©1986 KEMCO / Under License from Synapse Software.
基本情報
タイトル | エレクトリシャン(Electrician) |
対応機種 | ファミリーコンピュータ ディスクシステム |
販売/開発 | ケムコ/Synapse Software |
発売日 | 1986年12月26日 |
備考 | ディスクカード両面(A/B面)仕様 |
作品概要
「エレクトリシャン」はケムコが販売/開発を手掛けるディスクシステム用ソフト。電気工事屋のリチャード・ライトを操作して、大停電に見舞われたアメリカを舞台にビルの配線を修理し、電力の回復を目指すアクションゲームだ。
ステージは全8ワールドで、各ワールドはビル面と下水道面の2面構成。最終面のワールド8クリア後は再びワールド1から2周目が始まるループゲーム形式。今回紹介するディスクシステム版はリメイク作品で、オリジナル版はSynapse Softwareが手掛けており、1984年にAtari 8bit computerで登場している。
操作方法
十字キー | 移動 |
Aボタン | ジャンプ |
Bボタン | (長押しで)切れた配線を繋ぐ |
STARTボタン | ポーズ(一時停止) |
SELECTボタン | (未使用) |
ステージ構造
「エレクトリシャン」のステージ構成は、各ワールド毎にビルと下水道を1面ずつ攻略する形となっている。それぞれステージクリアにおけるルールや構造が異なるので、以下で詳しく説明していこう。
トップスクロール面(ビル)
ビル面での目的はステージ内の配線(ケーブル)を全て繋いで、電力を回復させる事だ。
ケーブルの復旧作業
プレイヤーは高層ビル内を舞台に、ケーブルの断線箇所を1つずつ繋いでいかなければならない。左右にはステージ両脇のハシゴに沿うように1本ずつ縦長のケーブルがあり、この途中で途切れている箇所を左右に開通させることで修復は完了し、通電状態となる。
Bボタン長押し操作によって、各階に点在する途切れた配線の両端を1つ残らずドンドン繋いでいこう。緑色の状態ではまだ電気が通っていないので、要注意。
高所落下に注意
ライトは一定の高さ(2フロア分以上)から落下したり、特定の敵に触れるとミスとなる。ハシゴと各フロア間は微妙に離れているため、ジャンプによる飛び移りが必要となるが本作のジャンプ軌道は独特なため、慣れない内は落下によるミスが頻発しやすい。そのため本作に於いては落下死が主な死亡要因となりやすくハシゴからビルへ、ビルからビルへと飛び移る際は慎重な操作が必要だ。
敵キャラクターと対処法
また、ビルエリアでは随所に妨害を行う敵キャラクターが登場する。敵の種類も先のステージに進むほど少しずつ種類が増していくが、中でも数秒間行動不能になる巣を展開する蜘蛛や、配線を伝って来る電流などは特に警戒したい対象だ。
修復を終えて通電状態になった部分の配線は、色が緑からオレンジへと変化する。通電状態になった配線は以後、敵が触れるだけで黒コゲになる強力な武器としても機能するようになる。敵に対しては避ける以外の対抗手段をもたない本作においては、非常に頼もしい。
そうして全フロアの配電を完了させると、1Fに出口の扉が出現。扉から外に出ることでステージクリア達成だ。
サイドスクロール面(下水道)
下水道面ではこれまでの上下スクロールから横スクロール形式へ切り替わると同時に、ゲームルールも”進行可能なルートを確保しながら、ビルの入り口に辿り着く”といったシンプルな内容に変化する。
下水道の進み方
下水道ステージでは地上、地下一層、地下二層、下水道と層が4つに分かれており、各層は随所に設置されたハシゴで繋がっている。
中段の二層では暗闇が展開しており、左右に進んでいくと時々進行不能な壁やパイプに突き当たることがある。下水道ステージではBボタンによる懐中電灯の灯りで前方を照らすことができるので、これを駆使して通行可能なルートを探りながら進んでいこう。
敵キャラクター
この下水道ステージでもやはり敵キャラは登場する。基本的には姿を見つけたら避けていく、といった方法が基本となるが懐中電灯がそのまま弱点となり、灯りを当てるだけで撃退できる敵もいるので先のステージでは上手く攻略に組み込んでいくと良い。
アイテムについて
ライトが敵に対抗する手段は、基本的にジャンプによる踏み付けや回避以外にはないが本作では各ステージにて特定のタイミングでアイテムが出現することがある。
泥棒(アイテムキャリアー)
ビルエリアの場合は1フロアの配線を終えて、通電状態になると同時に泥棒が出現することがある。泥棒は画面右から左へと一直線に駆け抜けていくが、画面外に逃げる前に上手く触る事が出来ればランダムで1つアイテムを落としていく。
また、下水道ステージでは一定間隔で赤い服のギャングが出現。動きも性質も泥棒と同じで、こちらも触る事でアイテムを1つ落としていく。
アイテムは数種類あり、残機を増やすことができるものからライトの機動力が向上するものなどその効果も様々。後者は一見強力な効果に見えるのだが、ジャンプ力や移動力が高まることで返って天井に頭をぶつけたり、歩幅の感覚が平時と違うのが要因で返って落下ミスを引き起こし易くなるなど一概に有用とばかりは言えない。実際の使用感も把握した上で、戦略的に使う事ができるならば改めて攻略の鍵となるだろう。
敵キャラのスピード調節
ビル→下水道 と順に攻略する事で1ワールドクリア(ワールド8はビルエリアのみ)となるが、先に進むに連れてビルのフロア数が拡張されると同時に敵配置も嫌らしくなり次第に難度が上昇していく。ゆるい見た目に反して、全ワールド攻略は容易ではない。
本作ではステージ開始前に敵のスピードを3段階から選べるようになっており実質、難易度変更システムとしての機能を果たしている。速度を上げればより手ごわい難度となるので、自分の腕に合わせた調整でチャレンジしてみよう。
プレイ後の感想
電気技師として淡々とビルの電力を回復していく、というゲーム内容から、「エレクトリシャン」は全体的に派手さはなく、1面ずつじっくり攻略するタイプのゲームではあるが敵に囲まれないような立ち回りや、ギリギリ地点からのジャンプが要求される場面が多く、アクション性は高め。取り分けジャンプ操作の感覚に慣れるまでは前半面でも手ごわく感じるだろう。
貴重なクラシックプラットフォーマー作品の1つとして興味のある方には是非…と言いたいところではあるのだが、現状国内でのコンソール機においてはディスクシステム以外では登場していない。海外タイトルということで権利関係も壁となっているが行く行くは何れかのプラットフォームで復刻、もしくはリメイクの機会に恵まれることを期待したい。
評価
個人的スコア | 5.0(10点満点中) |
良い点
- 電気技師によるビルの電力復旧作業という、他に類を見ないゲームコンセプト&ルール
惜しい点
- ジャンプのクセが強く、使いこなすためには慣れが必要
- 落下に対する耐性が低く、少しの高度から落ちただけでワンミスとなる