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基本情報
タイトル | 青鬼 |
対応機種 | Steam/Nintendo Switch |
販売 | ゲームスタジオ |
開発 | 同上 |
発売日 | 2024年7月26日 |
対応言語 | 日本語,フランス語,ドイツ語,イタリア語,スペイン語,韓国語,ロシア語,中国語 (簡体字),中国語 (繁体字),英語 |
備考 | IARCレーティング:12+(恐怖、軽い暴力)
(※原作は2004年にnoprops氏の手により「RPGツクールXP」上で製作、フリーソフトとして公開された同名作) |
作品概要
「青鬼」(2024年版)はゲームスタジオが開発、販売を手掛けるゲーム作品。ジャンルカテゴリは謎解き&ホラーアドベンチャー。
2004年にnoprops氏が製作したRPGツクールXPベースの同名タイトルをオリジナル版に持ち、動画投稿サイト「ニコニコ動画」でのゲーム実況動画や後のマルチメディア展開を通じて知名度が上がった根強い人気作。後に登場したスマートフォン版は、累計3,000万ダウンロードを突破するなどその好評ぶりが窺える。
今回紹介するのは2024年7月にSteamとの同時発売となったNintendoSwitch版。上記のスマートフォン版をベースに移植が行われ、完全新規モードの「青鬼-藍編-」、公式初となる”倍速モード”といった2つの新要素が取り入れられている。
リンク:青鬼(オリジナル版)(※要『RPGツクールXP-RTP』)
操作方法
(※Nintendo Switch版)
JOY-CON(左) | |
Lスティック | 移動 |
上下左右ボタン | 移動 |
Lボタン | |
ZLボタン | |
-ボタン |
JOY-CON(右) | |
Rスティック | |
Aボタン | インタラクト |
Bボタン | 戻る |
Yボタン | |
Xボタン | ステータスメニュー表示 |
Rボタン | |
ZRボタン | |
+ボタン | ポーズメニュー |
ゲームの進め方
ゲームの目的(本編)
「お化けが出る」との噂が立つ無人の館を訪れた人物の1人”ひろし”(※名前はプレイ開始時に変更可能)を操作し、仲間達と情報を共有しながら邸内からの脱出を図るのが本編の目的となる。
館内のあちこちにはキーアイテムが配置されており、これらはいずれも特定の謎解きポイントで必要となる。時にはアイテム同士を組み合わせて、別のキーアイテムへと変化させる場合もある。
メニュー画面について
上画像はゲームプレイ中、Xボタンで展開できるメニュー画面。プレイ時間、総歩数、死んだ回数の確認と、アイテムの確認及び使用、セーブ、各種設定といった機能を利用することができる。
編成項目では主人公キャラクターの名前「ひろし」と職業名「学生」に並び、Lv、E(経験値?)、HP、SP、[正常]といったパラメーター表記が申し訳程度に見られるが、いずれも製作ソフトにあたる『RPGツクール』シリーズ由来の名残によるもので、ゲーム内では一切の意味を持たない。
青鬼について
ゲーム進行に伴って、作中タイトルにもなっている”青鬼”なる巨大生物が館内に不定期気味で出現するようになる。
青鬼はある程度出現ポイントが決まっているものの登場自体は神出鬼没で、予想もしないタイミングで唐突に現れてはこちらを執拗に追いまわしてくる。プレイヤーに比べてほんの僅かに足が遅いため、こちらが足を止めることなく走り続けることで最終的に引き離すことはできるが、プレイヤー側が青鬼を撃退する方法は一切ない。
一定以上の距離をとった状態で何度かエリアを切り替える、もしくは身を隠すといった方法を取ることで一時的に撒くことが可能。これが青鬼に対してプレイヤー側が抵抗できる唯一の手段だ。
館内に設置された家具の内、クローゼットはAボタンで調べると中に入る事ができるようになっている。
青鬼に追われている際、この中に隠れて物音を殺すとやり過ごすことが可能となっている。
基本的に隠れている間にドアを開く音が2回聴こえたら安全を確保できたと思っていいだろう。時々クローゼットの扉を叩く音が聞こえる場合もあるが、慌ててはいけない。
なお、隠れるのに失敗した際は、一度はクローゼットの中に隠れられるものの結果的には見破られてその場で捕まってしまう。
注意点は、隠れようとしている場面を青鬼に見られていないこと。慌てて隠れる場合でも、クローゼットを調べる事前に画面内に青鬼が映っていないかどうかは必ず確認してから実行に移そう。
ゲームオーバーについて
青鬼に追いつかれる、或いは隠れているところを見つかった時点で即ゲームオーバーとなってしまう。
リザルト画面ではゲームオーバー直前までの周回内プレイ時間と、総歩数、死んだ回数がそれぞれ表示される。死んだ回数については、ロードを実行しても回数はゲームオーバー前のものに巻き戻らないので注意。
青鬼 -藍編-について
「青鬼 -藍編-」は本編とは異なる主人公視点で展開する単独のモード。アンロックの必要はなく、購入直後最初からタイトルメニュー上で選択が可能。
館の中で目を覚ました少女・藍を操作し、探索を経て特定のキーアイテムを入手後に出口の扉を探して脱出するといった目的になっている。
ゲーム内容自体は本編を圧縮した短編といった装いで、入場毎に館の部屋構造が変化するローグライク的なシステムを持つ。ただし本編とは異なり、謎解き要素は皆無に等しく、脱出までの時間や掴まった回数などを含めた、クリアまでのスコア更新がメインとなっているモードだ。
モードタイトルメニュー上では画面右下に3種類のアイコンが見えるがこれは実績的なもので、それぞれ特定の条件を満たしてクリアする事でアンロックされる。詳しい条件はここでは伏せることとするが、色々と試しながらのクリアを模索してみるのも楽しみ方の一つだ。
なお、藍編では使用できるセーブスロットは1つのみとなる点には注意が必要だ。
プレイ後の感想
「青鬼」はトップビュー形式のスタンダードなRPGのシステムがベースとなっており、ゲーム版のプレイ内容自体は移動、調べる、パズルを解く、(青鬼から)逃げる、の4つの要素にほぼ集約される。同じツクールベース作品としては「ゆめにっき」などに代表されるスタンダードなスタイルだ。
当ブログでは2024年版と表現している今作は、オリジナル版から実に20年越しの登場となる。と言っても完全新規のリファインというわけではなく、UIやキャラクターアイコンを含めたグラフィックは2016年から配信されているスマートフォンアプリ版準拠の移植となっている。ツクールベースならではのマイルドな絵柄ながらも作中には暴力的な表現が登場し、一部シーンではセンシティブな演出が含まれている点に注意が必要。
筆者は以前からネットで名前こそ目にしていたものの、「青鬼」自体は今回のNintendo Switch版が初プレイの機会となった。鬼ごっこ色が濃厚なゲームシステム自体はすぐに慣れることができたものの、苦戦することになったのが謎解きで、アイテムの用途における導線の引き方が少々独特な傾向にあり、外部の攻略情報に一切頼らずに挑む初見プレイにおいては戸惑いがち。
インタラクト可能な箇所は重要なポイントを除いては皆無に等しく、ヒントもごく限定的で柔軟な発想を持たないプレイヤーの場合は完全自力で解く事は困難を極める。
最もパズル部分自体にランダム性はないので、一度解法が分かれば2回目以降のプレイでは如何に要領よくクリアできるかがゲームの目的となってくる。そして、スタートから脱出までの全ての流れを把握した状態からのスピードクリアこそが本作におけるゲームプレイの真髄といっても過言ではない。
本作ならではのゲームシステムといったものは登場しないので、プレイ上で迷うところはほとんどない。一応「藍編」という新規の追加モードは存在するが本編との繋がりは薄く、あくまでおまけ的なモードに徹していると言っていい。
一方でゲームにおいての”RTA”という文化に添うように、ゲーム実況者を含む本作の一部ファンの間では準競技的な形で”〇倍速青鬼”というプレイスタイルが定着。文字通り、ゲーム内スピードを意図的に増加させ、クリアまでの手際よさを計るといったディープな遊び方である。
それまでは非公認な扱いといった遊び方だったが今回、公式の機能として実装される形となった。増加幅も2~15倍速と幅広い。
また本作はゲームだけに留まらず、これまでに小説版、コミカライズ版の販売、舞台化、アニメ及び実写映画化といった幅広いマルチメディアミックス展開を見せており、しっかりとIPを育んできたことで長きに渡ってファン達を着々と増やしてきたことが窺える。「ホラー」という人気ジャンルが持つ絶対的な強みが作用した形と言えるだろう。
2024年度に改めて登場となった今作、オリジナルに忠実なリファイン作品といった印象だが、リリースが20周年にあたることから記念碑的な意味合いを強く含んだものと思われる。原点回帰的な狙いもありそうだ。初見プレイヤーであればまずは青鬼からの逃走劇以上に、独特な導線による謎解きの方に頭を悩まされること請け合い。絶妙なタイミングで唐突に出現する青鬼に翻弄されるが、慣れてくると出現ポイントを含めてパターンも読みやすくなってくる。
Steam及びNintendoSwitchで新たに登場した今作は「ネットを介して名前は目にしているものの、まだ一度も触れたことがない」というプレイヤーにとってはとても入り易く、「実況動画で観たことはある」という未体験者にとっては、どういった遊び心地なのかを体験する上でも持ってこい。
古典的探索型脱出ホラーアドベンチャーファンは、本作「青鬼」を是非お試しあれ。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 7.0 |
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良い点
- クラシカルなRPG形式のとっつき易くシンプルなゲームデザイン
- 神出鬼没な青鬼と繰り広げるスリリングな追いかけっこ
- 外伝的な短編「青鬼 -藍編-」と、最大15倍速に対応した公式初の「倍速プレイ」”の2つの新規ゲームモードを搭載
惜しい点
- デフォルメ感が強いビジュアルにつき、ホラー描写の感じ方は個人差がかなり分かれ易い
- 完全初見プレイの場合、プレイヤーによってはごく一部を除いて道中の謎解きがかなり難解なものとして映る場合がある
- 追加モードの「-藍篇-」は内容的におまけ色が強く、単にクリアするだけの場合は十数分程度もあれば終わってしまう
©Copyright 2022 Rogue Games, Inc. All Rights Reserved. ※このゲームには、暴力、ボディホラーに加え、不安、強迫性障害および鬱病などの心理学的問題に関する[…]