Collie Defense — 作品紹介&レビュー【Evercade GOTM】

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Developed by Yann Vaillant

 

はじめに ― Game of the Monthについて

欧州ゲームコンソール『Evercade』シリーズ本体購入者用プログラム「Game of the Month」より、今回は2024年度Game of the Month8月対象タイトル「Collie Defense」の紹介、そしてゲームプレイを終えての雑感を綴ってまいります。

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普段から投稿しているゲーム感想の記事と内容面での大きな違いはありませんが、見出しなど一部構成が少し異なります。

また、この「Game of the Monthレビュー」シリーズでは紹介タイトル毎のスコア評は設けていません。併せてご了承下さい。

 

Evercade VS、及びGame of the Monthプログラムの詳細については以下の特集ページをご覧下さい。

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基本情報

 

タイトル Collie Defense
販売/開発 Second Dimension,John Hancock
発売日 2024年(Gameboy Advance、他)
プレイ人数 1 player
備考 The Retro Room公式サイトでは、非公式のGameboy Advance用ソフトとしてカートリッジ版が販売中。

 

作品概要

「Collie Defense」はの開発者Yann Vaillant、及びJohn Rooが経営するアメリカ・テキサス州のThe Retro Roomにより製作されたゲーム作品。

ゲーム内容は一画面方式、及びタワーディフェンス型のリアルタイムストラテジー。プレイヤーは各ステージ毎にリソース管理を行いつつ、手持ちのライフストックを維持して生き延びるのが目的となる。

 

本作はitch.io主催のイベント”GBA Jam 2022″出典用タイトルとして製作され、後にJohn Rooとの提携によって実施されたクラウドファンディングを経てフルバージョンが完成。The Retro Roomのオフィシャルサイトでは、このフルバージョンを収めたゲームボーイアドバンス実機でプレイ可能なカートリッジ版が販売中だ。

 

リンク:The Retro Room(X(Twitter))

リンク:Yann Vaillant(.mastdon)

 

操作方法

 

(※Evercade版)

VS Controller
D-パッド カーソルの移動、選択
Aボタン タワーメニューの開閉/(メインメニュー時)キャンセル
Bボタン 決定/タワーの設置/(メインメニュー時)決定
Xボタン
Yボタン
L1ボタン
R1ボタン
L2ボタン
R2ボタン
STARTボタン ポーズ
SELECTボタン

※本作ではHOMEボタンメニューの使用が可能

 

ゲームの概要

本作のゲームモードはストーリーモードとハイスコアモードの2種類。

と言っても前者には物語的な要素が盛り込まれている様子は一切なく、単にステージ1から順に12ステージを連続でクリアしていくといった内容となっている。そのため、どちらかと言うと”アーケードモード”と呼ぶ方が適切かもしれない。

 

基本的なゲームルールは、各ステージの道路上を通行するキツネ、クマ、ヤマネコといった動物たちを撃退すること(※画面に映るスプライトの内、防御対象である羊は無害の存在)。必ずしも殲滅する必要はなく、一群が全て通り終わった際にライフが僅かでも残っていればステージクリア達成となる。

 

動物たちから牧場を守る手段となるのが防衛用の兵器で、最大で4種類が登場。ステージ1の時点では最も安価な砲台1種類だけが利用可能で、ステージ進行に伴って1種類ずつ解放されていく。

兵器の種類毎に消費コストは決まっているため、所持金の範囲内で購入数や最適な設置ポイントを探りつつ、ステージ毎に効率よく動物たちを撃退可能な配備パターンの構築を目指していく。

 

ただし、ストーリーモードで気を付けなくてはならないのが”ライフストックが持ち越し式である”という点で、更に作中ではライフの回復要素が一切設けられていない。ハート3個分のライフを最後まで持ち越して、全12ステージを生き延びなくてはならないのだ。

 

ステージ毎に動物たちの編成は変則的で、少数では鈍足で耐久度の低いキツネも、数で推してくると兵器の設置が十分でない場合は撃退が間に合わない、といった具合だ。

動物が通行する路も一本とは限らず、後半ステージになると、2種類以上の動物が混在で同時出現するといったパターンも見られる。4種の中では一番最後に登場する投石器を除くと、兵器の威力差はほぼ皆無に等しい。安上がりな砲台を複数設置するのが比較的有効打となるだろう。

 

プレイ後の感想

携帯機ゲームスタイルのコンパクトなRTSゲーム「Collie Defense」。作中で活躍するのは、タイトル画面で牧羊犬として羊たちと共に画面中央でどっしりと構えるグレーの毛並みをした一頭の犬。公式の紹介によれば名前は”ウィスキー”、犬種はボーダーコリーであるとのことだ。

こうした設定や作品名から、”コリー犬が前面に出て他の動物たちから守っていく”内容なのかと思いきや、コリー要素は画面左上の顔アイコンだけで、実際に活躍するのはプレイヤーが各所に設置する砲台や投石器といったタワーと呼ばれる兵器群。牧羊犬がバトルフィールドの盤面に登場した上での、勇猛果敢な活躍を見られないのは少々惜しまれる。

 

ゲーム作品としては、ゲームボーイアドバンスという比較的マニアック寄りなプラットフォームでリリースされているという点がまずは目を惹くところ。

また、各ステージを彩る楽曲も中々凝っており、取り分けタイトル~STAGE 1にかけて起用されている声ネタサンプリング入りのBGMが印象的だ。

RTS型タワーディフェンスという戦略的なゲームジャンルながら個人製作規模のインディーゲームということもあってか、1面辺りの所要時間は短く合計ステージ数も12と控え目でお手軽なボリュームになっているのは嬉しい。

 

上述のボリュームもあり手軽に遊べそうな印象に反して、ストーリーモードはしっかり考えながら進めないと最終的にライフが不足し、終盤が突破不可能となって詰んでしまうといった事態に陥る事もある。特に最終ステージにあたるSTAGE12はその傾向が顕著だ。

ゲームデザイン自体がマウス&キーボード向きな仕様な上にスピード勝負の素早い対策が求められるステージであるにも関わらず、D-Pad操作によるカーソル移動やタワーの購入→設置という一連の操作が、敵側ユニットのポップスピードに凡そ間に合わないといった問題も見られる。

 

そこに追い打ちをかけているのがストーリーモードにおけるライフの仕様で、持ち越し式&回復なしの3ストック制といった条件が大きく影響してくる。当該モードプレイ時においては実際に通しで最後まで攻略可能なバランスとなっているかは少し怪しい部分も。

同時にストーリーモードではコンティニュー機能が搭載されておらず、ステージ攻略に失敗すると再び一からのスタートとなってしまう点も非常に厳しいところだ(クイックセーブ&ロード機能を搭載したEvercadeではその辺りの問題は少し緩和されるため、この限りではないが)。

 

計4種類が存在するタワー型兵器ではあるが、最も高価な投石器を除くと火力の違いは一切ない。この性能差の曖昧さもあって、有用となる兵器の選択肢はほぼ無いに等しい。

長距離射撃が可能なバリスタや弾速の速さがウリとなる砲塔などは登場自体が中盤~後半にかけてのステージに限定される上に、砲台に比べると使い勝手の上でどうしても存在が霞んでしまう。そのため、最安価な砲台を複数設置して凌いでいく、というのが全編を通した基本的な戦略となる傾向にある。

 

全体的にこじんまりとした作品でステージ難度のバランスにおいて調整不足を感じる部分もあるが、致命的なバグが見当たらないといったところは大いに評価したいポイント。また、QRコードスキャンによってハイスコアランキングに登録できると言った試みが成されている点も面白い。

現状、今作をプレイする主な手段は公式サイトからカートリッジの購入、もしくは収録予定であるEvercade用カートリッジ「Indie Heroes Collection 4」の発売を待つしかないが、どちらも海外ゲームに意欲的でなければ入手までのハードルが高い。今後、より幅広い展開を経た上で、何らかの国内プラットフォームでの登場することに期待したいところだ。

 

 

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