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基本情報
タイトル | サンドラの大冒険 -ワルキューレとの出逢い- |
対応機種 | スーパーファミコン |
販売/開発 | ナムコ/ノバ |
発売日 | 1992年7月23日 |
備考 |
作品概要
「サンドラの大冒険 -ワルキューレとの出逢い-」(以下「サンドラの大冒険)はナムコが贈るスーパーファミコン用タイトル。同社のゲーム作品「ワルキューレの冒険」シリーズに登場するキャラクター、サンドラを主人公に据えたスピンアウトタイトルのアクションゲームだ。
ファミコン用タイトル「ワルキューレの冒険 -時の鍵伝説-」(以下「ワルキューレの冒険」)においては、主人公ワルキューレの魔王ゾウナを倒す旅路において、彼女を支援するお助けキャラといったポジションでの登場に留まっていたが、シリーズ次作にあたるアーケードゲーム「ワルキューレの伝説」では2P側のプレイアブルキャラクターへと抜擢。少しずつその存在感を高めていったサンドラというキャラクターは、スーパーファミコンでついに主人公の座を獲得。タイトルにその名を冠することとなった。
ゲーム内でのサンドラの目的は、風土病に侵された息子と村の人々を救うその方法を捜して旅をする、といったもの。農具の鋤を片手に、全8ステージの長い道のりを駆け抜けていくことになる。
操作方法
十字キー | 歩行移動/(左右に押し続けることで)走行/(下入力)しゃがみ |
Yボタン | 鋤を使った各種攻撃/(ジャンプ中、下方向キー入力と同時に)カブト割り |
Xボタン | 錐揉み攻撃 |
Aボタン | (短く押して)ステップ(※静止中、移動中でそれぞれ挙動が異なるジャンプへと変化) |
Bボタン | (短く押して)ジャンプ/(溜め押しで)溜めジャンプ |
Lボタン | |
Rボタン | |
STARTボタン | ポーズ(一時停止) |
SELECTボタン | (未使用) |
本作でのサンドラのアクションは実に豊富。Bボタンを使った鋤による基本的な攻撃や溜めジャンプ、真上に飛び上がった直後、横方向に大きく突進する錐もみダイブアクション等、鋤を使ったものを中心にした多彩でアクティブなアクションを持っている。ただし、これらのアクションはモーションが大掛かりで隙が大きいものが多く、無闇に使うと自爆を起こしてしまい易い。入力操作を覚えたからといって、自由気ままに使うのは本作では厳禁だ。(※自爆についてのより具体的な所感は後述)
攻撃アクションはほとんどの相手に対して、基本的な攻撃手段となるYボタンでの鋤の小振りが最も使い勝手が良いだろう。本作の各ステージは比較的難易度が高い傾向にあるので、ミスを犯さずに大胆に立ち回れるようになるには習熟が必要となる。
ゲーム内容
RPG要素の強かったトップビュー形式ACTの前二作とは打って変わって、「サンドラの大冒険」のゲームシステムはスタンダードなサイドビューの2Dアクションゲームへと転身。世界観や登場キャラクターは従来のシリーズを踏襲しており、コアクマン、ズール、シザース等の旧作からお馴染みのモンスターも多数登場。
副題にもある通りワルキューレと出会うまでの前日譚というストーリーのためか、本編中でワルキューレの姿を拝むことが出来ないのは少々悔やまれる点だが、スーパーファミコンの性能を駆使して無駄なくシンプル且つ柔らかいタッチで描かれた彩り豊かな各ステージは、いずれも絵本の世界を旅しているかのような雰囲気に満ちており、実に魅力的だ。
また、本作はストーリー描写もしっかりしていて、各ステージクリア後にはビジュアルと共にナレーションによるあらすじが展開。アクションパート進行中には、特定のNPCとの会話劇がそれぞれ挿入される。この演出自体は前作「ワルキューレの伝説」から使われているものではあるが、本作は総テキスト量もかなり多いので、読み応えもたっぷりだ。
コンティニューについて
残機を使い果たす、あるいは作中のNPC会話内の選択肢で誤った選択をしてしまう事で、魔王ゾウナによってブラックサンドラへと姿を変えられるバッドエンドへと直行してしまう。そういった事態の回避のために、と本作にはコンティニューシステムが搭載されており、”デフォルトで7機”と多めに用意されている残機を万一全て使い果たしてしまった場合でも、コンティニュー実行でステージ最初からの再開自体は可能となっている。
ただし本作のコンティニューシステムは利用した回数がゲーム内部でカウントされ、過度に利用しすぎた場合、強制バッドエンドへ即突入という仕組みになっている。エンディングを迎えるためには必然的に、極力コンティニューには頼らず全てのステージを踏破できるだけの腕が試されることになるのだ。
プレイ後の感想
「サンドラの大冒険」は一見は穏やかな雰囲気のビジュアルから”手に取り易そうなゲーム”と映りがちだが、その見かけに反して本作の難易度はとんでもなく高い。敵への接触、被弾一発で即アウトという容赦のない即死システムに依るところや、全体的なアスレチック要素自体の難易度が高いこともその主な要因としてあるが、同時にサンドラの各アクションの隙の大きさも要因の一つとして併せて挙げておきたい。
前述通りサンドラは鋤を使ったアクションを繰り出して進めていくのだが、錐もみアタックや下突きなどの各種アクション発動後に、狙いが外れると着地時に尻もちをついたり、地面に刺さった鋤を抜こうともがき出す― 等の一定時間身動きが取れないアクションをその都度取るのだ。
モーション一つ一つそれ自体は表情豊かで特にマイナス点とは映らないのだがこれら一連の動作がいちいち長い上に、もがいている間は完全に無防備となるのが問題点。その僅かの隙に敵が近づいてこようものなら、一切反撃できずに接触してミスというサンドラの末路を指をくわえて見ているしかないもどかしさを味わう事になる。上記のような理由も含めて、本作攻略の上で攻撃アクションのうっかりによる空振りはプレイ中では絶対に避けたいところだ。
奇しくも難易度の高さを強調した紹介になってしまったが本作はいわゆる覚えゲータイプのゲームバランスでデザインされているため、繰り返し挑戦して慣れていくことで、攻略自体は可能な設計になっている。(それでも全体的な難度は相当なもので、ある程度の覚悟をもって臨んで頂きたいところなのだが…)
アクションゲームとしての完成度自体は高く、ストーリー要素も強めで一度プレイすれば思わず先を観たくなる作りになっているのは心憎いポイント。ワルキューレの歴代シリーズファンにとっては本作も避けて通れない作品となるが、シリーズファンでなくとも刺激的な難易度をもった2Dアクションを求めてる方には挑戦し甲斐のある一作として今作を挙げておきたい。
評価
個人的スコア | 6.5(10点満点中) |
良い点
- 純然なサイドアクションゲーム然とした作風の傍らで、ビジュアル&テキストによる演出で濃密なストーリーを楽しめる
- サンドラ、NPC、敵サイドのいずれもが表情豊かなキャラクターデザインで描かれる
- 使用上の制約はあるものの、コンティニューシステムが搭載されている
惜しい点
- 一度の接触で即アウトというシビアなシステムに加え、ステージギミックから敵配置に至るまで全体の難易度が高い
- 鋤を使ったサンドラのアクションには空振り時に無防備なモーションを取るものが多く、必然的に難易度を高める要素の1つとなっておりストレスの要因に
- キー入力の力加減やボタンの組み合わせから派生するアクションの種類がやや複雑で、細やかな操作テクニックが要求される