©1989 MELDAC / LIVE PLANNING
original concept by TSG(1979) transferred to HYPERWARE
基本情報
タイトル | 平安京エイリアン |
対応機種 | ゲームボーイ |
販売/開発 | メルダック/ライブプランニング |
発売日 | 1990年1月14日 |
備考 | ローカル通信マルチプレイに対応(2人まで)
オリジナル版は1979年にTGSによって開発されたAppleII版。以降、当時のパーソナルコンピュータ(PC)各機種に移植された他、オリジナル版との同時開発によるアーケード版も1980年1月に登場。 |
作品概要
「平安京エイリアン」は一画面固定型のステージクリア型アクションゲーム。その歴史は古く原作は1979年、東京大学の理論科学グループ(TSG)が当時のパーソナルコンピュータ(PC)であるAppleII向けに作ったコンピューターゲーム作品がそのルーツとされている。
PC以外でもアーケードゲームを含めて、後年複数のプラットフォームで登場している本作だが、今回紹介するゲームボーイ版はシステムはそのままに発売当時の1990年に向けてビジュアル、バランス、操作感などをリファインしたNEWモードと、オリジナル版を忠実に再現したOLDモードの2種類のゲームモードを搭載したお得な収録内容となっている。
ゲームの特徴
「平安京エイリアン」の基本システムは上述どおり一画面固定のアクションゲーム。オリジナル版が登場した70年代当時のゲームらしいステージクリア&スコア形式のゲームデザインとなっており、基本ルールは検非違使を操作しながら、迷路型の平安京内でうろつくエイリアン達をショベルで掘った穴の中に落とし、埋めて撃退して行く― といったもの。
ゲームボーイ版ではAボタンで正面前方に穴を掘り、Bボタンで掘り返し。この2つのアクションを駆使して、各ステージ内のエイリアンを穴に落として埋める、といった方法で全て撃退すればステージクリアとなる。一度埋めた穴はBボタンで再度広げることも可能。両アクションを状況に応じて使い分けていこう。
穴に落としたエイリアンは一定時間(NEWモードでは約5秒、OLDモードでは約10秒後)経過後に自動で復活してしまう。また穴に落ちたエイリアンは他の個体に接触することでも救助されてしまうので、落ちたものから優先して手早く埋めて、1匹でも数を減らしていきたいところだ。
操作方法
十字キー | 検非違使の移動 |
STARTボタン | (タイトル画面)ゲーム開始/(プレイ中)ポーズ(一時停止) |
SELECTボタン | (タイトル画面)ゲームモード選択 |
Aボタン | (検非違使の正面前方に)穴を掘る |
Bボタン | (検非違使の正面前方の)穴を埋める |
ゲームモード
ゲームボーイ版「平安京エイリアン」ではNEWとOLDの2種類のゲームモードが用意されている。2モード間の特徴や違いなどを以下で簡単にピックアップして紹介していこう。
NEWモード
オリジナル版に比べていくつかの遊びやすいアレンジが施されたNEWモードは、ゲームボーイ版においてはメインとも言えるゲームモード。
NEWモードは1周エンド方式でステージ数は全12面。登場するエイリアンの構成はステージごとに固定され、3面毎にマップが変化するといったゲーム構成になっている。
NEWモードではステージ進行中のスコア表示は排されており、ゲームボーイの全画面を使ったダイナミックな画面構成でのプレイスタイルを楽しめる。
肝心のスコアについてはエイリアンを1匹撃退ごとに加算。各ステージクリア後に、検非違使の残機、ステージ突破までの累計撃退数と共にリザルトとして一括で表示される。NEWモードでは30,000点ごとにエクステンドボーナスが発生して、残機が1人追加されるのもポイントの一つだ。
見下ろし型の2DタッチRPGを彷彿とさせるビジュアルのキャラデザイン、スムーズな操作感、AIが若干異なる2タイプが用意されたエイリアン、その時々で検非違使の助けとも妨害要素ともなり得る各種ステージギミック―
上記のようにNEWモードでアレンジが施された部分は複数あるが、ひと際目立つのはなんといってもグラフィック面での進化。ゲームプレイに合わせて検非違使、エイリアン共々活き活きとしたキャラの動きを同時に楽しめるものへと仕上がっている。エイリアン接触時に丸呑みにされる検非違使のビジュアルなどは中々に強烈なので必見だ。
またゲーム内で流れる音がSEだけだったオリジナル版に加えて、各シーン毎にBGMが付いているのもNEWモードの特徴の一つ。楽曲数こそ多くはないが、オリエンタルに溢れた軽快な各BGMも聴きどころ。
中間ステージとなるステージ6クリア後にはインターバルとばかりに寸劇のデモシーンが挿入される。「かごめかごめ」アレンジのBGMに合わせて、検非違使とエイリアンが戯れる(?)様子が見ていて実に心地よい。
そして全12ステージを突破するとエンディングへ突入。京の都に突如現れたエイリアン。検非違使の活躍で果たして脅威は去った…のか?
OLDモード
一方のOLDモードはオリジナル版に忠実に作られたモード。こちらはステージ上限は特に設けられておらず、ステージループ&エンドレス形式なゲームモードとなっている。
図形のみで表現された平安京の町、いわゆる”棒人間”に近い検非違使やエイリアンの容姿に至るまで、1つ1つのパーツがいずれも極めてシンプルなビジュアルのOLDモードでは、正しく黎明期ビデオゲームの様相をした画面構成が目を惹き、とても味わい深い。
操作感については移動、穴掘り/穴埋め、いずれのアクションもワンテンポ遅く、NEWモードを遊んだ後だと一連の所作がぎこちない印象を受ける。またNEWモードにはない要素として、一定ステージ間隔でゲーム全体のスピードが上昇するといったシステムもあり、プレイ感のテンポアップによって先に進むほど難易度が次第に上がって行くのを感じられるだろう。
基本のシステムは同じとしながら、新旧間でまるで全く違うゲームを遊んでいるように感じられるこれら2つのモードを遊び比べてみるのもゲームボーイ版ならではの楽しみ方の1つだ。
プレイ後の感想
本作「平安京エイリアン」はゲームボーイ販売後からおよそ半年後にリリースされており、発売当時は半年経過していたとはいえ、ゲームボーイ用ソフト自体もまだ総本数が揃っていない頃。昔ながらのアナログゲーム「海戦ゲーム」をアレンジした「海戦ゲーム NAVY BLUE」*1や、大人気を博したパズルゲームの王道タイトル「テトリス」*2など、短い時間でも手軽に遊べる携帯ゲーム機然とした作品がその大半を占めており、平安京エイリアンもそんな”手軽に遊べるゲームボーイ作品”の1つに分類されるタイトルであったと言える。
*1.販売はユース
*2.ゲームボーイ版は任天堂が販売
平安京エイリアンのコンシューマー向けへの移植はこれまで多数のプラットフォームで何度も行われているが、ゲームボーイ版についてはソフトの仕様上ツートーンなグラフィックである点も含め、他プラットフォーム版にはないノスタルジックな魅力がある。なにより”平安京”と”エイリアン”というなんとも異色な組み合わせのコンセプトからしても「一体どんなゲームなんだ?」と注目を与えるだけのインパクトを備えている。
ジャンルとしては変則ドットイート型アクション、といった趣のある本作。クラシックゲームに関心がある方は是非遊んでみて欲しい。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 7.0 |
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良い点
- “穴を掘り、中に落ちたエイリアンを埋めて退治”といった古典的でシンプルなゲーム内容ながら、飽きの来ないゲームルール
- 新旧の違いを見比べることができる2タイプのゲームモードを搭載
- (※NEWモード)童謡「かごめかごめ」のアレンジを始めとした、良質なサウンド
惜しい点
- NEWモードにおける変化は単にクラシック版からのグラフィックとサウンドの強化に留まっており、ゲーム面に作用するような追加要素がない
- 遊び易さを追求したマイルドなアレンジとなっているNEWモードだが、その反面、難易度が低くリピート感にやや欠ける
- ゲームボーイ版においてローカル通信マルチプレイを行いたい場合は純正の通信ケーブルや同じハードとソフトを所有する対戦相手が必要となり、環境構築のためのハードルが高い