©KONAMI 1987
基本情報
タイトル | アルマナの奇跡 |
対応機種 | ファミリーコンピュータ ディスクシステム |
販売/開発 | コナミ |
発売日 | 1987年8月11日 |
備考 | 両面(A面/B面)仕様ディスクカード |
作品概要
「アルマナの奇跡」はコナミが贈るディスクシステム用のゲーム作品。ダダ教徒に奪われた奇跡を起こす力を持つという石「アルマナ」の奪還を目的に、青年カイトが岩山や渓谷、遺跡といった山岳中心の各ステージを舞台にロープを駆使しながら進行していくクリフアクションゲームだ。
80年代の洋画によく観られるような「実写風の看板絵」を意識したと思しきパッケージデザインは、当時のコナミのファミリーコンピュータ向けタイトルでよく見られていた手法だったが、このイラストが作中の世界観を上手く補強しており、プレイ前の期待値を高めてくれている。
ゲームの特徴
「アルマナの奇跡」の基本的なゲームルールはライフ&残機制といった昔ながらのスタンダードなアクションゲーム形式を採用している。全6ステージ構成。コンティニューは3回まで可能。各ステージ共に制限時間は設けられていないので、じっくりと進めながら挑むことが可能だ。
前置きにて本作は「ロープを駆使しながら進行していく作品である」と伝えたが、カイトのアクションには一応ジャンプ操作も備わっている。ただし、その跳躍力は低めに設定されており、ジャンプアクションゲームでよく見られるような超人的なハイジャンプ操作は本作では一切望めない。そのため高所や足場への移動は必然的に、ロープアクションに頼ったもの中心となってくる。
ロープの基本的な使い方はBボタンを押す事で、正面斜め前方へ鋭角気味に投擲。この時、投げたロープの方向に足場や天井があった場合はロープの先端を引っ掛けることができる。引っ掛けた足場にはロープを伝って移動が可能。ロープの投擲はジャンプと組み合わせて跳躍中に出す事もできるので、上手く利用すれば普通に使った場合よりも僅かに高いポイントから投げつけることもできる。
ただしロープは投げる角度が限定されている点、ロープの全長がそれほど長くない点、投げつける際に大きな隙が出来、この間は敵相手に対して一時的に無防備な状態となってしまう点など、リスクも存在する。ロープを投げ込む際は、周囲の安全を確かめてから投げるよう心がけよう。
サブウェポン
本作で登場する武器(サブウェポン)は全部で6種類。そのいずれもが消耗品となるが、道中随所に点在する同じアイコンのアイテムを拾う事で残数を増やすことができる。
ゲーム開始時は初期装備としてナイフ、爆弾、ピストルの計3種類を少数所持した状態でスタート。ナイフは前方に射出される中射程の投擲武器。爆弾は放物線を描いて飛んでいく武器で、発射後もう一度Bボタンを押す事で任意のタイミングでの爆破が可能。銃はナイフよりも前方に届く射撃系武器で、威力もナイフより高めといった使い勝手の良い性能となっている。
上記以外に斜め上方向へと投げつける狩猟用投擲武器のボラや、画面全体の敵にダメージを与える聖なる玉、爆弾と同じ放物線軌道で放るトゲ付き鉄球形状の武器ロックが用意されている。
サブウェポンの1つ”ロック”は、エリア内の特定の岩壁に向かって打つことで隠し通路への道を作る事が出来る効果をもっている。壁の向こう側の不自然な位置にアイテムの姿を確認できたら、試しに打ってみるのもいいだろう。それぞれの武器はいずれも適切な場面で使っていくことで、頼もしい効果を発揮してくれること必至だ。
道中アイテムとして、他にも体力を全回復する肉、ライフの最大ゲージを1つ増やす事ができるペンダント(最大8ゲージまで)、残機を1人分増やす1UPなどが存在する。
上記3つはいずれも発見時には漏れなく手に入れておきたくなるアイテムだが、取りにくいところに配置されていることがほとんどのため、入手時の危険度も大きい。どうしても入手したい場合でも、決して無理のない範囲で狙って行こう。
ステージとボス
山岳や渓谷といったエリアが舞台となるアルマナの奇跡では、平地を思わせるような景色は少なく、それに伴ってステージギミックも高所渡りをはじめとするアスレチック要素が多い構造となっている。
ダダ教徒と思しき兵隊やサソリ、ヘビなどの人間や自然の生物が道中の敵として立ち塞がる一方で、ステージボス達は龍、仙人、壁に設置された骸骨型ボスのサイドフェイスなど何処かファンタジーな装いの面々が立ち並ぶ。
そんな本作のステージボスはいずれも熾烈な攻撃を仕掛けてくるが、慣れない内は序盤のボスからいきなり中々の手強さなので、気を引き締めてかかろう。
プレイ後の感想
ロープを駆使した横スクロールアクションという、当時のそれまでのファミリーコンピュータ用アクション作品でまだ類を見なかったシステムを意欲的に取り組んだ本作ではあるが、その操作システムを中心にデザインされたゲームの難易度は比較的高い。
難易度を引き上げている要因としては、プレイヤー側に備わった武器が全て消費型である点や、広範囲をカバーできる武器が少ない点、ジャンプの性能の心細さや独特すぎるロープアクションの操作感などが挙げられるだろうか。
「アルマナの奇跡」はゲームデザイン上豪快なアクションは望めず、ロープ渡りに次ぐロープ渡りと言う繊細な操作が求められるストイックなアクションゲームという印象に落ち着くが、一方で哀愁漂うBGM各曲の評価は高い。
コナミのファミリーコンピュータ向け作品は、ディスクシステムにおいても比較的多数の作品を輩出しており、これらの大半はディスクシステムでないと遊べないタイトルも多い。(後にROMカートリッジ版も販売されたコナミのディスクシステムタイトルは、「悪魔城ドラキュラ」、「バイオミラクル ぼくってウパ」の2本のみ)
約200本販売されたというディスクシステムのタイトルの中でも本作は屈指の作品の1つに数えられるが、オリジナル版発売の1987年以降、現在に至るまで一切復刻がなされていないのは惜しまれる点だ。上述のコナミのディスク作品群も含め、「アルマナの奇跡」は個人的に是非とも復刻を願う1本なのである。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 6.5 |
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良い点
- 山下絹代氏が担当するディスクシステムの音源を活かした哀愁漂い、耳に残るBGM
- 円熟期のコナミ産ディスクシステムタイトルらしく、ビジュアルやサウンドなど随所にクオリティの高さが見られる
- 6面で1ループのコンパクトなゲームボリューム
惜しい点
- 敵への対抗手段が消耗型アイテムのみで、弾切れを起こした際でも緊急用の恒常武器がない
- 3回しか使えないコンティニューに対して、難易度は比較的高い
- ロープの軌道は自由に調整できず方向と角度が固定されており、使い心地の上では不安を覚える