fault – StP – LIGHTKRAVTE -プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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©ALICE IN DISSONANCE
Published by Phoenixx Inc.

 

 

(※当記事ではシリーズ関連作品毎によるタイトル名表記の混同を防ぐため、意図的に色分けしてあります。ご了承下さい)

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基本情報

 

タイトル fault – StP – LIGHTKRAVTE
対応機種 Steam/Nintendo Switch
販売 Phoenixx
開発 Alice In Disonnance
発売日 2022年5月28日(Steam版)、2022年9月15日(Switch版)
対応言語 日本語,中国語 (簡体字),英語
備考 IARCレーティング表記:3+

 

作品概要

 

「fault – StP – LIGHTKRAVTE」(「フォールト – StP – ライトクラフト」)はAlice In Disonnance(AiD)が開発を手掛けるビジュアルノベル。各プラットフォームにおいてPhoenixxがパブリッシャーを担当。

北米のクリエイター支援プラットフォーム「patreon」を中心に制作活動が行われている、世界でも人気のビジュアルノベル「fault」シリーズの1篇となる作品で、今作でも企画シナリオ担当をMunisix、イラストを小夏はれの両氏が担当している。

 

背景画などの一部要素は、Steamで配信中の「fault – SILENCE THE PEDANT Demo」*で使用されたものをベースに、ほぼそのまま投入されていると推測されるが、今作ではこれまでのシリーズ作品では止め絵だったキャラクターのバストアップCGがトゥーン調の2Dモデルに変更。

緻密な設定が織り成す、西洋ファンタジーとSFが交錯する独特な世界観と魅力的な数々のキャラクターは、メインストリームとなる「milestone」を踏襲しつつ、今作ではそこから5年前へと時代を少し遡り、ルゼンハイドを舞台にしたヒューマンドラマ中心のエピソードが展開する。

 

(*2020年よりSteamで配信開始。製品版についての続報は、2022年11月現在なし。細かな設定で異なる部分は見られるものの、本作「StP -LIGHTKRAVTE」の物語は時系列上では、「- SILENCE THE PEDANT Demo」本編以後の出来事を描いたものとなっている)

 

リンク:ALICE IN DISONNANCE 【オフィシャルサイト】

 

作品別時系列

ノベルゲームとして、現在配信中シリーズ分を通しての時系列は以下の順となる。

(※括弧内表記はオリジナル版(Windows版,及びSteam版)発売、あるいは配信開始年度)

 

fault – SILENCE THE PEDANT Demo(2020年)

fault – StP – LIGHTKRAVTE(2022年)

fault – milestone one(2013年)

fault – milestone two – side : above(2015年)

 

プロローグ

 

(※本編プロローグより要約)

現ルゼンハイド国王、ヴァラ=ルゼンハイドが窮地に置かれたシェストカーリン国の援助を決意。

アライアンスに加盟している各国はこぞって、これに賛成を示した。

だが、このヴァラ国王の決断は、平穏だったルゼンハイドに不安という影を落とすことになる。

 

昨日とは明らかに違う空気が漂い始める中においても、

長きに渡って平和な時間を享受してきた国民達は、「我々には関係ない話」と普段と同じ日々を過ごす。

老舗の農園『オバーグ果樹園』の倅、カージ=オバーグもそんないつも通りの日常を送る一人であった。

 

 

 

 

登場人物

 

下記で主要な登場人物を紹介。

 

カージ=オバーグ

ルゼンハイド市随一の農園、オバーグ果樹園4代目の倅。本編主人公。

父オグズの家業を手伝う傍らで「画家になりたい」という夢を持ち、2年間ほぼ独学で練習を続ける日々を送っている。リッグズが開拓した、”止り木”の常連の1人。

思春期相応に異性への興味が強く、何かと顔を合わせる機会が多いフローラに対しては”身分違い”と尊ぶ形で接しつつも、特に強い憧れを抱いている。

(※初登場作品:『fault – SILENCE THE PEDANT Demo』

フローラ=セレンハイド

名家セレンハイド家の次女。母アンゼはルゼンハイド枢密院の最高責任者。カージにとっての憧れの存在で、止り木の常連の1人。

ミィシャ、リッグズとは幼馴染で、リトナとは特に付き合いは長い。ミィネという姉がいる。

有事の際の国の抑止力としての役割を持つセレンハイド家の一員であることに対しては、時に重責を感じることもあるようだ。

(※初登場作品:『fault – milestone2 – above』

ミィシャ=ルグルス

ロイヤルガーディアンの育成を目的とする高等教育機関クロックスアカデミーの生徒。

ルゼンハイドの古式ゆかしい様式を重んじる養父と、ルードアン出身の母親同士による衝突が耐えない家を抜け、現在は止り木で寝泊まりをしている。

歴史や文化を含めた『味』に対する探究心が強く、止り木を訪れた者達に持ち前の技を振るって料理を提供する。

(※初登場作品:『fault – milestone2 – above』

リッグズ=ボウエン

ミィシャと同じくクロックスアカデミーの生徒。自身のこと以上に仲間の身を重んじる性格で、古風な口調と落ち着いた佇まいが印象的。

レンデル森林の奥地に小屋を建て、止り木の土台を作り上げた。最近では家を空けることが多くなり、ほとんど止り木で暮らしている。

身寄りのない子供が多く生活するウォール街の出身で、険しい環境下で育ちつつも、ルゼンハイドという国に対しては確かな恩義を感じている。

(※初登場作品:『fault – milestone2 – above』

アディア=ヴィルマーク

水路の浄水と客船を兼ねたクラフト業、”ファリナー”を生業とする女性。職に就いて早2年目だが、現在も見習い。

止り木の常連の一人で、大らかで優しく、穏やかな性格の持ち主。仕事の傍らで、ボランティアという形でカージに絵のレクチャーを行っている。

自分にとって、”楽しいかどうか”が彼女にとっての一番の行動理念。

(※初登場作品:『fault – SILENCE THE PEDANT Demo』

ソネッタ=ヴァルツクライザ

クロックスアカデミーの女生徒。音楽に関するプロ並みの才能を持つ。

止り木の常連の1人で、自分のことを「ミーチ」と呼んだり、語尾に「っす」をつけたりといった軽妙な語り口で話す。

ある人物からの依頼で、暇な時間にはルゼンハイド大図書館の司書として働いている。

体内でマナを精製出来ない”マナロック症候群”により、特殊な薬を飲むといった補助がないとクラフトを扱うことができない体質。

(※今作初登場)

リトナ=ラインヴァスタ

14歳。名家ラインヴァスタ家の子女で、出身はルゼンハイドの兄弟国であるヴァストアルカ。マナクラフターとして100年に1人の鬼才と畏れられている。

代々ルゼンハイドのロイヤルガーディアンを務める家系の出身であることから、周囲からは国家の平和のために後継者となることを切望されている存在。

しかし、当人は未だはっきりとした答えは出しておらず、アトリエにこもって硝子職人(グラスクラフター)として何かを作り上げるという日々を繰り返している。

(※これまでの全作品に登場)

セルフィーネ=ルゼンハイド

9歳。ルゼンハイド国王女。父は現国王ヴァラ=ルゼンハイド。年齢相応に好奇心旺盛でわんぱく。

6歳の頃に王族秘伝となる”記憶転移”の術『パスダウン』継承の儀を行い、9代目継承者として先代の記憶と経験をその身に宿す。

柘榴が好物で城の厨房からよく盗み出すクセがあり、たびたび調理場の従業員や衛兵を相手に”柘榴戦争”の勃発へと発展することがある。

(※これまでの全作品に登場)

オグズ=オバーグ

『オバーグ果樹園』の現農園主。妻メルリッサとは息子カージが幼い頃に死別している。

老舗の農園主である誇りから、収穫においては完璧であれとのこだわりを見せ、その気概によって育まれた果実は、いずれも貴族ご用達の最高級品ばかり。

実子が家業を継ぐことに前向きな姿勢を見せないことには半ば諦観気味だが、一方で「やりたいことをやって欲しい」という想いもあり、穏やかに見守っている。

(※今作初登場)

当ブログでは今回初紹介となるキャラが複数見られるが、注釈にある通り登場自体は今作が初めてというわけではない人物は多い

キャラクターの中には、出演作によって少しビジュアルが違うといった興味深い発見もあるので、それぞれで遊び比べてみるのも一興だ。

 

操作方法

 

操作方法(Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン カーソルの移動
Lスティック (スティック押し込みで)テキスト表示オン/オフ
Lボタン 読み進める/決定
ZLボタン バックログ
-ボタン メニュー

 

JOY-CON(右)
Rスティック
Aボタン 読み進める/決定(Lボタンと同じ)
Bボタン キャンセル
Yボタン 辞書
Xボタン メニュー
Rボタン オートモード
ZRボタン (長押しで)テキストスキップ
+ボタン 早送り

前作、前々作のような方向キーでの代替操作はなくなり、同時にZLボタンのテキスト巻き戻し機能は今作では廃止となった。テキスト表示のオンオフはLスティックを押し込むことで行える。

セーブ/ロードについての変更点はなく、今作も1ページ辺り8箇所の記録スペースが4ページ分、合計32の保存領域が用意されている。

また、携帯モードでのプレイ時にはジャイロセンサーにより、本体の振動に反応して画面がスクロールするといった機能が搭載されている。

 

作中用語/世界観

 

作品、及び世界の根幹に「マナ」という概念を置くことで設定された、シリーズ独自の文化によって緻密な世界観を成す「fault」シリーズ。「milestone」篇同様、本作「StP -LIGHTKRAVTE-」にも固有の設定が多数登場する。

以下では、本編に登場するキーワードの中で特に大きく関わるものの一部をゲーム内のアンサイクロペディア(辞書)で扱われているものも含めて、要約して紹介。

(※一部ネタバレ要素を含む場合があるため、読み進める場合はご注意下さい)

 

 

ヴァストアルカ

大国ルゼンハイドにとっての戦友国で、アライアンス協定の折、ヴァストアルカは友好の証としてルゼンハイドに自国最大の名家ラインヴァスタ家を献上、これを切っ掛けに二国は兄弟国となった。

以来、ラインヴァスタ家は代々、ルゼンハイドを護るロイヤルガーディアンとして王家に仕えているが、当人達が強く希望する場合はヴァストアルカに帰還しても良いとされている。

 

数ある文化の中でも工芸品や食文化に優れ、印刷技術とグラスクラフト(硝子工芸)については他地域よりも特に力を注いでいる。

国名が元となっている蒼色”ヴァストアルカ・ブルー”は、争いごとを忘れさせるほどの美しさと輝きを持つ『永久色(とわいろ)』の別名を持ち、「友好のための貢物として他国に献上することで戦争を防いだ」といった言い伝えもあるこの色はルゼンハイドの国旗にも使われている。

ただ、ヴァストアルカ・ブルーはこの上なく精製が難しい色と言われており、国内でもたった数名しかいないとされる、齢60を超える人間国宝級の硝子職人の手によってのみ産み出すことができると伝わる。

 

ファリン/ファリナー

『ファリン』(現実世界での「舟」にあたる乗り物)での船客業を行うクラフターは、ファリナーと呼ばれる。

水路の水を飲み水のレベルにまで浄化しながら漕ぎ進む『アクア』の技術は、ファリナーにとって必須となるものだが、4大マナを扱う全基本クラフトの中でも難度は特に高い。

国の役所としての役割を持ったセレンハイド家が取り仕切るファリナー協会の規定により、見習いのファリナーは自身の管轄区域を大きく逸脱した運航が禁じられている。

また、ファリンにまつわる言葉としてルゼンハイドには、”都合よく好ましい状態となる”といった意味の「渡りにファリン」という諺がある。

 

肖像画

劇中では、”ポートフォリオ”と言う名称で表現される場合もある。

絵を嗜む一般市民、クラウ=ランヴァイズは画家としての功績を認められ、名誉称号である『ルゼンハイド』のミドルネームを授かり王室専属のアーティストに任命される。

絵の世界において彼が与えた影響は大きく、国内における肖像画の主流は以後、写実のスタイルへと完全に移行。それまで一定数の需要があった抽象画は、今の世ではあまり求められなくなってしまった。

ルゼンハイド城内に飾られた王妃セラの肖像画は、王立画家クラウ=”ルゼンハイド”=ランヴァイズの手により描かれたものである。

 

ビーアル

鋭い牙と爪を持った夜行性の大型哺乳類。普段は温厚で、基本的に人が嫌いなため人里に降りてくることはないが、毎年必ず何件かの人身被害が起こっている。

小さいサイズでも成人男性の3~4倍の大きさはあり、中でもラック・ビーアルという種は非常に獰猛で死人が出る危険性を持つという。

危険信号を出してきた時には”死んだふり”でやり過ごすことができると言われているが、その効果の程については眉唾もの。

ここ最近、ラック・ビーアルがファームリングの農作物を食い荒らす動きを見せており、最近は市街地でも店や倉庫などで被害が相次いでいる。

 

グラスクラフター

“透曜石”を加工して、様々な工芸品を産み出す硝子職人のクラフターを指す。

クラフトの才を持つリトナは作中、14歳という若さで人間国宝級の一握りの職人だけが再現可能とされる蒼色、”ヴァストアルカ・ブルー”の精製を目指すという高い目標を掲げ、デュアル・クラフター試験を受けることにした。

その背景には唯一の肉親、祖父のエウスが遺した唯1つの形見である風鈴に、この色が使われていたことが原因としてある。

 

止り木

ルゼンハイドが保有するレンデル森林の奥地にひっそりと拓かれた棲み処。昔、多数の死者が出たことから、幽霊が出るという噂も囁かれる。

リッグズが拵らえた小屋では彼とミィシャの二人が共同で暮らしており、高い料理スキルを持つミィシャが訪れた者に手料理を振舞うのがここでの日常風景。

基本的に『来る者は拒まず、去る者は追わない』が”止り木”の方針で、カージやフローラ達以外にも最近ではクロックスの候補生が顔を出すこともあるようだ。

 

クロックスアカデミー(CLOQKS)

戦闘用のクラフトの開発・伝授を目的として設立された軍事校。

開設者は2代目ルゼンハイド国女王のリガン=ルゼンハイドで、国民には歴史上、最も残忍で冷酷な王として”鮮血のリガン”の名で知られている。

王族(ロイヤル)のガーディアンを務める者はここで教育を受けることが仕来りとなっており、卒業には獲得が非常に困難なシングル・クラフターの称号の獲得が絶対条件。その関係で、生徒たちの年齢は幅広い。

クロックスの語源となった『CLOQKS』は、”Close Quarter Kravting and Strategem”を略称化したもので、本来は”バトルクラフトを活用した近距離戦闘術、及びその心構え”を指す言葉。

 

オフィア/ディヴィオ

クラフターの潜在能力を極限まで引き出す目的で受ける、いうなれば人体改造のような儀式。

クラフトの世界にはオフィアとディヴィオという、用途とタイプが異なる2つの儀式が存在する

オフィア 瞬時的に大量のマナを操作しなければならないクラフトを使用する、主に戦闘を生業とする者(バトルクラフター)が受ける儀式。
バトルクラフトはバトルクラフトでのみ対抗が可能なため、戦闘に参加する者は、抑止力としてオフィアの儀式を受けることが半ば不可欠となる。
バトルクラフター

※寿命が1~2割程度縮むなどの副作用を伴う

ディヴィオ 長期にわたり大量のマナを操作するようなマナクラフトを生業にする者が、じっくりと受ける儀式。
大人数でしか扱えないような規模の大きいクラフトを成し遂げる者たちは、長期的かつ複雑で丁寧なマナ操作を求められる
医療(メディカルクラフト)、気候操作師など

2つの儀式は、『個』と『多』という各クラフターが持つ性質から、『孤高のオフィア』、『親睦のディヴィオ』とそれぞれ呼ばれている。

 

鎹(かすがい)の掟

サンアリズタ大陸内でアライアンス協定が結ばれた際、近隣国のヴァストアルカはルゼンハイドに友情の証として、自国が誇る最高にして最強の名家ラインヴァスタをルゼンハイドに預けた。

『他国の血を持つ者が王の首を護る』という図式は二国の至上の信頼の証とされ、ルゼンハイド、ヴァストアルカは兄弟国として共に名を轟かせた。そして、その時交わされた友好の誓いは今なお続いている。

 

『鎹の掟』とはこの二国の関係に亀裂が生じ、有事となった際にルゼンハイドの分家であるセレンハイド家が、抑止力として働くという暗黙のルールを指す。

この掟により、セレンハイドは両国の間で万一仲違いが発生した場合、ラインヴァスタを斃せるだけの強さ(主には命を懸けた戦いにおける強さ)を持たなくてはならない、という宿命を背負わされることになった。

 

ペンクラフト

読み書きにまつわるクラフトで、一般には”解読”用途のリードクラフトと”筆記”用途のライトクラフトの2つをまとめてペンクラフトと定義されている。

ライトクラフトは書き手の意志や想いをマナを使って光へと変え、筆記時の文字に埋め込む技術を指す。

ペンクラフトによって創られた書籍は一見普通の本と変わらないが、『リーディングストーン』と呼ばれる補助道具を用いることで、著作物に込められた意志の解読が可能となる。

リーディングストーンは使用者のマナを必要としない”ノンクラフト”と呼ばれる道具に属し、マナの扱いに不慣れな人物でも利用することができる『解読(リード)』のクラフトアイテムである。

 

ルゼンハイドで流通しているペンクラフトによる出版物の中でも意訳版と呼ばれるものについては、印刷技術に優れるヴァストアルカからの輸入品が多い。

意訳版には、原本の文字をそのまま複製した『古語版』、今の時代向けに意訳した『現代意訳版』、原作通りの古語に加え、筆者がつづったペンクラフトをそのまま再現した『ペンクラフト再現版』といったものがある。

後者のものほどより一層の手間がかかっており、稀少性も高い。

 

エンペレス・シンドローム

パスダウンの第2段階『慣らし』がまだ終わっていない継承者に劇的な危機が訪れた際、継承者本人と『王族の秘伝』を護るための一種の防衛本能として、眠っている先代の意識が表に出てくる症状を指す。

“9代目”となるセルフィーネのように、継承した先代の対象が複数に渡る場合は、状況に応じて適切な人物の性格が浮上する傾向にある。

 

症状に伴い現れた先人達の経験、知識といった各要素は継承者の意識下に流れ込む形となるがその際、継承者本人は自我の意識を持ったままであり、いわゆる”解離性同一性障害”とは症状的には異なる。

一時的な間とはいえ、善悪やモラル、性格といった自分の中の概念が瞬時に変化してしまう影響で、継承者の人格次第では、症状が過ぎた後に酷い罪悪感や後悔に苛まれるという事態に陥ることがある。

なお、継承者が女性であった場合は”エンペレス・シンドローム”、男性の場合は”エンペラー・シンドローム”と言い回しが変化する。

 

ページボリュームの都合でカバー仕切れなかった用語もあるため、ここに掲載しているのは筆者がピックアップしたほんの一部に過ぎないが、本項と併せて御覧頂くことで、シリーズ全体への理解が深まる一助となるかもしれない。

なお、ここで取り扱うのは今作で初めて登場する用語を扱った差分となり、シリーズを形成する作中の舞台、世界観の仕組みや、前作までの時点で既に登場しているキーワードについては「fault – milestone one」の紹介記事を併せて一読頂けると幸いである。

古今ゲーム録

スポンサーリンク ©2019 ALICE IN DISSONANCE / ©2019 Sekai Games     目…

 

なお、今回紹介分の用語をまとめるにあたり、一部「fault – SILENCE THE PEDANT Demo」内に登場した設定も補間の際の資料として参考としている。

デモ版ということもあり、開発サイドの匙加減によって今後、設定が新たに追加されたり変更となる可能性もあることをご了承頂きたい。

 

プレイ後の感想

「fault – StP – LIGHTKRAVTE」はシリーズのメインストリームとも言える「milestone」から5年前となる過去のエピソードを描いた外伝的な位置づけにあたる作品だ。

ノベル作品という基本的なシステムは旧作からそのままである一方、キャラクターグラフィックの進化度合は顕著で、これまでのシリーズでは止め絵だったバストアップ画像は近代的なトゥーンモデルへと進化。

まばたきや口パクなどの簡単なアニメーションは勿論の事、首をかしげる、顔の角度を変えるなど実に活き活きとした動きを見せ、過去作を履修済みのプレイヤーならば品質の向上をはっきりと感じ取ることができるはずだ。

 

今作の主人公となるカージは14歳という年相応に、異性への憧れと絵描きを目指す夢を持った大人しい雰囲気を漂わせる一般市民の少年だが、反面、自己肯定感は低く、優柔不断な傾向のあるキャラクターとして描かれ、家業の果樹園を継ぐことにもしっかりと向きあえていない姿勢を見せる。

 

やりたいことはあるが、はっきりと目標が定まらないまま燻った状態を続け、奔走を繰り返す内についには厳しい言葉を突き付けられ、徹底的に打ちひしがれる―

「今まさに将来のことを考えなくてはならない」という立場にあるプレイヤーにとって、作中でカージが足掻く姿は強く響き、より身近な存在と感じられる方もいるかもしれない。

 

全編を読み終えるまでの所要時間はゆっくり読み進めて6~8時間程度。

時代が激動へと向かいつつある中で尚、未だ穏やかな空気が流れるルゼンハイド。そこで展開するのは戦争ドラマでも心躍る冒険譚でもない。

“家業の後継問題”と”追い求めたい夢”の狭間で思い悩む、一少年市民の精神的成長の過程を描いた物語だ。

物語を通して、止り木に出入りする知人や友人達と日々言葉を交わす内、カージは大きな決断を迫られながらも、自身が絵にこだわるその理由を、そして自分だけの答えを少しずつ見つけ出していく。

 

主人公であるカージに限らず、彼を取り巻く主要人物ひとりひとりにもスポットが当てられ、各人毎の生き様や心情の描写がたっぷりと作中に盛り込まれているのも注目ポイント。

物語後半ではわずかにサスペンス的な展開も登場し、程良い緊迫感と盛り上がりを覗かせる。

 

今作「fault – StP – LIGHTKRAVTE」はシリーズ作品に触れたことがない、という方でも単体で問題なく楽しめるが、作中の時系列が直近となる「SILENCE THE PEDANT Demo」を併せてプレイすることで、双方間での新たな発見は多い。

現状、「SILENCE THE PEDANT Demo」はPCでのみプレイが可能なので、Steamを利用可能な環境であるならば、両方遊んでみることを強くオススメする。

 

そして本作から「fault」の世界へと入った方は、よりファンタジーSF要素と冒険色の濃い本章、「milestone」シリーズも併せて是非一読(プレイ)してみて欲しい。

読むほどに深まる作中世界への理解と、数々の緻密な設定がもたらす圧倒的な情報量は、プレイヤーの知的好奇心をくすぐり、マナ文明の異邦の地サンアリズタへと誘ってくれるだろう。

 

そんな「milestone」シリーズについての新たな動きだが、11月13日に開催された「デジゲー博2022」にて、シリーズ最新作「fault – milestone two side : below」の出展があり、初の試遊台によるお披露目が行われた。

2023年内の発売を目指して現在鋭意開発中とのことなので、今後の続報に期待しつつまずは今作「fault – StP – LIGHTKRAVTE」をじっくりと楽しもう。

 

外部リンク:デジゲー博 公式サイト

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 8.5

 

良い点

  • キャラクタービジュアルや演出、技術面を含め、旧作から各段な進化を遂げている
  • シリーズ特有の緻密な設定により、読むほどにキャラクターや世界観への理解が深まっていく楽しさを味わえる
  • 新たにチャプター機能が付き、二度目以降のプレイでは一度見たシーンの範囲内で開始地点を細かく選ぶことができるようになった

惜しい点

  • 表現の幅が広がった一方で、今作でもボイスには非対応。(ただこれは筆者としては、ノベル作品であることを重視しての意図的な仕様であると捉えている)
  • 前作まで搭載されていたCGギャラリー、及び、サウンドテスト機能が廃止となった
  • アンサイクロペディア(辞書)機能における作中ワードのピックアップ数量が相変わらず少ない(今作では一応、新たな項目は前作よりもかなり増えている)

 

 

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