒々しく撃退していく騎士は、操作の大半が戦闘に長けたアクションで占められているのが特徴。
剣や蹴りを繰り出して敵を攻撃、対象物を蹴倒したり、回避移動で攻撃をかわしたりすることができる。
遠くの足場へと移る場合はワイヤーを使った移動が可能。ジャンプは出来ない。
ゲームシステム
【男性】アクション
男性の使用可能なアクションはジャンプと前転の2種類。
ジャンプは壁面で密着時には、壁の方向にキーやスティックを倒し続ることで、少しの間壁に貼り付いたり、手が届く高さならばそのままよじ登ることができる。
前転は低姿勢のまま数歩分の距離を移動することができるアクション。この動作自体に緊急回避的な効果はなく、アクション中も先の尖った対象や怪物本体に身体が触れるようならばダメージを受ける、もしくは即アウトとなってしまうので要注意。
【男性】中間ポイント
男性操作パートで随所に存在する街灯は、近寄ることで強い光を発し、その場所をリスタートポイントとして設定できる。
一定距離まで近づくだけで特にボタンを押さなくても反応するため、ポイントを更新したくないという場合は近寄らないこと。
【男性】光の結晶
男性の操作パートでは、各シーンの随所に白く輝く光の結晶が隠されている。全部で85種類。
草むらや壁の奥、宝箱など隠れている場所は様々で、進路の途中のような一見何もないような場所に隠されていることも。ジャンプや段差からの飛び降りなどを駆使して、空間という空間を隈なく探すのが発見のポイントだ。
男性パートでは、一定数の光の結晶を集めるごとに情報を教えてくれるNPCが登場する。
実のところ、光の結晶の使いどころはここだけで、全て集めなくてもストーリーに特に影響はない。収集率に特にこだわりがない場合は、程々に集める位が丁度良いだろう。
【少女】邸内の探索
少女の操作パートでは、自宅の敷地内での探索がメインとなる。
幼さ故の身体の小ささが仇となり、先の展開へと進む上では”手が届かない”というような状況が障害となって度々登場するのが、このパートでの特徴。
少女の力でも持ち運べそうな椅子や台などの道具を駆使し、”手が届く高さ”を確保しながら道を拓いていこう。
【騎士】攻撃とワイヤー
騎士は本作で唯一、戦闘用のアクションが用意されている操作キャラクター。
Yボタンで繰り出せる攻撃は、ボタンを押すたびに4種類の攻撃アクションをランダムで繰り出す。
怪物を倒す以外にも特定の障害物に衝撃を与えたりして、道を作るために使用する場合もある。
騎士が不自然に腕を前方に向けたり、頭上の方角へと顔を向ける場所は、ワイヤーが利用可能なポイントの目印。Yボタンでワイヤーを伸ばし、反対側へと移動することができる。
これ以上進めそうな道が見つからない時は、ワイヤーで飛び移ることができる場所がないか辺りを探してみよう。
プレイ後の感想
「INMOST」に触れてみて、真っ先にプレイヤーに印象を与えるポイントして挙げられるのは、緻密に描かれたドットグラフィックだ。本作をニューゲームで開始直後、冒頭のシーンに展開する全身に打ち付けてくるかのような雨風や、青白く瞬く稲光のビジュアルには思わず息を吞んだ。
全編を通して、人物は元より小動物、怪物、草木や岩、水滴といった自然物に至るまで、キャラクターやオブジェクト達がアニメーションによって、実に細かで活き活きとした動きを見せてくれる。
また、全体的に青を基調としたグラフィックは、本編の鬱々とした暗く冷たい空気や、登場人物達を待ち受ける物語の不穏さに強い説得力を持たせ、プレイヤーに言い様の無い不安を与えてくる。
こだわりのビジュアル&演出に加えて、本作は音響にも力が込められているので、サウンド面に関心を持つプレイヤーならばヘッドフォンを装着してのゲームプレイを推奨。
初回での体感プレイ時間は4~6時間程度。男性パートや少女パートなどで若干のパズル要素はあるが、必要なアイテムを捜索し、適切な場面で作用させて道を拓くといったアドベンチャーゲーム全般でのごくスタンダードな方式。よほどアクションが苦手でないならば、行き詰ることはないだろう。
ストーリーについてはここでは詳しくは触れないが、3人のキャラクターの操作パートが交互に訪れるゲーム構成により、別キャラクターの視点へとシーンが頻繁に飛ぶ展開は、初回プレイ時は当惑してしまいがちなポイント。
作中では「騎士」、「城」、「怪物」といったファンタジックな要素が特に説明なく唐突に登場し、これらの正体について解釈する上ではやや難解な側面もある。ウェブ上ではその疑問に関する考察も盛んなようなので、本編を終えた上で物語の補足のために調べてみるのもまた一興となるだろう。
一方で、Nintendo Switch版では現在セーブデータに関する不具合を確認しており、ゲームの再開時、偶にゲームの進捗が実際の進行状態からいくらか手前の方まで巻き戻っているといった症状が見られる場合がある。
光の結晶の収集を除くとこれと言ったやり込み要素もなく、アクションパズルとしても難易度は高い方ではない事もあり、全編攻略に至るまではそう時間のかかる内容ではないが、セーブシステム周りの不安定さは、ゲームプレイにおける快適さの面で痛手となり兼ねない点。
(最も、今回取り上げた上記現象はコンソール版で確認されたものであり、Steam版でも発生するかどうかは筆者側では確認していないことをご了承頂きたい)
ビジュアル面の美しさが際立つパズル&アドベンチャー作品「INMOST」。本作は”LT Game awards 2019″など、リトアニア国内で開催されたいくつかのインディーゲームアワードにて高い評価を受けており、数々の賞を獲得している。
本作をプレイする際には、まずはプロローグから圧倒してくる映像美を是非とも堪能してみて欲しい。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 7.5 |
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良い点
- 雨の冷たさや風の感触まで伝わって来そうな、躍動感に溢れた高品質なドットグラフィック&アニメーション
- 謎に満ちたストーリーと程良い難易度のパズル要素
- サスペンス色の強い物語と、家族を題材としたテーマ性
惜しい点
- ボタンの指示は随時登場するものの、具体的な操作にまつわる説明機能がゲーム内に用意されておらず、手探りで覚えていく形になる
- 3種類の操作キャラクターが何度も入れ替わる構成により、終盤に進むまで物語の核心部分が中々見えてこない
- パズル要素のあるアクションゲームとして見た場合、操作の快適性にわずかに難あり