©1989 TAITO CORPORATION
PROGRAMMED BY DISCO
基本情報
タイトル | タイトー チェイスH.Q. |
対応機種 | ファミリーコンピュータ |
販売/開発 | タイトー/DISCO |
発売日 | 1989年12月8日 |
備考 | アーケードゲーム「チェイスH.Q.」の移植版。原作は1988年に稼働開始 |
作品概要
「タイトー チェイス H.Q.」はタイトーから販売されたファミリーコンピュータ用タイトル。原作は同社の体感型アーケードゲーム「チェイス H.Q.」で、犯罪者が乗り込む様々車両を覆面パトカーを駆って追跡、逮捕することが目的のカーチェイスアクションだ。
タイトー作品では純粋なカーチェイスアクションゲームの代表的タイトルとして人気も高く、同作は後年様々なハードで移植版やアレンジ版が登場しており、翌年となる1989年には続編「S.C.I. (Special Criminal Investigation)」が販売されている。
(ステージ1イントロより)
「ナンシーより緊急連絡。指名手配中の切裂魔ラルフが郊外に向かって逃走中。ターゲットは白のスポーツカー。どうぞ。」 「了解!」 |
ゲームスタート冒頭では上画像のように、ターゲット情報と共にナンシーによる通信が挿入。アーケード版の再現とばかりに音声合成で流暢にしゃべる演出がステージ開始前の気分を盛り上げてくれる。
操作方法
十字キー | (左右で)移動/(上下で)ギアチェンジ(※MT選択時のみ) |
Aボタン | アクセル |
Bボタン | ブレーキ |
STARTボタン | (タイトル画面時)ゲームスタート |
SELECTボタン | ニトロ使用(回数制限あり) |
操作解説
ファミリーコンピュータのカーアクションゲームではAボタン=アクセル、Bボタン=ブレーキという操作方式は半ば共通項となっており、本作でもその点は受け継がれている。
Aボタンでアクセルを踏み、押しっぱなしにすることで踏み込んだ状態へ。アクセルはちょっとしたカーブでも押しを緩めた方が上手く曲がる事ができる。ブレーキと合わせて他車や障害物との接触やそこから派生するクラッシュは、逃走車両との距離を離してしまうと同時に、大きなタイムロスへと繋がるため作中では可能な限り避けていきたい。
Bボタンでブレーキング。丁寧なブレーキングは他車や障害物への接触を起こさない上でも大事だが、ゲーム後半では逃走車の性能も大きく上がり追い付くのも一苦労。こちらがより高いスピードで走行するための時間は1分1秒でも惜しくなってくるので、無駄のないブレーキの使い方を習熟することが全面クリアに近づくためのカギとなるだろう。
SELECTボタンを押す事で、ニトロを発動し一時的に急激な加速が可能となる。ただし、ステージ毎に使用回数が限られているので、大きく減速してしまった時の立て直しなどのタイミングで使うのが適切となるだろうか。
なお本作にはPAUSE機能が搭載されていないため、ゲームプレイ中の一時的な休息や中断を行いたい場合は、パーツ選択画面が唯一のタイミングとなる。
パーツセレクト
通信連絡デモの後、ステージ開始直前に毎回パーツ選択の画面へと切り替わる。MT/ATの選択とステアリング操作の切り替えは1面から、OIL、TURBO、SUPER CHARGER、TIRE、BUMPERの5項目はステージ2以降からそれぞれ選択が可能。
これらのパーツは任務進行中に稼いだSCOREと引き替えに購入するといった形になっている。いずれも購入は必須ではないが、搭載しておくことでプレイヤー車両の性能が向上するため、逃走車の追跡に有利となるものばかりだ。
ゲームの特徴
画面右側に見えるDISTANCEは犯人が駆る車両との距離を、DAMAGEは犯人車両の損傷率をそれぞれ表している。各ステージ開始直後は逃走車から大きく離された状況からのスタートとなるので、まずは犯人に追い付かなければならない。
道中は片側三車線仕様となっているが一般車両も普通に通行しているため、これらを上手く避けながら可能な限り速度を出さなくては追い付くことは叶わない。
トンネル内では左右への分岐が出現するが、誤ったルートを選択すると犯人との距離が大きく離れてしまう。どちらの分岐に差し当たっても直後に大きなカーブが展開するので、進入時はどちらの道を進むか早めに決断をし、コースアウトによる大幅な減速を防ぐためにあらかじめ少し速度をゆるめておくと良い。
画面下部のTIMEが0secを示すまでに逃走車の背面が見える距離まで辿り着ければTIMEが60secに再カウントされ、第1段階クリアとなる。DISTANCEゲージが空っぽになる程度まで距離を縮めると、逃走車両の背面を拝むことができる。赤丸で示しているとおり逃走車は矢印で示してくれるので一目瞭然だ。
犯人に追い付いた時点で第2段階へと入り、プレイヤー車両からパトランプが点灯。ここからは犯人の検挙のために車両を強引に止めるフェイズに突入する。
犯人車両の止め方は至ってシンプルでその方法はズバリ「体当たり」。主には車両後部や側部に自分の車体を寄せてぶつけるといったもので、これが中々にアツい。
体当たりを行うごとに画面右下のDAMAGEゲージが変動し、犯人の車両も火を噴き始めたりと目に見えてダメージ表現を確認することができる。衝突時に若干の減速はあるが、こちらがダメージを負うことはないので遠慮なくぶつかっていこう。
そして制限時間内にDAMAGEのゲージを全て奪うことができれば車両は完全に停止し、犯人検挙。ステージクリアとなる。
逮捕シーンの1枚絵のカットと同時にスコアリザルトが表示されるが、この際のSCOREはそのまま次回ステージでパーツ購入に充てる費用となるので、良いパーツを購入するためにも毎ステージより高いスコアを狙っていきたいところだ。
プレイ後の感想
当記事で紹介してきた「タイトー チェイス H.Q.」はファミリーコンピュータ向けにアレンジが成された実質オリジナルの「チェイスH.Q.」であるとも言える。
元となる作品がアーケードの体感筐体型のカーアクションゲームである分、 迫力の面ではどうしてもそちらと比べると見劣りはするのだが、一方で音声合成で再現されたナンシーとの通信デモや各カットシーンなどの作中の演出は最低限落とし込んであり、刑事と犯人のカーチェイスというゲーム内容については一切ブレのない原作そのもの。むしろ5ステージでエンディングだったアーケード版に比べて、ファミリーコンピュータ版はステージ数が増えていたりとゲーム内容面ではボリュームアップしているとも言える。
車同士が繰り広げるデッドヒートと、体当たりで犯人を抑え込むというアクションドラマさながらのこの豪快さが、本作の爽快感に繋がっているのは実際にプレイしてみることで味わうことが出来るだろう。追跡時の緊張感と、犯人発見から攻勢へと転じる爽快感を同時に味わえるアツい本作ならではのカーアクションを是非体感してみよう。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 6.0 |
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良い点
- 滑らかな音声合成によるナンシーの通信ボイス
- 1本のファミコン用3Dカーアクションとしてそつなく遊べる完成度
- 2段階のコンティニュー方式が親切で、リトライが容易
惜しい点
- 後半(取り分けステージ6以降)の難易度が急激に高くなる
- スコアがそのままお金になっているシステムの為、ドライビングの腕が上がらない内はスコアを稼ぎにくく高額パーツを試す機会が訪れにくい
- 基本的にノークラッシュ前提のゲームデザインであるためか、一度でも逃走車に引き離されると立て直しが難しい