Copyright ©2023 Imagine Software Ltd/Pixel Games UK/Subvert Ltd
基本情報
タイトル | Hidden Gems: Volume One |
対応機種 | Nintendo Switch |
販売 | Pixel Games UK |
開発 | Imagine Software |
発売日 | 2023年9月28日 |
対応言語 | 英語 |
備考 | IARCレーティング:7(暴力(軽度))
※日本語非対応(ゲームプレイには直接の影響はなし) |
作品概要
「Hidden Gems: Volume One」はイギリスのImagine Softwareが開発を手掛けるゲーム作品。パブリッシングを担当するのはPixel Games UK。
かつて、1980年代に欧州圏で好評を博したパーソナルコンピューター「THE C64」。本作はそんなTHE C64でリリースされたクラシックゲーム4タイトルを現代機であるNintendo Switchに復刻収録したコレクションソフトだ。ヨーロッパにおけるゲームの歴史を知る上で、取り分け本作は貴重な1本となるだろう。
本作収録の4タイトルはいずれも、THE C64と同じ8bitホームコンピューターにあたるZX SpectrumやAmstrad CPCなどの”別プラットフォーム版の移植”という形でSteamにて単体販売が行われており、Windowsを始めとしたPC環境を介して遊ぶことができる。これらの各移植版についてもパブリッシャーは同じPixel Games UKが担当しているので、遊び比べてみるのも面白いだろう。
リンク:Inagine Software(official site)
リンク:Pixel Games UK(official site)
リンク:Pixel Games UK(X(Twitter))
操作方法
(※全タイトル共通操作)
JOY-CON(左) | |
上下左右ボタン | (左右)タイトル選択 |
Lスティック | (左右)タイトル選択 |
Lボタン | |
ZLボタン | |
-ボタン | スキップ |
JOY-CON(右) | |
Rスティック | |
Aボタン | 決定/ゲーム開始 |
Bボタン | |
Yボタン | 詳細 |
Xボタン | クレジット表示 |
Rボタン | |
ZRボタン | |
+ボタン | オプションメニュー呼び出し |
上記表はメインメニューでの操作対応表となる。収録タイトル毎の操作方法は、各項目にて簡易表で別途紹介。
メインメニュー(ゲーム選択)
タイトル画面でAを押してゲーム選択画面へ。
収録作4本の中からプレイしたいゲームをLスティックの左右で選択し、Aボタンでゲーム開始だ。
また、Yボタンで選択中ゲームタイトルの詳細を確認することができる。(※英文につき注意)
各紹介文訳については、下記項目の「収録タイトル紹介」にてそれぞれ要約を掲載しているので、そちらを参考にして頂けると幸いである。
ステートセーブ&ロードについて
セーブ、及びロードを行う場合は、各機能からデータスロットを選んでAボタンで実行しよう。
上書きセーブを行う場合は、画面右下の”A”表記外周を囲むゲージが一杯になるまでAボタンを押し続ければ完了。
オプションについて
メインメニュー及び各ゲームプレイ中に利用可能なオプション項目は以下の2種類。
Filter:None/Soft/CRT
Zoom:Whole Screen/Content
2種類の設定を組み合わせることで、ブラウン管テレビ風の懐かしい旧式モニター画面の再現が可能となっている。
昨今では取り立てて特別感のないありふれた機能ではあるが、必要に応じて活用してみよう。
なお、画面両脇に拵えられているベゼル(旧式テレビ風のフレーム画像)は仕様によるもので、「Zoom」の項目をどちら側に設定しても完全な黒塗りにはならない。
収録タイトル紹介
Gilligan’s Gold
発売:1984年
ゲーム説明(要約)
金 – それは心を熱くするもの! …ギリガンの黄金はキミの体温を急上昇させることだろう。
金塊が詰まった袋を集めながら、山賊の追跡をかわせ。
荷車にぶら下がって、はしごを駆け下り、リフトへと飛び込もう。だけど、坑道にはご用心…!
左右に渡って全3画面で構成された鉱山を舞台に、金塊が詰まった袋を地上の荷台へと1つずつ運び込む。荷台に袋を1つ放り込むごとに400点の加算に併せて、残り時間がフルチャージする。3エリア内のすべての袋を荷台に詰め込めばゲームクリアだ。
袋を抱えている間は重みで極端に移動速度が落ちる上に、2人の追跡者がこちらの存在を察知して常に追いかけ回してくる。梯子を活用して誘導したり、運搬中の袋を追手目掛けて放り投げて気絶させるなどの方法で上手くやり過ごそう。
坑道内を自動で往復するトロッコにうっかり接触するとワンミスとなってしまうが、天井の吊り輪に捕まれば回避する事が可能だ。また、エレベーターは同じフロア上にいるとき以外は乗ることが出来ず、通路内に足を踏み入れると落下死してしまう。
ピッケルを入手すると、一定時間追跡者を撃退するチャンスが生まれる。それだけでなく、これさえあれば硬い岩壁を砕くことができるかも—?
プレイヤーの回避アクションが左右移動しかないため、執拗に狙ってくる追跡者を撒くのがとにかく難しい。ステージ1周分完走のためには、何度もプレイして最適な動き方を模索する他ないだろう。
Horace Goes Skiing
発売:1984年
ゲーム説明(要約)
ホーレスが旗の間の山道をスラロームで下り、木々を避けるのを手伝おう。
だけど、スキー場に行くには、まず交通量の多い道路を渡らなければならないぞ。
William Tangが生み出した「Horace」シリーズ3部作の、第2作目にあたるタイトルがこの「Horace Goes Skiing」だ。
内容的にはコナミの名作アーケード作品「フロッガー」のゲームデザインに似たものとなっており、操作キャラクターであるHoraceを道路の向かい側にあるスキー用品店まで道路を一往復する形で横断しなければならない。
歩数を稼ぐ毎にスコアが加算され、店舗に到着してスキー道具を借りる、もしくは道路横断時に車両と接触して救急車で運ばれる度に所持金から$10を消費。所持金がなくなるとゲーム終了。
道路上を走行する車両は一般車を中心に複数の種類が見られるが、取り分けバイクのスピードが猛烈に速く、2~3台が一度に同じレーンを走ることも多かったりと、非常にかわしにくい。
道路の中央付近には一切の安全地帯はなく、各チャレンジはほぼ一発勝負が決め手となる。一瞬のタイミングを見て、通行中の車両と車両の隙間を一気に渡り切るのがコツだ。
(※危険ですので絶対に真似をしないでください)
無事道路の横断を終えると、いよいよゲレンデでのスキーに挑戦。
トリッキーな山岳コースをスラロームで滑り降りながら、旗のゲートを潜り抜けてスコアを獲得していく。Horaceの制御が難しく、まっすぐ滑り降りるのも苦心すること必至だ。
一定距離を滑降すると見えてくるゴールポイントに上手く到着できると100点が加算され、直後にスキー道具をレンタルした状態で道路横断パートからの再開となる。
滑降中、樹に3回接触した場合はスキー終了となり、再び道路横断のパートが開始。以後は2つのパートが交互に繰り返される。
本作はとにかくゲームの展開が速く、腕が振るわなければ開始1分もせずにゲームオーバーを迎えてしまいがちな程だ。
無茶な道路横断を決行した結果、幾度も事故に見舞われ、救急車で運ばれるという憂き目に逢い続けるHorace…。それなのに、気が付くとついつい繰り返し遊んでしまっている—
「Horace Goes Skiing」はそんな不思議な魅力を持ったタイトルだ。
Mutant Monty
発売:1984年
ゲーム説明(要約)
モンティが生涯をかけて抱く2つの野望を達成するのを助けよう。
今日の主役の座に就かせるため、恐怖でいっぱいの40の部屋を切り抜けろ。
本作の操作キャラクターである「Monty」は”英雄になることを夢見る野心家”という設定を持った人物であり、Gremline Graphicsが同じTHE C64でリリースした「Monty Mole」シリーズの主人公にあたるモグラの同名キャラクターとは一切関連性はない。
ゲームの内容は1画面制+トップビュー形式のプラットフォーマーで、全40面構成の1周エンド制。各ステージ(レベル)には英文表記による呼称がつけられている。
ゲームルール自体は全ステージに渡って、”ステージ内に点在する金塊を全て拾って出口を目指すだけ”と非常にシンプル。
しかし、多彩なお邪魔キャラクターが登場する上に、操作キャラであるモンティは”一度入力した方向へ自動で進み続ける”といった若干クセのある動きを見せる。これが思わぬミスを誘発する原因となり易い。
バラエティに溢れたステージ構成や抑え目の難易度など、収録作の4本の中では最もとっつき易い。
N.O.M.A.D.
発売:1986年
ゲーム説明(要約)
極悪非道なサイラス・T・グロスによる悪しき犯罪ネットワークと戦う最後の手段として、ネメシス機関と呼ばれる自由世界の支配者たちは優秀なヒューマノイドハンター『N.O.M.A.D 471』(ネメシス機動型戦闘兵器)にTALOS侵攻を託した。
グロスの重武装した人工小惑星、そして卑劣なる暴君を完全に滅亡するのだ。
戦闘兵器”N.O.M.A.D. 471″を操作し、迷路のように入り組んだ人口惑星内部を探索。最奥部にいるサイラス・Tの打倒がゲームの最終目的となる。
仕様的にはプレイヤー側に与えられる制限は残機数のみで、時間制限やエネルギー要素といった厄介気味な仕様はない。そのため、各自のペースに任せたプレイ進行が可能となっている。
しかし、方向キー上入力で前進、下入力で後退といった”ラジコン方式”の操作スタイルや、時折謎の重力が働くことで制御不能となるポイントが点在、エリアを切り替えた途端にかわす間も無くこちらに向かって突っ込んで来る敵機など、道中にはひたすらストレスが貯まる場面が多く見られる。
残機制ではあるもののコンティニュー機能が備わっていないことも踏まえると、全レベル攻略は険しい道のりとなるだろう。
プレイ後の感想
ここまで紹介してきた通り、「Hidden Gems: Volume One」は欧州発クラシックゲームのコレクション系ソフトで、その収録内容がコモドール64の作品オンリーという特徴を持つ。日本国内の多くのゲーム愛好家にとってはまず馴染みの薄いヨーロッパ発祥の8bitホームコンピューター対応ゲームタイトルのみを収録した構成というストロングスタイルな内容から、手を出してみようという人はよほどのマニアくらいであろう。
以下では収録の4タイトルについて簡単に、プレイ後の雑感を記していこう。
まず「Gilligan’s Gold」では、追跡者を上手く誘導しないとすぐに追い詰められてミスを誘発するばかりか、頻繁にステージ内を通行するトロッコの存在を忘れがちで、気が付けば轢かれてワンミスを喰らった、なんてことが起こりがちだ。金が詰まった袋を運ぶ際は重みでこちらの速度が遅くなる事から1つ分を運びこむぶことすら困難で、臨機応変に対応できるプレイ時のアドリブ力が問われる。
「Horace Goes Skiing」では道路を無事に一往復するフェーズ1からして難易度が高く、肝心のスキー場に辿り着くことも困難。ある程度ステージが進んだ先であるならともかく、1面から既にプレイヤーを突き放し気味なのは苦笑する他ない。しかしながら、ゲーム進行のテンポの良さもあってかどこか不思議な魅力をも同時に感じており、筆者にとっては収録作4本の中で一番お気に入りのタイトルとなった。
「Mutant Monty」はシンプルなルールの割に比較的内容も濃く、他3作に比べて遊び易くなっているが、方向移動がオート仕様のためかエネミーに接触しそうな際のブレーキング操作にややクセが感じられる。40面という長丁場ながらコンティニュー機能がない上に、残機数は5機と全面攻略を目指す上では少々心もとない。ソフト側の機能であるステートセーブとロードの駆使が活きる。
「N.O.M.A.D.」では、上記項目での紹介通りラジコン式操作による自機の制動の難しさに加えて頻繁に地形に嵌って動けなくなったり、画面切り替えと同時に侵入してきた敵に接触してアウトする事があるなど理不尽気味な仕様が目立つ。「Mutant Monty」と同様、一画面毎にステートセーブとロードを繰り返しながらでないと満足に進む事さえ難しい。
今作移植版にはマニュアルが一切付属していないため、仕様を熟知していないとクリアは極めて困難な道のりとなる。幸いYoutubeには、オリジナル版起動時に表示されるテキストマニュアルパートが収録された投稿動画があるので、参考用として下記にリンクを掲載しておくこととしよう。(0:13~0:51辺りまで)
生憎と筆者は件のC64実機所有者ではない事もあって当然ながらオリジナル版のプレイ体験はなく、各タイトルにおける細部の再現度については預かり知らぬところではある。と言っても収録タイトルをひとしきり触ってみた分には、オリジナル版を限りなく忠実に再現していると思われる簡素な内容やゲームバランスは実に当時らしい。
それだけに、ゲーム内チュートリアルのような要素も一切見られず、ルールに関する説明不足が理由で遊びにくさを感じるといった点も目立つ。各収録作品の単なる紹介文や操作説明のみの収録に留めず、何らかの形で基本的なゲーム説明も簡単に入れるといった配慮が欲しかったところだ。
Nintendo Switchにダウンロードソフトとして登場したこの「Hidden Gems: Volume One」は、上記コンソールの歴史の一端を知る上ではまたとないタイトルなのだが、実際に遊んでみると強烈な個性と共に当時のゲームらしい理不尽な部分も同時に体感する結果となった。そんなところも含め、「1984~86年当時の8bitホームコンピューターゲームの雰囲気を味わう」といったニッチな体験を求める上では本作は持ってこいのタイトルだ。
ただし、肝心の収録タイトルについては操作感や仕様などの面で遊びにくさを感じるタイトルがちらほら見られる。起動の素早さなど快適に感じられるプラスな面もあるが、本作に興味がある方はまずはそういった点を踏まえた上での購入をおススメする。
なお、THE C64でリリースされた一部のゲームタイトルは、当ブログにて取り上げた欧州ゲームコンソール「Evercade VS」用のゲームカートリッジに収録されており、これらを入手することで現代でもプレイ可能となっている。筆者としてはTHE C64は個人的にも注目しているホームコンピューターの一カテゴリでもあり、現代プラットフォームへの移植展開など今後の動向に注目したいところだ。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 6.5 |
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良い点
- 8bitホームコンピューターのゲームファンにとっては稀少価値の高いTHE C64のコアなタイトル群を収録
- 起動やゲーム選択などのあらゆる機能が全体的にスムーズに動作
- ステートセーブ/ロード機能、CRTフィルタといった便利且つこだわりのオプション
惜しい点
- 80年代前期作品ならではの理不尽な仕様や難易度の高さが目立つ
- 日本国内ではまず馴染みのないタイトルだけで構成されており、現代の価値観でプレイする上では遊び辛さを感じる厳しい内容のものも多い
- (N.O.M.A.D.)ゲーム進行中、地形に嵌って動けなくなるといった現象が頻発する(オリジナル版からの仕様であるかは不明)
@2021 Copylight Blaze Entertainment Ltd. はじめに 突然ですが、『Evercade』というゲーム機のシリーズが存在している事をご存じでしょうか? […]